一般的に使用されている普通コンクリートについては
「150m3ごとに試験を行う」というのは私の中では当たり前です。
あなたの中の当たり前としてはどうでしょうか?きっと同じだと感じます。
だから
コンクリート打設前の受入試験を終った後には、試験担当者が
「次は150m3超えた辺りですから○○時頃ですね~」
と言って消えてしまうことがありますよね。
では
ここまででTMの考えている「誤解」があったのでしょうか?
答えは
「NO」です。
とくに誤解は有りません。
実際に
150m3ごとに試験を行うのであれば400m3であれば、
「3回」行えば規定を満たしているので全く問題ありません。
400m3の場合では、コンクリートのスランプや空気量は
打設前、150m3、300m3をそれぞれ超えた辺りに
実施することになるでしょう。
また
供試体は分散して均等に採取する場合は、それぞれの台数の間で
均等割にすればよいので常識的には「分散」されて採取できている
という認識にズレはないはずです。
だから
ここまでは、私の認識とあなたの認識の間に「ズレ」は
生じていないと考えています。
しかし
コンクリートの予定数量が「160m3」の場合は、あなたとしては
下記のどちらのコンクリートの試験の計画を立てるでしょうか?
- 50m3を超えた時期から10m3の間で急いで試験を終らせる。
- 160m3を均等に分けて2回の検査を行う。
正解は「2」ですが、私自身も「1」で無理やり対応したことが
実は何度もあるのですが、あなたはいかがでしょうか?
「えっ、150m3に達しなくても2回目の試験して良いの?」
とあなたは感じたかも知れませんね。これが私の言う「誤解」です。
私自身も昔は「1」の採取方法が当たり前だと考えていましたからね。
実際に
150m3で割った端数が多い時は、その端数の中で採取すれば
ほぼ問題ないのですが、端数が少ない場合には採取方法の正解を
「理解」していても難しいのが現実なのです。
なぜなら
コンクリートの数量というのは何故か、予定した数量と実際の
打設数量が大きく違うことがあります。
マンションのような下階と全く同じ形状を打設する場合においても
毎回打設数量が2~3%違うことも実際に経験しています。
例えば
コンクリートに含まれる空気量が1%違えば結果は違うでしょうし、
コンクリートの床面の高さが5mm違っても結果は違います。
だから
例えば、コンクリートの予定数量が295m3であれば、予定通りの
数量で打設が終われば3回目の試験は必要ありませんが、何らかの
要因で300m3を超えることがあれば、途端に3回目の試験が
必要になってしまいますので、先ほどの「1」のパターンでバタバタを
受入試験を行わないとイケなくなるパターンがあるからです。
「現場はあなたの思い通りには行かない事が多い」
という事を認識して、無駄になっても良いので試験を行うのか?
自分を信じて「ギリギリ」まで試験を行わずに見守るか?
全てはあなた次第ですからね!
最後に
「建築工事監理指針(令和元年版上巻) [ 国土交通省大臣官房官庁営繕部 ]」
の該当部分を確認して下さい。
P.465
6.9.3 コンクリートの強度試験の総則
(1) コンクリートの強度試験には、調合管理強度の判定のための試験、型枠取外し時期を決定するための試験及び構造体コンクリート強度を判定するための試験の 3種類があり、それぞれの強度試験の回数は、「標仕」6.9.3(1)のように定めている。
具体的には、1回の強度試験はコンクリートの打込み日及び打込み工区ごとに行い、例えば 1回及び打込み工区の打込み置が 150m3 を越える場合は 150m3 以下にほぼ均等に分割した単位ごとに行うことになる。
(2) コンクリートの強度試験の具体的方法として、1回の試験に用いる供試体の個数及び試料採取の方法、供試体の作製方法、養生方法及び、養生温度並びに圧縮強度試験方法について「標仕」6.9.3 (1)では、次のように定めている。
(ア) 1回の試験の供試体の個数及び試料採取の方法
(a) 1回の試験の供試体数は、「標仕」表 6.9.2 に示された「調合管理強度の判定」、「型枠取外し時期の決定用」、「構造体コンクリート強度の判定」等、試験の目的に応じてそれぞれ 3個必要である。また、構造体コンクリート強度の判定は、平成 28 年 3月 17日に改正された告示「設計基準強度との関係において安全上必要なコンクリート強度の基準等」に基づき、現場水中養生(材齢 28 日) と現場封かん養生 (材齢 28 日を超え 91 日以内) 及び標準養生( 材齢 28 日) の 3種類のいずれかを満足する必要がある。
