前回は、鋼管杭のデメリットについてお伝えした。
そこで、今回は鋼管杭のメリットについてお伝えする。
まずは
工場製作品であるため、安定した材料品質が得られる。
ということで、場所打ち杭のように現場で配筋やコンクリートの
品質管理を一生懸命行わなくても良い。
これは
既製コンクリート杭の場合でもそうだけど、工場製品であることの
最大のメリットではないか?と私は考えている。
「だって、現場の手間は1つでも減らしたいからね」
2つ目は
曲げに強く、水平力を受ける杭に適するということ。
特に
埋立地や海岸沿い、河川沿いなどの立地においては、
地震時の「液状化現状」の懸念があるために、
どんな種類の杭に対しても上部は「鋼管巻き」の場合が多い。
すると、当然コストアップにつながる。
そこで
元々、鋼管で構成されている鋼管杭は、他の工法における
コストアップ要素を、あらかじめ取り込んでおり価格差が縮まる。
そして、この水平力による抵抗は次のメリットにもつながる。
3つ目は
応力に応じて材質や肉厚を変えた合理的な設計ができる。
これは、先程の項で取り上げた、液状化対策などの場合に有効。
実は、場所打ちコンクリート杭でも、既製コンクリート杭でも
配筋の仕様は、杭の上部のほうが強い構造であることが多い。
それと同様に、鋼管杭でも外径は同じでも「肉厚」を変えることで
柔軟に杭の設計を経済的に行なうことが出来る。
私自身は経験していないが、鋼管杭で長さごとに肉厚の違う
設計図を目にしたことがあるのはそのような理由だろう。
4つ目は
支持地盤の不陵に対応しやすい。
だけど、これはメリットになる場合もあるし、ならない場合もある。
というのは、上から下まで同じ鋼管で構成されている杭であれば、
もしも、支持地盤が高めに出て「高止まり」をした場合でも、
「切断」することが可能だからである。
逆に、支持層が低く目に出た場合には「継ぎ足し」が可能だから。
という事は、支持地盤のレベルが安定していない地層での
工事において、「再製作」などのリスクが減るから。
しかし
先程の項でお伝えした、肉厚が異なる構成の鋼管杭であれば
単純に「切断」や「継ぎ足し」を行ってしまうと、杭としての所定の
耐力を得ることが出来ない場合が多いので、構造設計者と
協議をしながら対応を進めて欲しい。
メリットとしては、あと3つあるのだが長くなるので、
続きは次回に持ち越しね。
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