「この基礎のコンクリートの仕上がり全体的に汚いですね」
と埋戻して見えなくなってしまう基礎・地中梁の出来型を
みながら工事監理者さんに過去に言われたことがありますが、
「別に埋め戻したら見えなくなるし、型枠大工さんも
基礎の型枠くらいコスト削減のためにボロボロでも良いよ~」
と、その時の私は考えていました。
なぜなら
型枠と言うのは、コンクリートの圧力に対して耐え切れなく
ならない限りは、コンクリート打設中に断面が増える方向は
あっても、断面が小さくなる方向にはならないからです。
具体的には
コンクリート打設中は、当然ながら型枠の内部に充填されるので
内部から外部に向かって圧力がか掛かるので、型枠の動きとしては
外側にふくれる形となります。俗に「型枠がはらむ」という状態です。
だから
「断面欠損にならないから良いじゃないか。
多少は儲けさせてやれよ~」
というのが私の意見だったのです。というのも
コンクリートの許容値は基本的にプラス側しかありません。
マイナス側に動くのは断面欠損などの構造欠陥に直結しますし、
先程の説明の通り、型枠寸法さえ合っていれば欠損しないからです。
更に
基礎の許容値は50mmまではOKなので、少々型枠がはらんでも
大丈夫なんじゃないのかとも考えていますし、表面の状態にしても
ピットなどで後から「コンクリート素地」として見えるところの
型枠は、状態の良い型枠を使用するように私も型枠大工さんも
配慮していますからね。
具体的には
「建築工事監理指針(令和元年版上巻) [ 国土交通省大臣官房官庁営繕部 ]」
で許容値などを説明していますので、数値にも気にしながら
該当部分を確認して下さいね。
P.363
(2) コンクリート表面の仕上り状態
(ア) せき板に接するコンクリートの仕上り状態は特記によるが、コンクリートの打放し仕上げの場合は、「標仕」表6.2.4の種別に応じた「表面の仕上り程度」を目安とする。コンクリートの仕上り状態を良好にするには、不陸を少なくするために変形量の少ない型枠設計を行い、コンクリート打込みの際は、目違い等が生じないようにコンクリートの締固めを行うことが重要である。
(イ) コンクリートの仕上りの平たんさは、せき板に接する面は型枠の変形等により、せき板に接しない床上面等は左官の均し精度により決まる。
平たんさの測定方法には、「JASS5」で定められたJASS5 T-604 (コンクリー卜の仕上がりの平たんさの試験方法)があるが、試験用器具が特殊で、取扱い方法も難しいため、一般的には下げ振り、トランシット、レベル、水糸、スケール等を使用して、コンクリー卜面の最大、最小を測定する方法等で行われている。「標仕」表6.2.5 の平たんさの種別は、仕上げの種類だけでなく、建物の規模や仕上り面に要求される見ばえ等によっても異なるので、適切な値を品質計画で提案させ、検討するとよい。
なお、平成31年版「標仕」では、平成28年版「標仕」の表6.2.5において示されていた「適用部位による仕上げの目安」、すなわち、具体的な「仕上げの種類」を削除し、「コンクリートの内外装仕上げ」と所定の「平たんさ」のみを示し、適用部位は特記することとした。
「公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)(平成31年版) [ 国土交通省大臣官房官庁営繕部 ]」
表6.2.3 部材の位置及び断面寸法の許容差の標準値
項 目 許容差(mm) 位 置 設計図書に示された位置に対する各部材の位置 ±20 断面寸法 柱、梁、壁の断面寸法及びスラブの厚さ 0
+20基礎及び基礎梁の断面寸法 0
+50
表6.2.5 コンクリートの仕上りの平たんさの種別
種別 コンクリートの
内外装仕上げ平たんさ a 種 コンクリートが見え掛りとなる場合又は仕上げ厚さが極めて薄い場合その他非常に良好な平たんさ及び表面状態が必要な場合 3mにつき
7mm 以下b種 仕上げ厚さが7mm 未満の場合その他良好な平たんさが必要な場合 3mにつき
10mm 以下c 種 仕上げ厚さが7mm 以上の場合又は下地の影響を受けにくい仕上げの場合 1mにつき
10mm 以下
つまり
コンクリートの仕上りの状態と精度の基準はどのくらいについて
コンクリートに関する部材の位置については±20mm以内、
断面寸法などについては柱・梁・壁・スラブに関しては+20mm、
基礎に関しては+50mmといってマイナス方向になってはいけません。
そして
コンクリートの表面の仕上がり面については、せき板の状態で
決まってくることがほとんどなので、仕上の種類や部位によって
適切なせき板(コンパネ)を選定する事が大切です。
そこで
決して、せき板(コンパネ)の選定については大工さん任せにせずに
コンクリート表しになるような所など譲れない部位は指示してね。
後々の検査時に「これどうするの?やり直す?」と言われないようにね。
こちらの記事の状態にならない様にするのがあなたの役目ですからね。
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