鉄骨造の9割以上の現場のスラブはデッキスラブが使用されます。
普通に型枠大工さんが来て支保工を組み立ててコンパネでスラブを張る
というような鉄筋コンクリート造の様な光景はほぼ見られません。
では
そもそも何故鉄骨造でデッキスラブが使用されるのでしょうか?
とあなたは疑問に感じているかも知れませんね。
私が考えている理由は以下の通りです。
- デッキスラブは敷き込むだけで良いので型枠支保工を組み立てる場合より圧倒的に施工性が良い
 - そもそも鉄骨造が選択される場合は工期短縮を希望される用途に多く使用されるので施工性の良さが重視される
 - 鉄骨は鉄骨鳶さんが組み立てる為、同じ人間で出来るデッキスラブの方が扱いやすい
 - 工場・倉庫・商業施設など大スパンや階高が高い建物で鉄骨造が採用される事が多いので支保工を組み立てる事が非効率となる
 
また
タイトルにあるようにデッキスラブには色々な種類があります。
どの様な種類のデッキスラブを使用するか?というのは構造設計者が
設計時点で決めてしまう事が多いですが、施工性が上がるのであれば
変更するまでの期間が確保できるのであれば現場で変更することも出来ます。
それから
デッキスラブは大きく分けて2種類に分けることが出来ます。
- 型枠と同じ様に構造的な力を負担しない仮設の床としてのデッキスラブ
 - デッキスラブ自体が構造的に全部もしくは一部を負担するタイプ
 
前者の仮設の床としてのデッキスラブの代表的なのは「フラットデッキ」です。
フラットデッキを使用する場面は、スリーブなどの床開口が多い水廻りなどで
在来の鉄筋コンクリート造のスラブとして設計した方が都合の良い場合に使用されます。
反対に
デッキスラブが構造スラブとして寄与する場合は以下の様な形式があります。
- コンクリート打設時は型枠として働き、打設後には構造スラブとして寄与する「デッキ合成スラブ」(代表的な商品:QLデッキ等)
 - デッキ自体にスラブや仕上げ荷重を負担する「デッキ構造スラブ」(代表的な商品:V型デッキ、U型デッキ等)
 - デッキに鉄筋が溶接されていてデッキ敷きと同時に配筋作業の大部分が完了している「鉄筋付きデッキスラブ」(代表的な商品:ニューフェローデッキ、ファブデッキ)
 
いずれにしても
鉄骨造でのデッキスラブは端部を溶接にて固定しますが、
溶接が確実に完了しているのを確認するまでは関係者以外立入禁止
にしておかないと思わぬ事故につながりますので気を付けて下さいね。
最後に
「建築工事監理指針(令和7年版上巻)」
の該当部分を確認して下さい。
P.554
7.2.7 床構造用のデッキプレート
(1) 構造床として使用するデッキプレー トについては、デッキプレート版に関する告示(平成 14年 国土交通省告示 第 326 号)に規定されており、その基準解説書である国土交通省国土技術政策総合研究所他 「デッキプレート版技術基準解説及び設計・計算例」及び設計マニュアルである国立研究開発法人 建築研究所監修「デッキプレート床構造設計・施工規準」を参考にするとよい。
(ア) この「規準」は、第I編 [デッキプレートとコンクリートとのデッキ合成スラブ]、第 II 編 [デッキプレートと鉄筋コンク リートとのデッキ複合スラブ] 及び 第III編 [デッキプレートをそのまま構造体としたデッキ構造スラブ] で構成されており、デッキプレートは主要な構造材として規定されている。
なお、「標仕」では、名称を基準解説書に合わせて、第I編のデッキプレートを「デッキプレート版 (デッキプレートとコンクリートとの合成スラブとする構法)」、第III編のデッキプレートを 「デッキプレート版 (デッキプレート単独の構法)」としている。
(a) 主として、床又は屋根構造に使用する。
(b) 対象とするデッキプレートは、JIS G 3352 (デッキプレート)の規定を満足するものとする。
(c) 原則として、板厚は 1.Omm 以上 (ただし、デッキ複合スラブの場合は、0.8mm以上)としている。
(d) 許容応力度は、平成12年建設省告示第2464号に規定されている F値によっているが、一部高強度材料については、幅厚比より求まる有効幅の取り方を簡便にするため、235 N/mm2 以下で適用することにしている。
(e) 合成スラブ構造には、(一財)日本建築センター等により、告示第 326 号に定めるデッキプレー ト版に適合していることについて、任立の評定を取得している製品がある。
つまり
鉄骨工事でデッキスラブを使用する目的としては、鉄骨鳶さんで施工可能で
型枠でスラブを張るよりも、圧倒的に効率的に床を構築できるからです。
また
デッキスラブには
- 型枠と同様の働きをして構造的にはコンクリートと鉄筋で負担する「フラットスラブ」
 - コンクリート打設時は型枠として働き、打設後には構造スラブとして寄与する「デッキ合成スラブ」
 - デッキ自体にスラブや仕上げ荷重を負担する「デッキ構造スラブ」
 - デッキに鉄筋が溶接されていてデッキ敷きと同時に配筋作業の大部分が完了している「鉄筋付きデッキスラブ」
 
などの種類がありますが、使用するデッキスラブの種類は設計時に
決定している事が多いので、それぞれのメーカー仕様をよく理解して
施工するように気を付けて下さいね。
ちなみに
デッキスラブと対比されるのはスラブを型枠で組み立てる工法ですよね。
こちらの記事で私が型枠支保工でやってしまった失敗を載せていますので、
鉄骨造だけでなく鉄筋コンクリート造を学びたいあなたにオススメですよ。
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