世の中には「反面教師」という言葉があります。
あなたには今回の記事を読んで
「うむうむ、なるほどこういう納め方もあるのか!」
とは思って欲しくはありません。あくまでも昔の笑い話として
今回の記事は読み飛ばして欲しいのです。
確かに
鉄筋屋さんにとっては拾いや加工の時間が圧倒的にへる
必殺技ではありますけどね…。
それは
私が新入社員時代のある日の事でした。
私が事務所に戻ると先輩方がざわざわしてました。
話の内容を聞くと、どうも最近1階の鉄筋を組始めた班の事のようです。
私は事務所に戻るまでは、他の班の配筋写真を撮っていたので
一体何にざわついていたのか?気になって仕方ありませんでした。
そこで
その班の作業しているエリアに行ってみました。
そこには、職長さんを始め数人の作業員さんが壁筋を組んでいました。
「ん!?何だこれ!?」
なんとも言えない違和感が私を襲ってきました。
なぜなら
私がさっきまで配筋写真を撮っていた班とは
違った鉄筋の組み方をしていたのです。
ちなみに
私が先程まで見てきた作業員さんは、壁のコーナー部の横筋の端部は、
90度に曲がっていて、その曲がった鉄筋に沿わすように
連続する壁を組んでいたのです。
しかし
その班の作業員さんたちは、コーナー部の壁について、
二方向ともに単独壁として組み立てており、
コーナー部には定着長さが確保できるだけの
L字型の鉄筋でつなげていたのです。
「そんな組み方もあるんだ~」
と思って見ていたところ職長さんが
「TMくん。どう?この組み方。
これなら、拾いも加工も楽なんだよね」
と言われましたが、その時の私には良いも悪いも判断がつきませんでした。
だけど
先輩方が
「あんな加工の仕方見たことない!
なんだあの鉄筋屋は!?」
と言っていた事を考えると、当時でも常識はずれな鉄筋屋さんだったのでしょう。
最後に
「鉄筋コンクリート造配筋指針・同解説第5版 [ 日本建築学会 ]」の該当部分を確認して下さい。
P.231
4) 壁交差部の納まり
(a)単配筋の場合
[注] ○印鉄筋 (コ ーナー筋)は設計図書の特記に よる.(b)複配筋と単配筋
[注] ○印鉄筋 (コ ーナー筋)は設計図書の特記に よる.
(c)複配筋と複配筋
P.235
(4) 壁と壁の取合いはL形とT形の形状をしたものがある.図では互いに直交した場合を示しているが,直交しない場合においてもこれに準じた方法とする.
P.238
(2) 壁交差部の壁筋の納まり
壁交差部の壁筋の必要定着長さは,先端から折曲げ点までとしているが,備考図9.19に示すように,定着される壁Aが厚い場合には,定着の基点を仕口面とし直線定着の場合は鉄筋先端までの長さをL2,フック付きの場合は折曲げ起点までの長さをL2hとしてよい.また,定着する側の壁Bが非耐力壁であって,定着長さをL2とする必要がなく短くする場合は設計図書に特記する.
備考図9.19 厚い壁に定着する場合
つまり
私が新入社員の現場で見た驚愕な壁筋の交差部の納まりとは、
二方向から直線状の横筋を突きつけて、コーナー部には
それぞれの定着長さを確保したL字型の鉄筋を取り付ける。
という納まりでした。
たまたま、複数の鉄筋屋さんが入っていたり、先輩たちの発言から
その納まりが一般的な物ではないと気付きましたが、
もしも、1人現場だったら「経験値」としてその納まりを「正しい」
と認識していたかも知れません。
ちなみに
私が出来るだけ記事のどこかに「参考図書の引用」をつけているのは、
TMが「勝手に言っている」のではなく、「裏付けされた知識」も示すことが、
あなたの理解をより確かにするためなのです。
あっ、そうそう。
「先輩の経験」と「あなたの知識」については
こちらの記事を参考に読んでみて下さいね。
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