コンクリートの水平・垂直打継に関する11の基本的な知識とは?(2)

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前回は、打継に関する項目の全11項目のうち
1~6項目までをお伝えしました。
最初から読みたいあなたはこちらからどうぞ。

それでは進めていきましょう。

 

7つ目は

スラブの打継ぎについて、垂直打継はコン止めクシなどを使用するが
上筋が下がりやすいので注意する事です。

ハーフPCや鉄筋付きデッキ、ボイドスラブなどでは上筋は固定されていますが
一般的な「もちあみ」配筋と言われる、上筋と下筋を十字に組立る場合は、
コン止めクシを上から差すとスラブの上筋が一緒に下がる危険性があります。

 

だから

スラブの垂直打継ぎ付近では意図的にスペーサーを入れることで、
上筋の保持を確保できるので覚えておいて下さいね。

スラブの上筋の位置の乱れは構造的な耐力の低下に直結しますからね。

 

 

8つ目は

打継部が外部に面する場合は目地などを設け防水処理を行うことです。

打継部はどんなに付着を良くして打設しても一体で打設した部位より
確実に乾燥収縮によるクラックが生じやすいのは事実です。

 

だから

どうせクラックが発生するなら、漏水の危険性のある外部面は、
あらかじめ目地を設けてシーリング処理を行うなどの、
防水処理をしておくことが非常に大切です。

 

更に

地下の外壁で外側から処理できるような場所においては、
シーリング処理した上にシートなどを一定幅で張る等の措置も
効果的なので必要に応じて検討して下さいね。

 

 

9つ目は

柱などの水平打継部は水が溜まらないように中央部を高くする事です。

コンクリート打設前の配筋検査の時に工事監理者さんに

「柱の底に水が溜まっているので打設前までに抜いて下さいね」

なんて言われたら、溜まったもんじゃありません。
口では簡単に言えますが、型枠で囲まれた凹みに溜まった水は
考えているほど簡単には抜けませんからね。

 

だから

コンクリートの打設時に土工さんに

「柱の中は若干盛り気味でヨロシク」

とあらかじめお願いする事が大切ですよ。

 

 

10つ目は

水平打継部はレイタンスがたまり、脆弱なコンクリートになりやすい
ので適宜取り除く必要がある事です。

レイタンス処理って本当に厄介ですね。手間を掛けても効果的ではなく、
レイタンスが硬化すると中々取れにくくなってしまいます。

 

しかし

意外と壁などの断面が小さい箇所ではレイタンスは溜まりにくく、
柱などは左官さんが嫌がるかも知れませんがコテを1回入れると
レイタンスは目立たなくなります。

 

では

どこで1番レイタンスが発生するかと言うと、地中梁の天端です。
大抵地中梁の天端には上部にふかし筋があり鉄筋に付着してしまった
コンクリートを洗うのに水とブラシを使います。

その水分がコンクリートの天端にたまってレイタンスになるのです。

 

だから

レイタンスが硬化する前にハイウォッシャーで吹き飛ばすか、
あらかじめ下記のような商品を使用するのも1つの作戦ですよ。

 

 

 

 

11つ目は

打設箇所でノロなどの除去が困難な場合は、
あらかじめ掃除口を設置しておく事です。

梁底などで設置可能であれば型枠大工さんにお願いしてみましょう。

無理ならはみ出たノロは適宜ハイウォッシャーで吹き飛ばします。
ノロが残ったまま次の工区のコンクリートを打設すると
数年後に梁底が「バサッ」と剥がれ落ちるクレームになるので、
後々呼び出されて怒られないために必ず除去すべきと認識しましょう。

 

最後に

建築工事監理指針(令和元年版上巻) [ 国土交通省大臣官房官庁営繕部 ]
の該当部分を確認して下さい。

 

