梁の貫通孔は基本的にすべての貫通孔毎に計算をして
それぞれの補強方法を決めています。
当然ながら計算結果などは工事監理者さんに提出して
承認を貰ってから施工します。
しかし
「スラブなんて大体同じような配筋なんだから
いちいち計算しなくても良いのでは?」
とあなたも感じているかも知れませんね。
そこで
まずは「鉄筋コンクリート造配筋指針・同解説第5版 [ 日本建築学会 ]」
の該当部分を確認して下さい。
P.241
[注]
(1)開口によって切断される鉄筋と同量の鉄筋で周囲を補強する(上下筋とも).
(2)補強筋は鉄筋の間隔を50mm程度あけて配筋する.
(3)斜め補強筋は上下筋の内側に配筋する.
(4)開口が梁に接している場合は,補強筋の定着長さは梁面からの長さとする.
P.246
e.開口補強
a) スラブの開口補強は原則として一つ一つの開口について構造計算で安全性を確かめる必要がある.これは同じ形状の開口であっても,スラブの形や開口の位置などによって応力が異なるためである. しかし, 実際にはすべての開口について構造計算することは困難な場合が多く,最大径が700 mm 程度以下の開口であれば,図のような配筋方法で問題はない.
ただし,スラブ筋が密に配筋されている場合は,スラブに特別な応力が生じている可能性があるので注意し,配飭ピッチが150mmを下回る場合には構造計算で確かめるのがよい.解説図9.15 に補強例を示す.
解説図9.15 開口補強例
と言うことで
基本的には、スラブも配筋は同じとはいえ場所により、
応力状態が違うので1つずつ計算するのが「基本的な考え方」
みたいですね。
しかし
実際の運用的には700mm以下程度であれば特記仕様書で定めた
補強要領で対応しても良いというのが結論でした。
ただ
私がこの結論についての率直な感想は
「700mmって大きすぎないか?
梁の人通口でも600mmだぞ~!」
実際に
梁の場合だと、配管を通すための貫通孔と
人が出入りするための人通口では補強要領が違います。
大抵の図面には「人通口の場合」という別の補強要領が記されています。
だから
スラブの場合も、例えば300mm以下なら特記の通り、
と言うのであれば私は納得できるのですが、
さすがに人がストンと落ちてしまうような径の開口まで
まとめてしまうのであれば
スラブの開口補強は原則として一つ一つの開口について構造計算で安全性を確かめる必要がある.これは同じ形状の開口であっても,スラブの形や開口の位置などによって応力が異なるためである.
という最もらしい文章なんて単なる「飾り」ではないか?
と感じてしまうのは私だけでしょうか?
だけど
逆を言ってしまえば、スラブの応力なんて大抵同じようなものなので
ほとんどの開口補強は同じような補強要領でOKという事ですから、
考えることが1つ減ってラッキーなのかも知れませんね。
つまり
スラブ筋の開口補強はどのサイズまで凡例が適用出来るのか?
については一般的には700mm程度以下のサイズについては
特記仕様書などに記載されている補強要領に従えば良い。
ただし
配筋ピッチが150mm程度以下になっているスラブにおいては、
特別な荷重を考慮している場合があるので、梁貫通補強などのように
設計者に確認することをオススメしますよ。
更に
梁の貫通補強筋については過去に記事にしているので
合わせて読むことで理解がより深まりますよ。
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