最上階の柱頭部は柱の拘束を目的とした特別な納まりがあります。
基本的には
最上階の梁筋より柱筋を伸ばして、梁筋より上部で拘束するというのが
セオリーなのですが、柱筋の4隅の端部にはフックが必要であり、
屋上階の水勾配を考慮すると柱筋をむやみに梁から上部に伸ばすことは
出来ないのが現状です。
そこで
柱筋の頂部を下げて配置して、上から鉄筋を被せて納める方法もあります。
この上から被せる鉄筋の事を「かご筋」と言います。
しかし
「かご筋」の納まりは「建築工事監理指針」からは
削除されているから公共工事では使えないよ。
とある工事監理者さんから聞きました。
そこで
まずは、「鉄筋コンクリート造配筋指針・同解説第5版 [ 日本建築学会 ]」の該当部分を確認して下さい。
こちらでは「かご筋」の事についても記載があります。
解説図 9.2 従来の最上階柱頭の納まり
(1) 柱頭(最上階)の配筋最上階階柱頭の納まりには,解説図9.2 (a) に示すものがある.この場合,[備考9,5 ]に示すように,末端フックのために,梁上端筋の下で柱筋が止まり, 梁上端筋と柱筋の間が無筋状熊となる.すなわち,柱筋末端フックと梁上端筋が交差して組めないため,柱筋末端フックの位置を下げて配筋され, またガス圧接によって柱筋が縮み,解説図9,2(a)のように, 梁上端筋と柱筋フック先端の間にすき問ができる.これらの対処のために,(b)のように,梁主筋の何本かを柱内に定着する設計が見られる.しかし,このように梁筋を4方向から柱に定着する納まりは複雑であり,施工上好ましくない.
本指針では,構造実験によって柱出隅部の主筋の端部にフックを設けた場合と同等の性能が得られることが確かめられた方法として,(1)の図の配筋を勧める.
(a) は, 梁下面(ハンチ端の下面)からの柱筋の定着長さを本指針の表6,1 による直線定着長さL2 以上, かつ,梁上端筋の上までとした納まりである. (b) は, 梁上面から立上りを設け,柱筋の定着長さを直線定着長さL2以上とし.かつ,立上り部の出寸法を梁せいの0.5倍以上とした納まりである.
(a) と(b) の直線定着長さL2 は,RC規準(2010 年版)17 条の式(17.2) による必要定着長さL2kを安全惻に丸めた値である.この場合,フック付き定着長さL2と同等の定着力を確保できるので. 出隅惻の柱筋をフックなしとしてもよいと言える.
(a)や(b)のように梁上端筋の上に柱筋を突出させる場合は,柱筋頭部を拘束するために, D 13以上の拘束帯筋を梁上端筋の上に配筋して堅固に結束するのがよい. また,(a)では,柱内での梁上端筋の付着力を確保するために,逆U字形の落し込み筋を配筋するのがよい.
(c)は,柱筋を梁底で止め, 上方からかご鉄筋をかぶせて重ね継手とする方法である. この場合, かご鉄筋の頂部は,RC 規準(2010 年版)17 条の解説に示されたU字形配筋の条件を満足するようにし, かご鉄筋の先端部は,木指針の表6.2によるフック付き重ね長さL1b以上または直線重ね長さL1以上とする. ただし,この方法によると, 従来の方法に比べて必ずしも施工性がよくない. L1bおよびL1 は,RC 規準(2010 年版) ]6条の式(16.10) による必要付着長さを安全側に丸めた値である.
これらに対し,梁せいが十分でなく定着長さが不足するか,あるいは柱梁接合部の配筋詳細が納まらない場合には,柱筋の折曲げ加工をしなくてもよい機械式定着とするのがよい〔備考図9.10, 9.ll 参照〕.
ここで
柱に取り付く梁せいの関係からどうしても「かご筋」を使用しないと
納める事が出来ない場合もあるでしょう。
実は
かご筋以外で納めるための条件というのは意外と厳しいものです。
特に、最上階の梁については屋上スラブの荷重と機械設備などの荷重を
考慮するだけで良いので、桁行き方向の梁せいはある程度確保されていても、
梁間方向に関しては最低限の梁せいしかない場合がほとんどです。
なぜなら
構造設計者さんが、柱と梁のパネルゾーンの納まりよりよりも、
全体的に部材寸法を抑えて、歩掛りを減らす方が建物のコストダウンに
つながるからです。
そもそも、パネルゾーンの納まりがどうか?なんて設計時に、
全く考えてもないかも知れませんからね。
しかし
最終的に文句を言われて頭を悩ますのは現場になりがちです。
この中で解決策を考えながら質疑を行うのも骨が折れますよね。
だけど
本音は「構造設計者さんの後始末」なんだから、
構造設計者さんへ「まるごと下駄を預ける」位でも問題ないのでは?
と感じていますよ。
つまり
最上階の柱頭部の納まりに「かご筋」は使えないのか、
については、現在は仕様書の納まりから除外されているが、
現状のどの納まりにもマッチしない場合はあるので
そういう場合は、設計者と相談をするべきです。
ちなみに
設計者さんや工事監理者さんに質疑をするときはコツがあります。
そのコツは、どんな問題が現場で起きていて、解決策としては
どのようなものがあるか?を示しながら質疑を行うと
意図した結果になりやすいのです。
詳しくはこちらで書いていますから参考にして下さいね。
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