コンクリートポンプ車の先行モルタルで覚えておくべき3つの知識とは?

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コンクリートポンプ車でコンクリートを打設する場合は、まず始めに
骨材の入っていない「モルタル」のみをブームなどの管の中にくぐらせます。
そのモルタルの事を「先行モルタル」「先送りモルタル」「通しモルタル」などと言います。

 

そして

「先行モルタル」は大抵の場合は、「1:3モルタル」と呼ばれる、
セメント1kgにたいして砂3㎏という割合で配合されたモルタルを0.5m3使用します。

 

だから

生コン工場(プラント)の担当者も、打設するポンプ車の台数を確認すると
ほぼ何も言わなくても最初に用意して来ます。
今回は、その「先行モルタル」についてのポイントを3つお伝えします。

 

まず

何故、コンクリートの打設に先立ってコンクリートポンプ車に
モルタルを通さなければいけないのでしょうか?

 

理由は

モルタルを先行でコンクリートポンプ車の配管の中を通さないと
配管内でコンクリートのモルタル分が付着して、パサパサの
品質管理上悪いコンクリートを打設してしまうからです。

 

例えば

喉がカラカラの状態で、パッサパサのカステラを食べるようなものです。
カステラが喉にくっついて直ぐに「水分が欲しい」と感じるでしょう。
しかし、最初に水分を1口含んでおけば多分問題はありませんよね。
それと同じ現象だと思ってもらって結構です。

 

 

次に

何故「先行モルタル」は一般的に「1:3モルタル」なのでしょうか?

 

実は

後から打設するコンクリートの配合との関係があるのです。
一般的に先行モルタルは後から打設するコンクリートより「富配合」
でないといけなからです。

 

具体的には

コンクリートよりセメント分が多い配合である必要があるのです。
だから、高強度コンクリートを打設する場合は、1:3モルタルでは
富配合では無くなってしまうので、よりセメント分が多い「1:2モルタル」
を使用した事がありますよ。

 

 

3つ目は

先行モルタルは原則として躯体の中に打ち込んではイケないのです。

 

だから

基本的には、まず生コン車からコンクリートポンプ車の投入口(バッチャー)に
モルタルを投入した後に、コンクリートポンプ車のブームの先端を生コン者側の
投入口に突き刺して、ポンプ車の配管の中を一通りモルタルを通過させた後に
生コン車へ返却するのです。

 

なぜなら

躯体の中に打ち込まれるのは計画された配合の「コンクリート」であって、
あくまでも「モルタル」ではないからです。更に、モルタルを送る前に配管の中を
水分で湿らせているので、最初にブームから排出されるモルタルは、
水分を多分に含んだ劣悪な品質なモルタルだからです。

 

しかし

高層階でポンプ車のブームが届かいないために「縦配管」をして打設階まで
あがっている場合は、生コン車にモルタルを返すことが現実的には無理です。
かと言って、打設階で0.5m3を全て回収して地上まで降ろすのも大変です。

 

だから

その場合は、非耐力壁(雑壁)などの構造的に一番負担のない場所への
打ち込みなどの処置を工事監理者さんと事前に打合せをしておきましょう。

 

最後に

建築工事監理指針(令和7年版上巻)
の該当部分を確認して下さい。

P.408

(ウ) 「標仕」では、コンクリートの圧送開始前にモルタルを圧送することにしている。これを行わずに圧送すると、輸送管内にモルタル分が付着し、排出されたコンクリートがモルタル分の少ないコンクリートになり強度が低下する。

なお、この時使用するモルタルは、後から打ち込むコンクリートの品質に悪影響を与えないように富調合のものとすることが必要である。

圧送後のモルタルは、平成22年版「標仕」から「型枠内に打ち込まないことを原則とする。」としてきた。 しかし、今回の改定で「圧送後のモルタルは、型枠内に打ち込んではならない。ただし、これにより難い場合は監督職員と協議する。」と改められた。圧送後のモルタルは、型枠内に打ち込まないことが原則であるが、打ち込まざるを得ないような場合は、監督職員と協議して対応を決めるのがよい。やむを得ず打ち込む場合は、少量ずつ分散させる、よく混ぜるなど影響が少なくなるようにする必要がある。

なお、その場合でも、最初に排出される変質した部分は廃棄し、良質な部分のみを打ち込む必要がある。

また、環境配慮の観点からは、廃棄処分とするモルタル量は少ないことが望ましく、先送りモルタルを最小限とするような計画を立てることが大切である。

 

つまり

コンクリートポンプ車の先行モルタルで覚えておくべき3つの知識とは、

  1. 先行モルタルを打設しないと、圧送管内にコンクリートのモルタル分が付着して良質なコンクリートを打設することが出来ない
  2. 先行モルタルの配合は、後から打設するコンクリートよりも「富調合」とする必要があるので、強度が高いコンクリートを打設する場合は、あらかじめ生コン工場と打合せを行っておく方が望ましい
  3. 圧送後のモルタルは型枠内に打ち込んでは原則いけないが、打ち込まざるを得ない場合には事前に工事監理者さんの承諾を得ておくこと

 

ここで

「先行モルタル=1:3モルタル」という知識の凝り固まりがあったな。
と今回感じた人は、今後強度の高いコンクリートを打設する時には
非常に役立つと感じます。

意外と意識していても「経験」が頭の中で優先順位が上がりますからね。
自戒の意味をこめて、こちらの記事も確認しておきましょう。

↓ ↓ ↓

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