鉄骨工事の工事現場施工要領書に関するチェックのポイントとは?(3)

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前回は、工事現場施工要領書の全9項目のうち
4~6項目までをお伝えしました。
最初から読みたいあなたはこちらからどうぞ。

今回は続きからお伝えします。

 

7 ●高力ボルト接合作業手順と締付け後の検査方法並びに不合絡処理方法

 

一度に現場に運んでくることが出来る鉄骨の長さは12~15m程度です。
それ以上になると現場で組立をおこなう必要があります。

 

つまり

鉄骨工事の現場は、鉄骨部材を「組立」していく作業の繰り返しなのです。

 

そこで

鉄骨部材同士を「組立(接合)」するのに一般的なのは「ボルト」です。
昔は熱した鉄を接合部の穴に刺した後、叩いてつぶして接合(リベット接合)
していたので名残からか「鍛冶工事」と呼ばれています。

 

ちなみに

詳しくは後ほどの章で解説しようとは考えていますが、ボルト接合にも
正しい手順と品質管理を行うための方法があります。

鉄骨を組み立てるには莫大なボルトの数を必要としますし、
ボルト接合がいい加減であれば、最悪の場合は「倒壊」の危険性も
あるので、重点的な品質管理項目になるのは当然と言えば
当然の流れですよね。

今回は詳しく語りませんが、施工要領書には正しい手順、検査方法と
不合格であった場合の処置がキチンと記載されていることを
確認しておきましょうね。

 

8 ●溶接接合作業手順と精度・外観・内部検査方法並びに不合格処理方法

 

鉄骨建方作業における溶接作業については、現場で行われない
という現場もあれば、頻繁に行われる場合も建物形状や構造設計の
考え方により様々なケースが多いと感じてます。

 

すると

今まで鉄骨造の現場をいくつも経験してきたけど建方時は
全てボルト接合で溶接接合を経験したことが無い人もいるはずです。

 

しかし

周りからは「鉄骨造経験者だから溶接接合も分かっているはず」
という目で見られがちです。

そんなあなたは特に参考書を片手に、作業手順(回数や温度管理)
をよく読んで作業要領書が同じ様な手順を踏んでいるか?
をしっかりと確認しておくべきですね。

 

更に

溶接完了時の判定基準と不具合の修正方法も学んでおきましょう。
具体的には、後日お伝えする予定でありますが、急を要する場合は
まずは自分で確認してみて下さいね。

 

9 ●超音波探傷試験の検査機関及びその管理組織

 

鉄骨工事は鉄筋工事とは違って「抜き取って引張強度確認」は
基本的に出来ないので溶接部などの接合部は超音波探傷試験による
非破壊検査が主流になります。

 

すると

必然的に「どんな会社で、どんな資格を持っている人が検査するか?」
については、品質を管理する上で事前に確認しておくべき内容になります。

現場で梁のフランジなどの溶接がある場合は超音波探傷試験が終わらないと
デッキ敷など次工程に進めない事が多いので、施工時期にタイムリーに
検査に来てもらえそうか?についても合わせて確認しておきましょう。

 

最後に

建築工事監理指針(令和元年版上巻) [ 国土交通省大臣官房官庁営繕部 ]
の該当部分を確認して下さい。

 

P.522

(5) 受注者等及び鉄骨製作業者が、工場製作及び工事現場施工に先立ち作成する施工計画書・工場製作要領書・工事現場施工要領書の記載事項は、概ね次のとおりである。

なお、●を考癒しながら品質計画を作成する。

(ウ) 工事現場施工要領書(工事現場施工範囲の品質管理要領を含む)

  1.  総則及び工事概要
  2. 工程表(アンカーボルトの設置・建方・高力ボルト締付け・溶接作業・完成検査等の時期)
  3. 作業の管理組織及び協力業者、工事担当 (施工管理技術者・溶接施工管理技術者・非破壊検査技術者・溶接技能者の氏名、保有資格等)
  4. ●アンカーボルトの保持及び埋込み工法と検査方法
  5. ●定着の工法
  6. ●建方作業順序と建入れ直し及び建入れ検査方法並びに不具合処置方法
  7. ●高力ボルト接合作業手順と締付け後の検査方法並びに不合絡処理方法
  8. ●溶接接合作業手順と精度・外観・内部検査方法並びに不合格処理方法
  9. ●超音波探傷試験の検査機関及びその管理組織

 

つまり

鉄骨工事の施工計画書には大きく分けて、工場製作編と現場施工編があり、
実際に施工を行うための施工要領書が別に作成されます。

それぞれの内容については下記の通りです。(●は特に考慮すべき事項)

 

(ウ) 工事現場施工要領書(工事現場施工範囲の品質管理要領を含む)

  1.  総則及び工事概要
  2. 工程表(アンカーボルトの設置・建方・高力ボルト締付け・溶接作業・完成検査等の時期)
  3. 作業の管理組織及び協力業者、工事担当 (施工管理技術者・溶接施工管理技術者・非破壊検査技術者・溶接技能者の氏名、保有資格等)
  4. ●アンカーボルトの保持及び埋込み工法と検査方法
  5. ●定着の工法
  6. ●建方作業順序と建入れ直し及び建入れ検査方法並びに不具合処置方法
  7. ●高力ボルト接合作業手順と締付け後の検査方法並びに不合絡処理方法
  8. ●溶接接合作業手順と精度・外観・内部検査方法並びに不合格処理方法
  9. ●超音波探傷試験の検査機関及びその管理組織

 

ここで

最後にあなたに1つ確認です。

「施工計画書と施工要領書の違い」について即座に答える事が出来ますか?

「あれっ?」と思ったあなたにはこちらの記事がオススメですよ。

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