壁の開口補強筋の7割は意図が不明!とTMが感じる理由とは?

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壁の開口補強筋について最近強く思うことがあります。

 

それは

一体、この設計はどちらに向かっているのだろう?
右と左という真逆の方向に同時に進もうとしているじゃないか!

と感じる内容なのです。

 

そもそも

壁の開口補強筋とは、開口部の隅角部に45度に発生する
ひび割れに対して、発生しないように縦、横、斜めと入れる鉄筋の事です。

 

また

コンクリートの収縮に鉄筋で対抗して1ヶ所に発生するひび割れを
分散させることにより有害なひび割れを防ぐのです。

 

ですが

現実的には開口部の隅角部のひび割れを完全に防ぐのは難しいです。
そこで、耐震壁ではない雑壁などではひび割れが起こることを前提として
誘発目地を設けることも少なくはありません。

誘発目地はあらかじめ壁に構造的に「弱い」部分を設け
意図した場所にひび割れを発生させ、防水処理などを行うことで
品質的なトラブルを未然に防ぎます。

 

すると

開口部には「開口補強筋」と「誘発目地」が同時に存在する結果となりますが、
別に、その事自体は問題ではありません。

 

問題なのは

誘発目地にまたがって開口補強筋が設置されている場合です。

 

仮に

誘発目地に重ならないように開口補強筋を設置すれば、
誘発目地以外の部分は強固になり、誘発目地部のみが
弱くなり、ひび割れを制御できる確率が上がりますけどね。

 

結局

冷静になって気付けば分かることも、
何気なく行っていれば全く気付かないことも
山程あるのが現実です。

 

最後に

鉄筋コンクリート造配筋指針・同解説第5版 [ 日本建築学会 ]」の該当部分を確認して下さい。

 

P.232

d.開口袖強

(a) 鉄筋による開口補強要領

 

(b)溶接金網・鉄筋格子による開口補強要領

 

(c)小開口が密集している場合の開口補強要領

メモ: 開口部の補強飭は設計図書の特記による.

 

”””67
P.235

d.開口補強

開口周囲の隅角部は,自己ひずみ・収縮・地震力などによって応力が集中する. この隅角部に生ずる斜め張力に対する補強が必要である.

一般には(a)のように斜め補強筋を配置して補強しているが,壁厚が薄い場合,鉄筋のあき寸法・かぶりなど施工性に欠陥が生じることもある.斜め筋にはD13 以上の異形鉄筋を使用することが多いので,これに相当する壁厚を考慮する必要がある. すなわち,斜め筋を挿入すると局部的にコンクリートの允填性が悪くなり,壁厚を厚くする必要が生じる. そのうえ,斜め筋は一般に施工が複雑である.したがって,斜め筋の代わりに縦・横筋間隔を部分的に密にするか. または(b)のように溶接金網・鉄筋格子による補強が望ましい.

特に収縮ひび割れはコンクリートの表面より発生するので, 開口隅角部のひび割れ防止には, 写真9.3 および解説図9.10 に示すようにひび割れ分散性能が良い溶接金網・鉄筋格子をコンクリート表面近くに配置するのが効果的である. なお. 写真9.3 に鉄筋格子を45 °に傾けて取り付けた例を示しているが,壁厚に余裕のない場合にはかぶり不足になりやすい.取付け角度については納まりを検討の上,設計図書に指示する.

 


写真9.3 鉄筋格子による開口補強

 


解説図9.10 溶接金綱による開口補強例

 

つまり

壁の開口補強筋の7割は意図が不明!とTMが感じる理由とは、
開口の隅角部について設計者の意図として

  • 開口補強筋でひび割れを発生させないように収縮を分散させて耐えたいのか?
  • 誘発目地を設置することで、意図する場所にひび割れを発生させて品質上問題ないように制御したいのか?

が良く分からずに「誘発目地をまたぐように開口補強筋を設置して
ひび割れをゆうはつさせる仕組みと防ぐ仕組みを重ねてしまっている
状態をよく見かけることです。

 

このように

実際にどのような意図があるのか?分からずに必要だと思われる
対極な仕様をかさねあっている事例は色んな場面にあります。

 

例えば

こちらの記事のような「感覚」ってあなたが現場監督に慣れれば
慣れるほど、無意識のうちに陥ってしまう危険性がありますよ。

↓ ↓ ↓

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