現場でかぶり厚さ不足が発生したら悲惨な現状になる理由とは?

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以前の記事で、位置、寸法などが規定値に納まっていない場合は、
最小限の影響で済むように提案することを建築工事監理指針として
推奨しているという内容を書きました。

 

しかし

その記事で1つだけ条件を付けることを忘れていました。
それは、「鉄筋のかぶり厚さが確保されている場合」です。

 

なぜなら

鉄筋のかぶり厚さというのは、鉄筋工事の時にもお伝えしましたが、
躯体工事の品質管理において、唯一と言える「建築基準法違反」です。

他の管理値を満たしていなくても「法律を犯す」という事態には
ならないのが現実だからです。

 

だから

鉄筋のかぶり厚さは確保した上で、コンクリート出来型の不具合を
修繕しないといけないのです。

 

ちなみに

私がまだ会社に入って間もない頃に、他の会社の人に聞いた話だと、
鉄筋のかぶり厚さが足りていないマンションの柱のタイルが、
竣工後数年で爆裂して、調査すると鉄筋の径が数分の1にまで
錆びて細くなっていたそうです。

そのくらい、鉄筋のかぶり厚さが足りていないと数年後に
とんでもない瑕疵を背負うことになるので注意しましょうね。

 

そこで

もしも現場でかぶり厚さが足りていない場合はどの様に対応するか?
ですけど、基本的には「増し打ち」による対応になります。

かぶり厚さを確保する為に、コンクリート内部の鉄器を動かす、
という荒業は現代では不可能なので、所定の厚さまで増すという
選択肢しか、最小限の被害で済ますには残されていません。

 

もしも

「増し打ち」がNGの場合は、「一旦壊して打ち直し」という
最悪の結果が待っています。

 

正直、あなたにその様な「壊してやり直し」というような事態には
なって欲しくないので、コンクリートの打設前、打設中においては
「鉄筋のかぶり厚さ」においては、十分に管理して下さいね。

 

最後に

建築工事監理指針(令和元年版上巻) [ 国土交通省大臣官房官庁営繕部 ]
の該当部分を確認して下さい。

P.483

(3) 鉄筋のかぶり厚さの不足は鉄筋コンクリート構造部材の耐久性能を低下させる大きな要因の一つであり、従来から、型枠脱型後の目視検査によりかぶり厚さの不足の兆候の有無の確認が行われ、その後、状況に合わせて非破壊検査等の再検査や補修等が行われている。

なお、かぶり厚さの確認、作業を第三者が行う場合は、受注者等に十分な実績、資絡・技能等を有する第三者を選定することが重要である。

(ア) まず最初に目視によってコンクリ ート表面の外観検査を行い、 豆板や錆汁の漏出の有無、コンクリート表面の鉄筋模様の有無、垂直部材の立上り鉄筋の位置等から、かぶり厚さ不足の兆候がないことを確認するとともに、かぶり部分のコンクリートが密実で、有害な打込み欠陥がないことを確認することが重要である。

かぶり厚さの不足が懸念される場合や不足の兆候が認められる場合には、電磁誘導法やレーダ一法、X線法等の非破壊試験若しくはドリル穿孔等の微破壊試験によってかぶり厚さの検査を行う。近年、非破壊試験の精度が急速に向上しており、「JASS 5」では、2009年の改定で検査方法、検査時期・頻度及び判定基準を合むかぶり厚さの検査 (11.1O 構造体コンクリートのかぶり厚さの検査) が導入され電磁誘導法を用いた JASS 5 T -608 (電磁誘導法によるコンクリート中の鉄筋位置の測定方法) が規定されているので、非破壊検査を実施する場合には、判定規準の考え方を含めこれらを参考にするとよい。

なお、これらの確認・検査の時期についても、あらかじめ受注者等と協議して定めておくことが重要である。

表 6.9.4 に、構造体コンクリートの仕上り及びかぶり厚さの検査方法の一例を示す。

 

(イ) かぶり厚さの不足が確認された場合、受注者等に適切な補修方法を提案させ、了承後に補修を行わせることが重要である。補修の方法は大別して 2種類ある。

一つは、新たに仮枠等を設けてコンクリートを増打ちする、あるいは母材であるコンクリートに用いられているものと同等以上の性能を有するセメントモルタルを使用して補修する方法で、この方法で補修を行った部材は、母材と補修材が一体化した鉄筋コンクリート造の部材と見なすことができる。

一方、ポリマーセメントモルタルやエポキシ樹脂モルタル等のコンクリート以外の材料を使用して補修する場合は、使用する材料の品質や強度及び防火上の性能と使用範囲で法令 (平成 13年国土交通省告示第1372号及び平成 12年 建設省告示 第 1399号他) 上の条件が設けられており、補修部分の断面積は、部材断面の 5% 以下 (ただし母材と同等以上の強度を有し、架構の 一部のみである場合には部材断面積の 30% 以下)であることが想定されている。また、これらの材料を使用する場合には防火上支障のないものであることが求められており、防火上支障のないものの一例として、ポリマーセメント比が 4% 以下で、かつ、補修部分の厚さが 20mm 以下の場合がある。このほか、防火上支障のない補修材料・工法の具体的な選定方法については、国立研究開発法人建築研究所の「建築研究報告 No.147 鉄筋コンクリート造建築物のかぶり厚さ確保に関する研究」等を参考にするとよい。

また、エポキシ樹脂モルタルは、それ自体が可燃性材料なので、亀裂や軽微な欠損部に充填する場合等、使用品の少ない軽微な補修では使用できるが、かぶりコンクリートとして部材表面等に塗布するような使用方法はできないので、注意しなければならない。

 

表6.9.4 仕上り及びかぶり厚さの検査方法(一例)

検査の項目 判定基準 試験方法 実施時期
部位の位置・断面寸法 「標仕」表6.2.3に適合すること 監督職員の承諾を得た方法 せき板や支柱を取り外した後、測定が可能となった時
表面の仕上り状態 「標仕」表6.2.4に適合すること 目視による方法
仕上りの平たんさ 「標仕」表6.2.5に適合すること 監督職員の承諾を得た方法 (JASS 5 T-604、他)
打込み欠陥部 有害な打込み欠陥部がないこと 目視による方法
必要に応じてはつり
ひび割れ 監督職員の承諾を得た方法 (メジャー、ノギス等)
外観検査 かぶり厚さ不足の兆候が認められないこと 目視による方法
かぶり厚さ JASS 5 表 11.8 に適合すること 監督職員の承諾を得た方法(JASS 5 T-608、他) 外観検査等によって、かぶり厚さの不足が懸念される場合又は不足の兆候が認められる場合

 

 

つまり

現場でかぶり厚さ不足が発生したら悲惨な現状になる理由とは、
鉄筋のかぶり厚さの不足は数少ない建築基準法違反に当たるので、
修正を行うのですが、基本的には増してかぶり厚さを確保する方法は
意匠上NGとなる場合が多いので、最悪は「一度壊して造り直す」
という結論にならないとも限りません。

 

よって

可能な限り避けたいのですが大規模な「やり直し」が発生する
危険性があるので、しっかりとコンクリートの打設前に
確認しておく必要がありますね。

 

更に

「やり直し」については。こちらの記事を読んで
費用対効果を考えた上で、実践して下さると嬉しいです。

↓ ↓ ↓

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