壁筋の柱への定着で見逃しがちだけど非常に大切なポイントとは?

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何となく現場で過ごしていると「ふと問いかけられた些細なこと」
に答えられない場面があります。

私の中で、多分現場でやっているな~。と思っているけど

 

「絶対に大丈夫か?」

 

と聞かれると少々不安なことが今回のタイトルの内容です。
「必要か?」と聞かれたら「必要」と言う認識があるので
大丈夫だと考えてますが、あいまいな記憶って本当に怖いですね。

 

さて

今回のテーマは壁筋の柱との納まりなのですが、
最初に結論から言ってしまいましょう。

壁筋の柱の取り合いの中で、柱と壁が同面の場合というのは、
かぶり厚さが柱より壁の方が値が少ないので柱のフープ筋の外側に
壁筋が配置するパターンとなるのが一般的なのですが、その場合の
壁筋の端部は直線定着ではなく8dかつ150mm以上のフックがつきます。

 

なぜなら

地震時などで柱に応力が掛かった場合に、フープ筋より外側の
コンクリートが外力に耐えきれずに剥離してしまう可能性があるからです。

 

もしも

柱のフープ筋が丸見え状態になった場合に壁筋を直線定着していると
外側の鉄筋はブラブラ状態になってしまうからです。

 

だから

柱筋の中へ壁筋の端部を曲げて定着する必要があるのです。

 

ここで

柱に同面で取り付く壁が耐震壁の場合には、
地震時に必要な耐力が得られない場合もあるので
壁筋を外側、内側ともに柱の中に定着する方法もありますが、
前回の記事にも述べた通りに、壁筋の内部での鉄筋の距離は
構造上大切なものになりますので、質疑で確認してから
採用するか?を判断して下さいね。

↓ ↓ ↓

前回の記事

 

いずれにしても、コンクリートという材料は圧縮力は負担するけど
引張力には非常に弱いので、外力を受けた場合には「無筋状態」の部分は
もろくて壊れやすいという認識は持っておいても損はないと感じますよ。

 

最後に

鉄筋コンクリート造配筋指針・同解説第5版 [ 日本建築学会 ]」の該当部分を確認して下さい。

 

P.229

c.定着
(1)柱への定着

[注] (1) a区間の部分は通し配筋でもよい.
(2) イ,ロ鉄筋の径および間隔は設針図書の特記による.
(3) (d),(e)は打増しコンクリ ートのある非耐力壁の場合,耐力壁の場合 は設計図書の特記による.
(4) (b)で耐力壁の壁筋を定着する場合は,コア内定着長さを8dかつ150mm以上とすること(*印)

 

P.235

c.定着

(1)柱への定着は,(a)のように柱中央部に壁が収り付く場合は柱断面内に規定の定着長さで定着する.
(b)のように柱と同一面に壁がある場合は,外側鉄筋は柱断面内に柱中心線を超えた位置で先端を90°に折り曲げて柱コア内に定着する.定着長さとして,定着起点から折曲げ開始点までの長さをL2h以上,かつ余長として8dかつ150mm以上を確保することとする.
(c)の場合は,外側鉄筋は柱断面内に定着せず通し筋とし,継手を壁部に設けることを原則とする.柱断面内に定着する場合は(b)に準じた方法とする.内側鉄筋は(a)と同じでよい.
(d),(e)は非耐力壁の柱との取合い部が柱の打増しコンクリート部の場合である.
壁筋は補助筋の内側に定着または通し飭とし,打増し補助筋は柱主筋の外側に沿って配筋することを原則とするが,かぷり厚さ等を考慮して,柱主筋の内側に配筋してよい,

 

P.237

(1 )壁筋と柱・梁の納まり
大地震時において帯筋の外側のコンクリートははく離しやすく,耐力壁の壁筋を帯筋の位置に配筋した場合は終局時に期待した耐力が得られない可能性がある. このため,耐力壁と柱が同一面にある場合は備考図9.18 のように十分な壁厚を確保して,壁筋を柱主筋の内側に通すことが望ましい.
壁筋の納まりは建物の階高・スパン・開口,鉄筋の定尺などを勘案して決定する必要があり,一概に標準的な納まりを提示することは困難であり,建物の実状に応じて決定するのがよい.

 

備考図9.18 かぶりコンクリートのはく落が予想される増合の配筋例

 

つまり

壁筋の柱への定着で見逃しがちだけど非常に大切なポイントとは、
柱と同面で納まる壁筋の柱の外側に納まる定着部には8dかつ150mm以上の
90度フックが必要だと言うことです。

 

なぜなら

地震時などでは柱のフープ筋より外側のコンクリートが
はくりを起こしていまい、フープ筋が丸見え状態になっているのを
実際に、テレビの地震時の映像などで見たことがあります。

 

だから

現実に起こりうる事例に備えておくことは非常に大切ですね。
現場においても「予想されるトラブル」については
あらかじめ備えておくのが現場監督の能力として
同様に大切です。

こちらの記事に「見えない瑕疵」について書いているので
合わせて読むと理解がより深まりますよ。

↓ ↓ ↓

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