コンクリートは指定建築材料です。
指定建築材料というのは、建築基準法で決められている材料で、
材料の規定が下記のように決まってきます。
建築基準法
(建築材料の品質)
第三十七条 建築物の基礎、主要構造部その他安全上、防火上又は衛生上重要である政令で定める部分に使用する木材、鋼材、コンクリートその他の建築材料として国土交通大臣が定めるもの(以下この条において「指定建築材料」という。)は、次の各号の一に該当するものでなければならない。一 その品質が、指定建築材料ごとに国土交通大臣の指定する日本工業規格又は日本農林規格に適合するもの
二 前号に掲げるもののほか、指定建築材料ごとに国土交通大臣が定める安全上、防火上又は衛生上必要な品質に関する技術的基準に適合するものであることについて国土交通大臣の認定を受けたもの
つまり
建築基準法37条の第一項を確認すると「日本工業規格(JIS)」に
適合するものと記載があります。
となると、コンクリートを製作するにはJIS工場でないと
いけないと言うことになって今回の記事は終わってしまいます。
「おいおい、そんな結論なら記事にしないだろ!」
という声が聞こえてきましたので続けさせてもらいます。
実は
世の中にある生コン工場はJISの認定工場ばかりではありません。
もう少し正確に言うと、コンクリートのJIS認証は
工場ごとではなく製品ごとに行われます。
そして
JIS規格を維持しようとすると、色々資料を作成したり、
私たちが試験する以外にも供試体を採取したり面倒ですし、
コストも当然かかります。
だったら
「面倒くさいからJIS認証でなくても良くね?」
という工場も出てくる可能性もありますが、街中では他にも
競争相手がいるし、コンクリートを供給することを商売にしているので
JISを取得しないという事はまずないでしょう。
しかし
離島や山間部の田舎にポツンとある生コン工場であれば、
他に競争相手がいなければJIS認証なんて取らないかも知れません。
更に
周りを見渡しても他に生コン工場が無いので先程の工場を
使わざるを得ません。工事管理者さんから
「え~っ、JIS工場じゃないの?」
と言われたら、あなたはどうしますか?
ここで
JISには、Ⅰ類コンクリートとⅡ類コンクリートがあり、
Ⅰ類は先程のJIS認証を受けた製品で、Ⅱ類は認証は受けていないが
JIS A 5308に適合したコンクリートとされているので、
結論として「Ⅱ類コンクリートで承認が取れればOK」です。
更に
都会の生コン工場でなく田舎にいけばいくほど
JIS認証をその地域で良く出る程度の強度までしか取得していない
場合もあります(Fc33以上はJIS認証をとっていない等)。
その様な場合は、工事監理者さんと相談しながら、
試し練りで強度を確認して採用して貰うようにしましょう。
私も過去に同じような経験をしたことがありますからね。
最後に
「建築工事監理指針(令和元年版上巻) [ 国土交通省大臣官房官庁営繕部 ]」
の該当部分を確認して下さい。
P.358
(3) 平成16年6月に工業標準化法が改正され、平成17年10月1日からJISマーク表示制度は、国による認定制度から登録認証機関による製品認証制度となった。これによって、JIS A 5308 (レディーミクストコンクリート)もこれまでの「工場認定」から「製品認証」へと変更された。
「標仕」でも平成22年度版の改定以降、I類コンクリートは、JIS Q 1001 (適合性評価 - 日本産業規格への適合性の認証 - 一般認証指針) 及びJIS Q 1011 (適合性評価 - 日本産業規格への適合性の認証 - 分野別認証指針 (レディーミクストコンクリート)) に基づき、JIS A 5308への適合を認証されたコンクリート、Ⅱ類コンクリートは、I類以外のJIS A 5308に適合したコンクリートとされている。
「標仕」では、従来より建築工事には特別な場合を除き、JlS A 5308に適合するレディーミクストコンクリー卜で対応できると考えられている。そのうえで、適合を認証されたI類コンクリートを使用することを原則としているが、山間部、離島等で運搬可能時間の距離内にJISマーク表示認証を取得した製品(以下、この章では「JISマーク表示認証製品」という。)を製造する工場(以下、この章では「JISマーク表示認証工場」という。)がない場合でも、Ⅱ類コンクリー卜であれば、基礎や主要構造部等の建築基準法第37条に規定される部分に適用できると考えてよい。
P.359
表 6.2.1 J1S A 5308: 2019 (抜粋)によるレディーミクストコンクリートの種類
(注) 荷卸し地点の値であり、50cm止び60cmがスランプフローの値である。
つまり
コンクリートの工場は絶対にJIS認定工場でないとイケないのか?
については、認証方式が工場の認証方式から製品ごとの認証方式に
変わったので原則的にJIS認定製品である必要はありますが、
離島や山間部など特段の事情がある場合はⅡ類コンクリートで
よいと定められています。
更に
離島や山間部ではなくても、その地域で使用されることが少ない強度に
よってはJIS認証を取得していない場合がありますから、工事監理者さん
などと相談して、試験練りにて強度確認を行って使用するなどの措置を
とってもらうようにして下さいね。
更に更に
このように工事監理者さんなどに提案をしてあなたの考えている方向へ
もっていきたい時は、こちらの考え方を参考にしてください。
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