梁の主筋が左右非対称という納まりは現実に山ほど有ります。
しかし
「2段筋の向きがどっちが正解だろう?」
と悩みながら現場を管理している監督さんは私の経験上
1%もいないのでは?と感じています。
きっと、鉄筋屋さんも同じくらいの割合かも知れません。
私の記憶では、どこかの現場での職長さんが
「2段筋が1本の場合は、建物の外部側に入れろ!」
と指導していた人がいましたが、それ以外に議論になったことも有りません。
配筋検査時においても議論になることは有りません。
では、
2段筋の配置する位置によって何が変わるのでしょうか?
そもそも、管理する必要があるのでしょうか?
この問いかけに、「鉄筋コンクリート造配筋指針・同解説第5版 [ 日本建築学会 ]」が
回答してくれているので該当部分を確認して下さい。
P.220
[備考9.8]
梁の非対称配筋
梁筋は対称に配筋するのが一般的であるが,非対称配筋となっても構造的には無視する場合が多い.
しかし,梁筋を非対称に配置すれば若干のねじれ力が生ずることも考えられる. そこで, 備考図9.16 に非対称配筋の例を示したように,スラブ筋のない側や弱軸曲げの弱い側へ配筋する程度の配慮をすることも考えられる. なお, ねじり応力が生ずる梁の影響などについてはRC 規準(2010 年版)の「22 条 特殊な応力その他に対する構造部材の袖強」に示されているので参照されたい.
備考図9.16 非対称配筋の例
結論は「無視しても良いけど、若干のねじれ力を考慮しても良い」
という事なので、基本的には「左右どちらに配筋されていても正解」
ですし、「スラブの付かない方に配筋するのも正解」です。
だから
現場の中で議論にならないものには「どっちでも良い」ものも含まれているのです。
誰かから急に問いかけられても「管理していない自分が悪い」
と言うことには一概にはならないケースもあると言うことです。
しかし
「知ってて議論しない」のと「知らなくて議論しない」のでは
大きな差があるのも事実なので、少しずつでも良いので、
今回の記事のような「雑学的な知識」も覚えておけば
役に立つこともあると私は信じています。
つまり
梁の主筋が左右非対称の場合にどちらに配筋すべきか?
については「一般的にはどちらでも良く、無視する」となります。
しかし
厳密には若干の「ねじれ力」が梁にかかるので、
スラブの無い側などの弱い方に配筋する配慮があっても良いとの事です。
このように
普段は何気なく管理していても、いざ面と向かって聞かれると、
答えられない事が意外と多いと感じています。
だけど
分からない事がある事なんて別に至極普通です。
分からない事があれば、自分で調べるか?他人に聞けば良いですからね。
ただし
上司に質問する前にこちらの記事も確認して下さいね。
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