鉄筋のスペーサーは部位ごとに事前に仕様を打合せた方が良い理由(1)

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鉄筋を適正なかぶり厚さを確保して組み立てるのに欠かせないのが
「スペーサー」だよね。

 

では

あなたはスペーサーをどのくらい管理しているかな?

 

もしかしたら

「スペーサーの種類、大きさ、色まで全て指示しているよ」

という人もいれば

「スペーサーなんて鉄筋屋さんが適切に管理するものでしょ」

という人もいると感じるよ。

 

なぜなら

何を隠そう私も、最近は前者の方が良いと分かっているけど、
会社に入って何年も何年も後者の考え方だったからね。
実際に、スペーサーの管理まで余裕は無かったし、意識も無かったよ。

 

だから

今回は、もしも、あなたがかつての自分と同じ考え方を
していたのであれば少し考えて欲しいという意味を込めてお伝えする。

 

まず

建築工事監理指針(令和7年版上巻)」のスペーサーに該当する
部分を読んでみて欲しい。

P.312

(1) スペーサーは、鉄筋のかぶ り厚さを保つために極めて重要なものであり、使用部位や所要かぶり厚さに応じて、スペーサーの材種や形状・サイズを使い分けることが大切である。

(2)  市販のスペーサーは、鋼製、合成樹脂製等があ り、使用箇所に応 じて作業荷重等に耐えられるものを使用する。

(3) 断熱材打込み部では、普通のスペーサーでは断熱材に食い込み、かぶり厚さの確保が難しいので、めり込み防止の付いた専用スペーサーを用いる。

(4) 下端が打放 し仕上げとなる場合のスラブ用スペーサーは、露出面が大きくならないようなものを使用する。

(5) 「標仕」5.3.3で は、鋼製のスペーサーは、型枠に接する部分に防錆処理を行ったものを使用することにしている。防錆処理を行う範囲の規定はないが、最小かぶり厚さの範囲が防錆処理されていることが望ましい。一部であるが、最近、最小かぶり厚さの範囲に防錆処理を行った鋼製スペーサーが入手できるようになってきた。
なお、防錆処理されたスペーサーには、次のようなものがある。

(ア) 「標仕」表 14.2.2の C種 (JIS H 8641(溶 融亜鉛めっき)で HDZT49)以上の防錆処理 したもの。ただし、海岸等腐食が激 しいところで使用する場合には検討が必要である。

(イ) 鋼製のものにプラスチックコーティング又はプラスチックパイプを挿入したもの。

 

ここまで読んでみて「色々書いてあるな」と感じたかな?

 

そこで

あなたに1つ質問がある。

あなたの現場のスラブのスペーサーは「鋼製」かな?

先程の文面を見ると「スラブのスペーサーは原則として鋼製」とある。

当然、現場の状況によって変わるけど普通の型枠の在来スラブなら
何も指示しなければ、合成樹脂製のスペーサーが多いのでは?
と私は感じている。

 

具体的には

下端筋のスペーサーには「サイコロ」と呼ばれる30x40位のサイズ、
上端筋のスペーサーには「タワー」と呼ばれる背の高いサイズが使われていないかな。

 

なぜなら

まず、最大の理由は「価格が安いから」だろうね。

通常、鉄筋のスペーサーは鉄筋屋さんが負担するので、
1円でも安い材料を使いたいのが基本だよね。

 

そして

安価なわりには使い勝手も良く、強度も支障のない程度はある。

 

更に

コンクリートとの接触面が仮に露出面だとしても「錆」
の心配がないのはメリットだと感じるよ。

鋼製のスペーサーだと、防錆処理がいくらしてあっても、
左官さんがサンダー掛けをすると、金属面が露出してしまう
危険性があるからね。

数年後に、バルコニーの天井に等間隔で錆が出たなんて
クレームを受けるのは嫌だからね。

 

だけど

もしも、あなたが事前にスラブのスペーサーに合成樹脂製を
使用する事を施工計画書などで記載していなければ、

建築工事標準仕様書や建築工事監理指針などの基準とは
違う仕様を勝手にやってしまっている。

という風に受け取られても仕方ないよね。

 

だから

あなたの立場を守る意味でも、事前にスペーサーの種類を
打合せておくことは重要だよ。

 

そして

続きは次回にするので楽しみにしておいてね。

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