コンクリートポンプ車は建築現場で一般的に使われる機械で、
ブームと呼ばれる部分を動かして目的の打設場所まで先端を移動します。
引用:極東開発工業の商品ページ
また
コンクリートの打設箇所は1ヶ所に集中するなではなく、
数スパン単位で打設するためブームが届く範囲であれば、
打設箇所に応じてブームを移動していくのです。
そこで
コンクリートの打設計画を立てる時には、コンクリートポンプ車の
設置可能な位置とそこからのブームの長さを検討しましょう。
ブームが足りない部分は配管をつなげていく事により、
コンクリートの打設は可能ですが、効率はガクンと落ちるので
出来るだけブームの届く範囲で打設が出来るような計画を
立てることが望ましいです。
そして
ブームの先端には打設しやすくするためにフレキシブルホースを
付けて打設しますが、設置可能な長さが決まっていますので
その範囲内で計画してください。
次に
ブームだけで届かない場合は、配管を行うと先ほどお伝えしましたが、
コンクリートの打設中は非常に強い圧が掛かるため、かなり揺れます。
配管が揺れることで、型枠や足場などと接触すると破損したり、
精度が狂う可能性が大きいのでしっかりと保持することが大切です。
具体的には
足場などには接触しないようにブームなどの位置をセットして、
スラブ上などは、鉄筋や型枠などに直接当たらないように
「馬」を設置します。
3つ目に
1時間当たりの圧送量の確認が必要ですが、
あなたが1時間あたり100m3打設するという計画でない限り
一般的には問題になることはありません。
4つ目に
大きく分けると建築と土木では圧送管の径は異なります。
正確に言うと、ブームの径は替えられないので配管部分の径が
異なっているのです。
そこで
圧送管の径は打設するコンクリート内の骨材の大きさで決まるので、
20mmの骨材を使用する事の多い建築現場では100mmの径を使用します。
この辺りはわざわざ確認しなくても問題にならないとは感じますが、
知識としては知っておいて下さいね。
最後に
コンクリートポンプ車のブームの中、もしくは配管の中にトラブルで
閉塞してしまったコンクリートの扱いについてです。
時間がそれほど経過することなくトラブルが解消されて、
コンクリートの性状に変化がない場合は打設を継続できますが、
もしも、性状が変化して打設するには適当ではない場合は
「廃棄」する必要があるので、もしトラブルになった時に備えて
どの場所に一時的に出して、産廃として処分できる場所(コンテナなど)
にどうやって運ぶ事が出来るか?
を一度想像してみると、いざという時に非常に効果的ですよ。
最後に
「建築工事監理指針(令和元年版上巻) [ 国土交通省大臣官房官庁営繕部 ]」
の該当部分を確認して下さい。
P.409
(3) コンクリートポンプによる圧送を採用する場合には、工事現場の立地条件、コンクリートの種類、1日の打込み量等を考慮し、適切なポンプの機種及び台数を選定する。また、ブーム付きポンプ車以外の場合のフレキシブルホースの長さ (100A管以下では 6m 以下、100A管を超えるものは 5m 以下) のほか、次に示す点に対する配慮が必要である。
(ア) 輸送管は、圧送中に前後左右に動くので、鉄筋や型枠に輸送管がじかに接していると配筋の乱れ、型枠の変形等の原因となる。したがって、輸送管の保持については、「標仕」 6.6.1(3)(ア) を厳守させることが大切である。
(イ) 輸送管の径が大きいほと、圧力損失が小さくなり 、圧送性が向上する。したがって、輸送管の径が大きいほど圧送可能な距離や高さが大きくなるとともに時間当たりの圧送量も増える。輸送管の径の選定に当たって考慮すべき事項については「標仕」 6.6.1(3)(イ) に示されている。
…… 中略 ……
(エ) 圧送されたコンクリートで圧送途中に著しく変質した部分及び圧送中に閉塞したコンクリートは、施工上又は品質上の問題があるので廃棄する。
「公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)(平成31年版) [ 国土交通省大臣官房官庁営繕部 ]」
(3) コンクリートポンプによる圧送の場合は、次による。
(ア) 輸送管の保持には、支持台に道板を置いたもの、支持台、脚立、吊金具等を使用し、輸送管の振動により、型枠、配筋及び既に打ち込んだコンクリートに有害な影響を与えないこととする。
(イ) 輸送管の呼び寸法は、圧送距離、圧送高さ、コンクリートの圧送による品質への影響の程度、コンクリートの圧送の難易度、気温等、単位時間当たりの圧送量及び粗骨材の最大寸法を考慮して定める。ただし、粗骨材の最大寸法に対する輸送管の呼び寸法は、表6.6.1による。
表 6.6.1 粗骨材の最大寸法に対する輸送管の呼び寸法
粗骨材の最大寸法(mm) 輸送管の呼び寸法 20 100A以上 25 40 125A以上
つまり
コンクリートポンプ車で打設する前に確認すべき5つのポイントとは
- コンクリートポンプ車のブーム及びフレキシブルホースの長さ
- 輸送管の保持方法
- 1時間当たりの圧送量
- 圧送管の径
- 閉塞した場合のコンクリートの処理方法
その他に、打設前の準備作業として「先送りモルタル」がありますが
こちらは次回にお伝えする予定なので合わせて確認して下さい。
実は
私はコンクリートポンプ車での打設方法というのは、
距離などが足らなければ配管などでつなぐ事が出来るので
安易に考えてしまいがちですが、事前に検討しておかないと
当日に全く予定通りに進まなくて、工程的にもコスト的にも
大きな損害を与えてしまう危険性が秘めていると感じています。
だから
「準備」「段取り」「打合せ」って大事ですよね。
不足していると薄々感じているあなたにはこちらがオススメですよ。
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