なお、コンクリートの打込み・養生時期等によって、材齢 28 日では所定の圧縮強度が得られないことが懸念される場合は、材齢 28 日で判定を行うための供試体のほかに、材齢 28 日を超え 91 日以内で判定を行うための現場封かん養生用供試体を別途用意しておくとよい。
ただし、供試体の養生方法及び材齢は、「調合管理強度の判定」、「型枠取外し時期の決定」、「構造体コンクリート強度の判定」のそれぞれで巽なるため、注意しなければならない (表 6.9.2参照)。
(b) 供試体の個数は、「標仕」表 6.9.2による。例えば、1日の打込みが 150m3 の場合、「構造体コンクリー卜強度判定j は、 0 ~ 50m3、50 ~ 100m3、100 ~ 150m3 のそれぞれ中程の運搬車から試料を採取し、供試体を 1個ずつ、合計 3個作製することになる。「型枠取外し時期の決定用」も上記「構造体コンクリー卜強度判定」と同様の方法で 3個の供試体を作製し、1回の試験にこの 3個の供試体を使用する。
一方「調合管理強度の判定用」の場合は、「標仕」6.9.3(1)の量を 1回 の試験ロットとし、この中の任意の運搬車を 1台選び、この運搬車からコンクリート試料を採取して同時に 3個の供試体を作製することになる。
「標仕」に基づき、1日の普通コンクリートの打込み最が 405m3 の場合の、供試体の採取例を表 6.9.2 に示す。
(c) 型枠取外し時期の決定のための圧縮強度試験及び構造体コンクリート強度の判定の場合は、「標仕」6.9.3 (1)で作製した 3個 の供試体を用いて圧縮強度試験した結果を 1回の試験結果(「標仕」6.9.1式で平均値を算出) とし、「標仕」6.8.4(2)及び同 6.9.5 に基づき 1回 ごとに判定を行う。
一方、調合管理強度の判定の場合は、「標仕」6.9.4 に基づき 1回の試験結果と 3回 の試験結果の平均値の両方で判定を行う。この際、上記 6.9.3(1)や表6.9.2等で記したように 1回の試験の最小単位は 1日 (及び打込み工区) で、150m3 を超える場合は 150m3 以下にほぼ均等に分割した単位となる。ただし、レディーミクストコンクリート工場及び種類が同じコンクリートを複数日に分けて打ち込む場合、例えば 1日の打込み量が 150m3 以下の時の同一打込み日
の調合管理強度の判定は規定では 1回までとなり、2回目及び 3回目の調合管理強度の判定に使用する供試体については、別の打込み日に採取したものを使用してもよい。
表 6.9.2 供試体の採取例
「公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)(平成31年版) [ 国土交通省大臣官房官庁営繕部 ]」
表 6.9.2 1回の試験、供試体の養生方法及び材齢
試験の目的 調合管理強度の判定 型枠取外し時期の決定 構造体コンクリート強度の判定 1
回
の
試
験頻度 打込み日ごと、打込み工区ごと、かつ、150m3以下にほぼ均等に分割した単位ごとに行う。 必要に応じて定める。 打込み日ごと、打込み工区ごと、かつ、150m3以下にほぼ均等に分割した単位ごとに行う。 供試体の個数 3 供試体の作製方法 1台の運搬車から採取した試料で同時に3個の供試体を作製する。 適切な間隔をあけた3台の運搬車から、それぞれ試料を採取し、1台につき1個(合計3個)の供試体を作製する。 養生方法(注) 標準養生 工事現場における水中養生又は封かん養生 工事現場における水中養生 工事現場における封かん養生 標準養生 材齢 28日 必要に応じて定める。 28日 28日及び28日を超え91日以内 28日 (注) 養生方法は、6.9.3(1)による。
つまり
コンクリート供試体の採取本数とピッチに関するよくある誤解とは?
170m3打設する場合は150m3.と20m3に分けて試験を行うため
のこりの20m3においてまとめて供試体を採取することです。
実際には
170m3で2セット試験を行うのであれば、170m3を2つに分けて
85m3で3回に分けて供試体を採取すれば良いのです。
すると
均等にコンクリートの供試体を採取できるので品質管理面では
非常によい管理方法となりますからね。
更に
コンクリートの供試体は採取して終わりではありません。
採取後の管理方法がしっかりとしていなければ驚愕の結果が待っています。
結果について知りたいあなたはこちらからどうぞ。
↓ ↓ ↓
この記事へのコメントはありません。