「このようなトラブルを回避するために必要な鉄筋間隔はいくつか?」
と私は過去に受けた社内研修で答えることが出来なかったです。
鉄筋の「あき」については勉強していたので理解はしていたのですが、
鉄筋の「間隔」と言われても全くピンと来なかったのです。
冷静に考えると簡単なんですけどね。
そこで
今回のタイトルを見てここまで読まれたあなたに対して、
鉄筋の「あき」と「間隔」についてお伝えしていきましょう。
まず
鉄筋のあきの最小値についてですが答えを最初にお伝えしますと、
隣り合う鉄筋同士の隙間の寸法で、鉄筋の端から端までの表面間の
最短距離のことを指し、異形鉄筋の場合は、以下の3つのうち
最大の値が採用されます。
- 呼び名の数値の1.5倍
- 粗骨材最大寸法の1.25倍
- 25mm
ここで
鉄筋のあきの最小値が必要な理由とは何でしょうか?
主な理由として2つあげることが出来ます。
1つ目は
鉄筋のあきが不足すると、コンクリートの打設時に
充填不良が発生する可能性が非常に高いからです。
例えば
梁の主筋のあきが不足している状態でコンクリートを打設すると
梁の主筋の奥側まで粗骨材が引っ掛ってコンクリートが周りきらない
可能性が非常に高いからです。
2つ目は
鉄筋コンクリート造の建物は、鉄筋とコンクリートが適切に
付着をして一体化をすることによって引張力と圧縮力を負担する
構造となっていますが、鉄筋の周りに一定量のコンクリートがないと
適切な付着力を得ることが出来ないのです。
だから
鉄筋と鉄筋の間には、一定の隙間が必要であり隙間のない鉄筋間に
存在するコンクリートは鉄筋から肌分かれすることが多いのです。
以上が鉄筋のあきの最小値にかんする内容です。
ところで
肝心の「鉄筋間隔」についてですが、これからお伝えしていきますね。
鉄筋のあきが鉄筋の端から端までの実質的な「隙間」の寸法であるに対して
鉄筋間隔とは鉄筋の「中心」同士の距離のことです。
例えば
隣り合う鉄筋の径が同じであれば、鉄筋間隔とはあき寸法に
鉄筋の最外径を加えることで、鉄筋の中心から端までの距離を
両側分くわえることが出来ます。
具体的には
- 呼び名の数値の1.5倍+最外径
- 粗骨材最大寸法の1.25倍+最外径
- 25mm+最外径
のうち最大値が鉄筋間隔の最小値になるのです。
基本的には、あきも間隔も最小値に関する考え方はよく似ているので、
今回を期に合わせて覚えておけば良いですね。
最後に、
「鉄筋コンクリート造配筋指針・同解説第5版 [ 日本建築学会 ]」を確認しておきましょうね。
鉄筋のあきと鉄筋間隔の最小値は表3.2 による.
表3,2 飲筋のあき・鉄筋間隔の最小値(一部抜粋)
[注] D: 鉄筋の最外径 d:鉄筋径
異形鉄筋 図 鉄筋のあき ・呼び名の数値の1.5 倍 ・粗骨材最大寸法の1.25 倍
・25mm
鉄筋間隔 ・呼び名の数値の1,5倍 + 最外径 ・粗骨材最大寸法の1.25倍 + 最外径
・25mm + 最外径
(1) 「鉄筋のあき」とは隣接する鉄筋の表面間の最短距離「鉄筋間隔」とは鉄筋の心間隔をいう.鉄筋のあきは, コンクリートが分離することなく密実に打ち込まれ,鉄筋とコンクリートの間の付着による応力の伝達が十分に行われるために,最小値が表3.2 のように決められている.
異形鉄筋は,一般に解説図3,6 のような断面形をしており,リブ間の径が最外径となる. また異形鉄筋は, 最外径を含む面と直交する面内で曲げ加工され〔解説図 3.7(a) 〕,折曲げ部がある場合は,解説図3.7(b) および写真3,1 のように,最外径を幅にとって配筋される(リブを横にして配筋される) .鉄筋の間隔の最小他の算定で,呼び名の数他の1.5 倍に最外径に加えるのはこの理由による.
市販の鉄筋では解説表2.5a によっても明らかなように, 最外径は銘柄ごとに相違するが,本指針では,これらを丸めて,解説表3.2 に示した数値を最外径として用いている.解説表3.2 の最外径より大きな最外径が銘柄によってはあるので,注意を要する.解説表3.2 本指針に用いる異形鉄筋の最外径(mm)
呼び名 最外径(D) D10 11 D13 14 D16 18 D19 21 D22 25 D25 28 D29 33 D32 36 D35 40 D38 43 D41 46 D51 58
つまり
「鉄筋のあき」とは隣接する鉄筋の表面間の最短距離のことであり、
「鉄筋間隔」とは鉄筋の心間隔をいうため、鉄筋のあきの寸法に対して
鉄筋の最外径を加えた値です。
また
鉄筋のあきというのは、 コンクリートが分離することなく密実に
打ち込まれるために必要な間隔であることはもちろん、他にも
コンクリート打設後に鉄筋とコンクリートの間で付着による
応力の伝達が十分に行われるために数値が定められています。
そして
コンクリートと鉄筋の間に十分な付着力が発生せずに不具合を
起こしてしまうケースの1つとして「かぶり不足」も当てはまります。
かぶり不足に関しては、こちらの記事も合わせて読んでみてくださいね。
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