型枠支保工の存置期間を決めるのは強度?期間?それとも?

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型枠支保工は空中に作られた梁やスラブの強度が出るまでの
仮の支柱の役割を果たしています。

 

だから

コンクリート打設1日後に梁やスラブの型枠支保工を全て解体すると、
(と言いながらやったことがないのでどうなるかは想像ですが)

スラブが崩壊して抜けるまではならないにしても、
梁やスラブは自重に耐えかねて大きなタワミが発生して、
柱と梁の際や、梁とスラブの際でクラックが発生するのでは?
と想像してしまいます。

 

それだけ

梁とスラブの型枠支保工を外すタイミングは重要だと
私(と言うかあなたも含めて皆さん)が考えていることでしょう。

 

そこで

今回は型枠支保工を外すタイミングについてお伝えしていきましょう。

 

まず

型枠支保工で支持されている部分のコンクリートの強度が、
梁下では設計基準強度以上出ていれば型枠支保工を解体できます。

 

これは

所定の設計で建物に求めている強度が発現されているのだから、
型枠支保工の支えは不要でしょ。という当たり前の内容です。

 

一般的には

強度の発現までには普通ポルトランドセメントで2週間弱くらい
を想定しておくと良いでしょう。

 

ここで

本当はスラブの型枠支保工に関しては、もう少し早くに解体出来ますが、
スラブだけ解体して、梁を残す事を私は今までしたことがありません。
強度試験結果も支保工解体用は1回分しか採取しないので梁のみ検討します。

 

 

次に

ある一定の「期間」経てば必要な強度が今までの実験的に発現する
という考え方でも型枠支保工は解体出来ますが、建築現場の場合は
後に仕上げ工事が控えているので、悠長に解体時期を待つことは
「ほぼ皆無」だと私は考えていますので、強度管理が建築現場では
一般的と考えて良いでしょう。

 

 

3つ目は

ある「計算」に基づいて、設計基準強度が発現する前に「早期解体」
をする方法があります。

 

こちらは

  • 突貫現場などで早期に設備・仕上げ工事をしないと工期が間に合わない
  • 現場内に納入する型枠資材を抑えたい
  • 高層建築で外部足場が連層足場(スライド足場)などで、躯体の進捗と共に早期に無くなってしまう

という場合などに検討されることが多いです。

 

そして

早期解体に用いられる工法としては、パーマネント工法と呼ばれる
一部のパイプサポートを残して、他の支保工材を解体するという
工法などが多いですが、こちらについては後日また話題に取り上げます。

 

最後に

建築工事監理指針(令和元年版上巻) [ 国土交通省大臣官房官庁営繕部 ]
の該当部分を確認して下さい。

P.444

(b) 支柱の最小存置期間もせき板の場合と同様、材齢による場合とコンクリートの圧縮強度による場合とに分かれている。圧縮強度による場合は、スラブ下で設計基準強度の 85% 以上又は 12 N/mm2 以上、梁下では設計基準強度以上となっている。

なお、告示「型わく等取りはずしに関する基準」では、梁下の場合、「設計基準強度以上又は 12N/mm2上」としているが、「標仕」において、「又は 12N/mm2以上」が削除されたのは、安易に若材齢(低い強度)での取外しを認めるべきではないとの考え方によっている。さらに、 「施工中の荷重及び外力について、構造計算により安全であることが確認されるまで」となっており、施工中の荷重について検討が必要である。ただし、ここでいう構造計算とは型枠支
柱を取り外した後の施工中の荷重、コンクリートの変形、外力等について行った構造計算であり、設計時の構造計算とは別のものである。

材齢による場合は、せき板と同様、存置期間中の平均気温とセメントの種類の組合せにより必要な期間が定められている。

(イ) 支柱の存置期間を構造計算によって算定する方法については、「型枠の設計・施工指針」等に記載されている。参考として、「JASS 5」 9 節 [型枠] における存置期間の考え方の骨子を次に示す。

