場所打コンクリート杭の場合は特に、杭を打設したあとは
杭の天端より上は空洞になってしまっている。
なぜなら
アースドリル工法のようなケーシングを全面に使用しない
工法であっても、先端部分は地盤の崩壊防止のために
ケーシングを使用している事が多いので、外部からの土砂の
流入がなくなるので、なおさら杭天端上部は空洞になりやすいから。
そこで
杭を打設した後は、杭孔を土で埋め戻すのが一般的。
でないと、誰かが杭孔に落ちてしまう危険性があるからね。
しかし
「建築工事監理指針(令和元年版上巻) [ 国土交通省大臣官房官庁営繕部 ]」には、
埋め戻しを行うのはどんな土でも良いわけでなく「良質土」と書いてある。
では
なぜ「良質土」の必要があるのだろうか?
答えは、監理指針に書いてあるので読んでみよう。
P.264
(10) 埋戻し
コンクリート打込み後、杭孔が残る場合は、孔への落下防止と孔周辺地盤の崩壊防止のため埋戻しを行う。
埋戻しは、硬化し始めた杭に悪影響を与えないように敷地内の良土を静かに投入して行う。この良土は、根切りの際、杭位置の目印にもなる。
この文章を最初に読んだときに
「監理指針を作る人もこんなこと考えるんだ~」
とナンとも言えない驚きがあった記憶がある。
確かに
掘削をしている時に杭の形で色の違う土質があれば、
実際に目印にもなるし、何より「下部に杭がある」
という認識を持つことで、掘削時に杭を傷つける可能性が
圧倒的に減るのが品質的にもメリットである。
というのが本筋。
しかし
実は、私の本音は少し違った所にあったのだ。
というのは
実際に、掘削前に大まかに測量をし直して掘削ラインを出したあと
「本当に基礎の下に杭が有るのだろうか?」
という一抹の不安を抱えているからだ。
多分、大丈夫だとは思いながらも
「もしも、掘ってみて全然違う場所に杭があったら」
と、小心者の私は内心ドキドキしているから。
そこで
掘削をして円筒状の色の違う土が出てくると
「あ~、間違えていなかった」
と人知れず胸を撫で下ろしているよ。
つまり
杭穴の埋戻しに良質土を使うと監理指針に書いてある理由とは、
杭工事の後に掘削を進めていく上で、杭の所在の目印になるから。
確かに、掘削を進めていく上で円筒状の違う色が土が有れば、
目安になるし、杭があると分かっているので傷つける可能性も減るはず。
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