現場の竣工前に何気なく入ったピットの中で壁から
原因不明の錆の様なものが一定間隔で見えている。
「まあ、良いや」
と見なかった事にして机についたA君に、数日後に先輩から
「A君、何かピットの壁に錆出てなかった?
ちょっと原因調べて報告してくれよ。
あのまま引き渡したらいつかクレームになるからね…」
と突然のミッションを振られてしまった。
後日、仕方なくピットにもぐると天井のスラブ下辺りに錆がみえる。
「スラブの下の100mm辺りだからな~。
スラブは地中梁の上に乗っている構造だったから、
そうなると上端筋あたりか~?」
と事務所に帰ってきて配筋写真を見ていると先輩が横から除き込んで
「あ~、なるほどなそういうことか~」
とポツリ。
何がなんだか分からないA君は先輩に
「この写真のどこが変なのですか?
上端筋辺りもかぶり厚さ取れてますよ」
と聞くと、先輩は
「確かに構造体はかぶり厚さとれているよね。
その証拠にサイコロが入っているしね。
でも、かんざし筋のかぶり厚さ取れてる?」
と基礎エースのかんざし筋の部分を指差して先輩は答えました。
「だって、かんざし筋って構造体じゃ有りませんよ。
かぶり厚さって必要なんですか?」
と慌てて返すと、先輩はゆっくりと
「必要もなにも、今回の不具合の原因は何かな?」
と言うと、A君は「あっ…」と小さく頷き何も答えることが出来ませんでした。
写真引用:基礎配筋工事の様子(朝日建設HPより)
また
基礎エースには施工上に気を付けておいて欲しいポイントもあります。
それは
かんざし筋が上端筋の一段目の主筋を全て受けるために、
梁幅が広かったり主筋の本数の左右の偏りがあった場合に、
基礎エースが転倒してしまう恐れがあります。
そのように転倒の恐れがある場合は支柱が2本になっているタイプの使用や
ピッチを狭めるなどの対策が必要ですね。
つまり
基礎エースのかんざし筋について注意すべき管理ポイントとは、
左右にずれることでのかぶり厚さ不足にならないようにすることです。
かんざし筋自体は構造的には意味のない一般的に「段取り筋」
と呼ばれる存在ですが、主筋などと接していることもあり
悪影響を及ぼす恐れがあるからです。
そして
鉄筋のかぶり厚さと段取り筋については過去にこちらで
記事にしていますので合わせて読むことをオススメします。
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