P.417

6.6.4 打継ぎ

(1) 打継ぎはできるだけ少なくし、応力の小さいところで打ち継ぐことが基本である。
梁及びスラブに鉛直打継ぎ部を設けなければならない場合には、せん断応力の小さいスパン中央付近又は曲げ応力の小さいスパンの 1/3 ~ 1/4 のところがよい (図 6.6.8 参照)。梁の付け根で打継ぎをするのは避けなければならない。

また、柱及び壁の場合の水平打継ぎ部は、スラブ、壁梁又は基礎の上端に設ける。

 

(2) 打継ぎ部の仕切り面の施工に当たっては、次の事項に留意する。

(ア) せき板を密に隙間なく組み立て、モルタルの流出を防ぐとともに、コンクリート打込み後せき板を取り外しやすいように仕切る。
なお、仕切り面は必要に応じて目荒らしを行った後、清掃し、コンクリート打込み前に水湿しを行う 。

(イ) 梁や壁には、鉄筋を骨としてメタルラスや板を張って仕切るのがよい。打継ぎ位置付近に出入口等の開口部がある場合には、そこで仕切るとよい。

(ウ) 梁-・壁で、割竹・しの竹類を差し込んで仕切る方法は、密に隙間なく差し込んでも下部からモルタルが流出することが多く、適切な方法とはいえない。また、コンクリート打込み後、時期を見て割竹等を動かしてコンクリートとの付着をなくしておかないと抜けなくなる。

(エ) スラブの仕切り面は、上端筋が下がりがちなので十分注意する。

(オ) 打継ぎ面が外部に接する箇所には、打継ぎ部の防水処理を行うため目地を設ける。

 

(3) 打継ぎ面に水がたまっていると、その部分に打ち込んだコンクリー卜の水セメント比が大きくなり、所要の品質が得られないことがあるので、水がたまらないようにする。また、水がたまってしまった場合には、コンクリート打込み前に取り除くことが必要である。

(4) 打継ぎ面は、レイタンスがたまったり、ぜい弱なコンクリートになりやすい。レイタンスやぜい弱なコンクリートの上に新しいコンクリートを打ち込んでも付着が十分得られないので、高圧水洗等によりこのような部分を取り除き、健全なコンクリートを露出させてから打ち継ぐことが必要である。

 

スラブの打継位置

図 6.6.8 鉛直打継ぎ位置

 

つまり

コンクリートの水平・垂直打継に関する11の基本的な知識とは

  1. 梁・スラブの打継箇所は中央部またはスパンの 1/3 ~ 1/4 の比較的応力の小さな箇所が望ましい
  2. 柱及び壁の場合の水平打継ぎ部は、スラブ、壁梁又は基礎の上端が望ましい
  3. 壁の垂直打継部は開口部などの上部で打継ぐのが施工的にやりやすい
  4. 梁の打継部は中央部はメタルラスやせき板、エアフェンスなどで仕切るのが一般的
  5. 上記の場合、スタラップより外側の下部・側部からのノロの流出を防ぐ方法を検討する必要がある
  6. 垂直打継で竹・塩ビパイプなどを使用する場合は、硬化に伴い動かさないと抜けなくなる
  7. スラブの垂直打継はコン止めクシなどを使用するが上筋が下がりやすいので注意する
  8. 打継部が外部に面する場合は目地などを設け防水処理を行う
  9. 水平打継部は水が溜まらないように中央部を高くする
  10. 水平打継部はレイタンスがたまり、脆弱なコンクリートになりやすいので適宜取り除く必要がある
  11. 次の打設箇所でノロなどの除去が困難な場合は、あらかじめ掃除口を設置しておく

 

ただし

いきなり11個もいきなり並べても覚えきれないので、

「そう言えばここに書いてあったな~」

という事だけ覚えていてくれたら嬉しいです。このブログの検索窓で
調べてくれたら十分です。

 

なぜなら

あなたは本当に忙しいと感じています。もしかしたら、
こちらの記事の方が共感するかも知れませんね。

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