「JIS工場で製造されたコンクリートなんだから品質に違いあるの?」
とあなたは感じるかも知れません。確かに、「呼び強度」の通りに
結果を出すという意味においては全国どの工場でも変わらないでしょう。
でも
あなたの地域でもありませんか?
「○○の生コンは良いけど、△△の生コンは悪いよね」
とコンクリート打設中に作業員さんが呟いていることって。
実は、気付いいないかも知れませんが大義名分の「強度」という
結果には現れてこないレベルで工場ごとの違いがあるのは事実なのです。
例えば
ちょっと脱線してしまいますが、畑で「玉ねぎ」をつくるとします。
多分、全国どこでも玉ねぎは生産出来ると思いますし、家庭菜園でも出来ます。
そして、出来がったのは同じ形の玉ねぎかも知れませんが、
味は全く同じでは無いはずです。
「そりゃ、土や肥料や水が違えば味も違うよね」
と、当然のようにあなたは考えるでしょうね。
そうです、同じコンクリートでも、セメントや水、骨材が違えば
全く同じ品質にはならないのです。
そして
コンクリートの品質に大きく影響を与えるのは骨材です。
骨材というのは、砂のような粒子の小さな細骨材と、
砕石のような大きさが20mm以下が建築では一般的な粗骨材です。
では
「粗骨材に現場でこだわるのはどんな時?」
という疑問を持ちながらあなたは読んでいるかも知れないので
回答すると、骨材が現場で一番影響するのは「乾燥収縮率」です。
きっと
コンクリートの配合報告書を読んでも乾燥収縮率については記載されていません。
「乾燥収縮率」とは文字通りコンクリートが乾燥する過程で
どのくらい収縮するか?を示した値なので小さい数値の方が良いです。
ただし
普段の現場ではあまり気にならないかも知れません。
コンクリートは乾燥収縮することは常識的に知られていますし、
床であれば、フローリングやタイルを張れば隠れてしまうからです。
しかし
工場や倉庫などでコンクリートを押さえて仕上げになる建物では、
床コンクリートのクラックは非常に嫌われるクレームの元でもあります。
だけど
使用する骨材は地域性が非常にあるので、地域では大きく変わりません。
配合報告書を読むと同じ地区の生コン工場では、産地は大抵同じです。
いくら、乾燥収縮率の良いコンクリートを探しても限界はあるのです。
だから
この地域のコンクリートは、このくらい収縮するから、
クラックを防ぐためには膨張剤をこのくらい入れよう。
という様な対応になりますが、私は「事前に知っておく」
という事は大切なので、気になれば生コン工場へ問い合わせて下さい。
ちなみに
乾燥収縮率をおさえるには、骨材は「石灰石系」がよいみたいです。
砂岩、花崗岩などはバラつきが大きいので地域によって確認する
必要があると私は感じています。
余談ですが
コンクリートの品質は関東がよく、関西は悪いと言われる人がいるのは、
単純に骨材の産地からくる種類の違いが大きいので、決して
生コン工場のレベルの差ではないとも考えていますよ。
最後に
「建築工事監理指針(令和元年版上巻) [ 国土交通省大臣官房官庁営繕部 ]」
の該当部分を確認して下さい。
P.376
(f) 全国的に見た骨材の品質と種類を、図6.3.6に示す。
(注) 関東Ⅰ区:埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県
関東Ⅱ区:茨城県、栃木県、群馬県、長野県、山梨県図6.3.6 全国的に見た骨材の種類 (2017暦年)
(経済産業省製造産業局住宅産業窯業建材課
平成 29年 (2017) 生コンクリー卜統計年報のデータによる)
つまり
コンクリートの骨材の材料は全国で産地がバラバラのため
特性も微妙に変わってくるのが実情なのです。
もしも
あなたが全国規模の会社で働いているのであれば
地域の特性を知っておくことも大切だと感じるし、
その地方だけに根付いた会社であれば、客先や設計事務所
対応だけで、そういう事もあると認識しておけばよいと
私は考えています。
それは
自分の置かれている状況を1つ上のレベルで俯瞰して
客観的に見ることにもつながっていくのではないかとも
考えているので、たまには必要だと感じますよ。
そうすれば、こちらの記事にあるような考え方に
近づいていくかも知れませんからね。
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