鉄骨のボルトの周囲だけ、あえて塗装しない理由とは?

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鉄骨造は比較的プランの自由度が高いので、階高の高い建物とか、
大空間の建物に用いられやすいので、組立て終わった鉄骨梁は
高所作業車や足場でないと届かない事もしばしばあります。

 

すると

鉄骨製作工場や、現場のヤードで出来るだけの作業を終わらせて
最終的に、後からしか出来ない部分のみ、高所作業車などで施工
するというのが、コストも含めて効率的です。

となると、鉄骨梁や柱は、仕上りに支障が無ければ出来るだけ、
事前に塗装作業を終えておく方が、後工程の作業は少なくなります。

 

だからといって

鉄骨梁の全ての部分を塗装してよいわけではありません。
ボルトの周辺(スプライスプレートのかかる部分とその周囲)
は塗装をせずに、鉄骨の素地のままにしておく必要があります。

 

なぜなら

ボルト接合の場合は、柱と梁の鉄骨をスプライスプレートで挟んで
ボルトで締付けて、それぞれの部材の摩擦で接合としているので、
塗装面を間に挟むと、滑ってしまって必要な耐力が得られないからです。

 

だから

ボルト接合面には、わざと錆を発生させるなどして、摩擦を確保するための
処置をおこなって、わざわざ滑りにくい状態を作り出しています。

スプライスプレートと鉄骨部材は滑りやすい状態であれば、せん断力は
ボルトだけに負担が行く形になってしまうので、最悪の場合はボルトの
切断などの事故につながる危険性も0では無いですからね。

 

ちなみに

大空間で鉄骨梁を何本かつなぎ合わせないといけない場合は、
鉄骨のヤードが現場で確保できる場合は、ヤード上で事前に組立(地組)
をしておいて、ボルト締めをしたのちに、所定の塗装まで終えた後に
組立を行えば、後作業は少なくて済みますが、楊重するクレーンの
大きさアップするので、それぞれの費用を比較してコストメリットのある
方を採用することをオススメしますよ。

 

最後に

建築工事監理指針(令和7年版上巻)」の該当部分を確認して下さい。

P.554

7.4.2 摩擦面の性能及び処理

(1) すべり係数値は、表 7.4.3 に示すように、摩擦面の状態によって大きな差があるが、「標仕」7.4.2 に定めた状態であれば、すべり係数値は 0.45 以上になる。

(2) 「標仕」7.4.2に定められた錆の発生状態は、鋼材の表面が一様に赤く見える程度のことであり、少ないのも、浮き錆に近いのも不適当である。「JASS 6」では、2018年 版より前は、自然発せい若しくはブラスト処理を原則としていた。その後、薬剤による処理を施した摩擦面のすべり係数試験結果が蓄積され、その性能が把握でき使用頻度も高くなってきていることから、2018年版から「摩擦面の発せい処理」は、自然発せいと薬剤発せいが選択肢として並記され、発せい処理またブラスト処理のいずれかの方法とすることになった。「JASS 6」 では、薬剤発せいの場合、「摩擦面はデイスクグラインダなどにより、摩擦接合面全面の範囲について黒皮を除去した後、薬剤を塗布して、所定の期間養生し、赤さび状態を確保する。ただし、黒皮除去も同時に行う薬剤は除く」としている。薬剤処理による発せいは、自然発せいの化学変化を時間的に促進することであり、黒皮除去の方法や摩擦面の取扱いについての注意事項は、自然発せいの場合と変わりはない。現在市販されている薬剤には、原液のまま塗布するタイプと十数倍程度に希釈して塗布するタイプがある。

(3) ブラス ト処理により表面粗度を50脚 Rz以上 (70脚 Rz程度)確保できれば錆の発生は必要ない。ブラスト処理にはサンド、ショット及びグリットによる方法があるが、このうちサンドブラストでは十分な表面粗度が得られないため、「標仕」で規定されているのは、ショットブラスト及びグリットブラス トである。
平成31年版「標仕」から、摩擦面をブラス ト処理する場合、監督職員の承諾を要しないこととなった。ただし、対比試験片との照合等により、摩擦面の状況を確認する必要がある。

(4) 接合部の力を伝達する部分には、すべり係数の小さいものを挟んではならないので、フイラープレートも主材と全く同様に処理しなければならない。

(5) ミルスケールの除去は、摩擦接合面全面の範囲とする。

 

表7.4.3 各面のすべり系数値(μ)の値
塗装面 0.05 ~ 0.25
めっき面 0.10 ~ 0.35
黒皮面 0.20 ~ 0.40
磨き面 0.25 ~ 0.30
酸化炎吹付け面 0.25 ~ 0.60
錆面(浮き錆除去) 0.45 ~ 0.70

 

 

つまり

鉄骨のボルトの周囲(スプライスプレート廻り)だけ塗装しない理由は、
ボルト接合の品質を保つために、摩擦のある表面状態を確保するためです。
ボルトがしっかりと締まっているという品質を確保することは非常に大切です。

途中で緩んでしまいました!なんて言う事態になると、建物自体の構造を
疑われても仕方がありませんからね。

 

あっ、そうそう

ボルトと言えば、一般的によく使われているのがトルシア形高力ボルトですが、
トルシア形高力ボルトが使えないケースって知っていますか?
即答できないあなたは、こちらの記事も合わせて読んでみて下さいね。

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