(a) 支柱は、コンクリートが施工中の荷重によって有害なひび割れやたわみを生じることのない圧縮強度以上になるまで取り外さないことを基本とする。

(b) 床スラブが、有害なひび割れを起こす可能性のある条件として、施工荷重時の曲げひび割れ強度 0.64√Fc (Fc:設計基準強度に対応した28日圧縮強度 N/mm2) 以上となる場合を一つの目安としている。ただし、梁部材は一般的に鉄筋量も多く、部材せいも大きいので、たわみやひび割れへの影響は小さいと考えこの規定から除外する。

(c) 支保工を早期に (設計基準強度未満) 取り外すための条件として、上述の 0.64√Fc を安全率 1.25 で除した許容曲げ応力 0.51√Fc を掲げ、施工荷重時の曲げ応力 σ0 が、この数値以下となることとしている。

(d) 施工荷重は最下階支持スラブ、梁に作用する施工荷重の値を示している。この場合、コンクリート打込み時、支保工1層受けと2層受け以上でそれぞれ異なる。

(e) 構造体コンクリートの強度発現は、現場水中養生供試体又は現場封かん養生供試体の圧縮強度試験値から推定し、上の条件を満たすのに必要な強度管理として現場水中養生供試体又は現場封かん養生供試体の試験値を使用する。
すなわち、施工荷重による曲げ応力 σ0 に対して取外し可能なコンクリートの圧縮強度F1を「所要圧縮強度」と定義し、F1 = σ0^2 / 0.51^2 (^はべき乗) として、圧縮強度試験により管理する。

(ウ) 告示「型わく等取りはずしに関する基準」の改正に伴い、新たに第1 第一号ロに「コンクリートの温度の影響を等価な材齢に換算した式によって計算する方法 (以下、「等価材齢換算式による方法」という。)が追加された。受注者等から、この方法によって基礎、梁側、柱及び壁のせき板の取り外しを行うことを提案された場合は、実施の可否、実施方法等について、受注者等と協議して定める。

なお、同方法の具体的な運用については、同告示と 同時に国土交通省住宅局建築指導課長より発出された技術的助言 国住指第4893号 平成28年3月17日 「コンクリート強度並びに型わく及び支柱の取り外しに関する基準の改正について」の「2 型わく及び支柱の取り外しに関する基準 (昭和46年 建設省告示 第110号) の改正について」に基づいて、国立研究開発法人 建築研究所の 「建築制究資料 No.168 型わくの取り外しに関する管理基準の検討」の [第Ⅱ編 せき板の取り外しに係わる積算温度を用いた管理要領 (案)] を参考にするとよい。

 

公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)(平成31年版) [ 国土交通省大臣官房官庁営繕部 ]

表 6.8.3 支柱の最小存置期間

存置期間中の平均気温 スラブ下 梁 下
早強ポルトラドセメント 普通ポルトランドセメント、高炉セメントA種、シリカセメントA種、フライアッシュセメントA種 中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、高炉セメントB種、シリカセメントB種、フライアッシュセメントB種 左記の全てのセメント
コンクリートの材齢による場合(日) 15℃以上 8 17 28 28
5℃以上 12 25
0℃以上 15 28
コンクリートの圧縮強度による場合 圧縮強度が設計基準強度 (Fc)の 85%以上又は12N/mm2以上であり、かつ、施工中の荷重及び外力について、構造計算により安全であることが確認されるまで。 圧縮強度が設計基準強度(Fc)以上であり、かつ、施工中の荷重及び外力について、構造計算により安全であることが確認されるまで。

(注) 圧縮強度を圧縮強度試験により確認する場合は、6.9.3(1)(イ)による工事現場における水中養生供試体又は封かん養生供試体の圧縮強度とする。

 

つまり

型枠支保工の存置期間を決定する要因は

  1. 強度の発現による確認
  2. 所定の期間存置する場合
  3. 所定の強度が発現していなくても計算などに基づく早期解体

の3つがあります。

特に、3については計算に基づいて全体的に解体する方法もあれば、
主要な一部の支保工は残しつつ、他の支保工およびせき板を
解体する工法など色々あるので、次々回にお伝えする予定ですよ。

 

しかし

せっかく良い工法を見つけたとしても、すぐに現場で反映できるか?
というと別の問題です。あなたが上司を上手く説得出来なければ、
せっかくの提案も水の泡ですからね。

 

だから

上司を説得するコツはこちらでお伝えしますので
是非参考にしてみて下さいね。

↓ ↓ ↓

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