鉄筋コンクリート造の建物で「打継ぎが無い」という事は無く、
大なり小なり少なくとも1ヶ所は打継ぎが発生すると考えています。
例えば
平屋の建物であったとしても「基礎」と「上部躯体」との間で
1ヶ所は水平打継が存在するからです。
だから、階数が増えれば増えるほどに打継の数は増えて行きますし、
建物が横に広がれば広がるほど垂直に打継ぐ数も増えて行きます。
そこで
今回は「打継」について11項目の基本的におさえておくべき
ポイントをお伝えしていきましょう。
1つ目は
梁・スラブの打継箇所についてです。打継箇所はコンクリートが
一体的に構造的に弱くなるため、建物に掛かる応力の負担の小さな
所で打継ぐことが良いです。
そこで
梁・スラブの打継箇所には中央部またはスパンの 1/3 ~ 1/4 の
比較的応力の小さな箇所で計画する事が望ましいですね。
バルコニーなどの誘発目地がある場合は、目地位置に合わせると
打継部に対する目地と兼用できるのでメリットがありますし、
構造的にも目地部に確実にクラックが集まるのでメリットです。
2つ目は
柱及び壁の場合の水平打継ぎ部は、スラブ・壁梁又は基礎の上端
に設置する事がが望ましいです。
というか、地上の躯体の場合は必然的にスラブの上端になります。
階高の高い柱・壁などは事前に設計者さんや工事監理者さんと
打合せを行った後に、あらかじめ打継ぎラインを決めておいて、
型枠の加工も打継高さを意識して行うことが良いですね。
そして
外部面、漏水の懸念のある箇所・意匠的に打継ラインを綺麗に
見せたい部分は必ず「水平打継目地」を入れましょう。
その場合に「断面欠損」にならないように躯体の増し打ちを
忘れないようにチェックしておきましょうね。
3つ目は
壁の垂直打継部は開口部などの上部で打継ぐのが施工的に簡単です。
開口部で区切れば、開口部分に関しては型枠で自動的に塞いでくれるので
開口よりも上の部分だけの処理を考えれば良いので管理がしやすいです。
そして
先程の梁・スラブの打継位置とトータルで考えて判断する事が大切です。
とはいえ壁もスラブも全く同一の箇所で打継ぐのは難しいので、
壁と梁を一致させて、スラブは打設している側に向けて都合の良い位置に
ずらして設置する事をオススメします。
また
壁の打継位置に「垂直スリット」がある場合は打継処理をしなくても良い
というメリットの変わりに「スリットが変形しやすい」というデメリットがあります。
だから
スリットの固定方法についてはセパレーターとスリットを金物で固定したり、
打設高さを抑えながら余計な側圧がスリットに掛からないように
注意して施工するなどの注意が必要ですよ。
4つ目は
梁の打継部は中央部はメタルラスやせき板、エアフェンスなどで
仕切るのが一般的なのですが、掛けること出来る費用と梁の高さ、
ノロが漏れだす事による品質的な要求事項に合わせて現場にあった
工法を選択して下さい。
確かに
打継ぎ部の型枠の側板を開けておいてコンパネでふさぐ
というのが1番効果的なのですが、お客さんや設計事務所などによって
「ノロが少しでも出たら除去しないと次の工区は打設させない!」
「多少は仕方ないよね、でもダダ漏れにはしないでね」
と温度感が違うので、温度に合わせてコストを掛けていくべきだと、
私は考えていますよ。
5つ目は
先程の続きで、梁の打継の場合スタラップより外側の下部・側部からの
ノロの流出を防ぐ方法を検討する必要があります。
梁の打継ぎはスタラップの内側は意外と止まりますが、
1番厄介なのは「スタラップの下側」だと私は感じています。
なぜなら
外部側にラスなどが出ていれば「サビ」の原因になりますし、
梁の下部は上部に比べてコンクリートの側圧も大きいので
打継ぎ処理をしたものが、中途半端な強度だと壊れる可能性が高いです。
だから
結局は、エアフェンスや塩ビパイプなどを隙間なく突っ込んで
止めるのが、型枠で塞がない場合は効果的だと私は考えていますよ。
6つ目は
先程のコンクリートを止めるための竹・塩ビパイプなどを使用する場合は、
硬化に伴い動かさないと抜けなくなる事です。
早めに抜いてしまうとコンクリートが漏れ出してしまうのですが、
時間を置きすぎると本当に抜けなくなってしまうので危険です。
「やべ~!抜けなかったら型枠バラしてはつり取りだ~!」
と冷や汗ものになってしまいます。私も未遂程度なら何度も経験しています。
だから
私は竹は使ったこと無いですが、塩ビパイプの場合は13Φ程度を使って
コンクリートを打設した後、しばらくしてから抜き差しせずに、
「回転させて」コンクリートと「縁を切る」ことが効果的です。
1度縁を切って置けば、その後は引き抜きやすくなるので、
定期的に塩ビパイプを回転させて「硬化したかな」と感じたから
引き抜いてくださいね。
今回はこのあたりでおしまいです。
また次回。
塩ビパイプはやったことありませんでした!
参考になります!