鉄筋が屋内の加工場で加工されたものであれば、
現場に搬入されたときに非常に綺麗な状態である。
しかし
全国の鉄筋加工場の半数以上は「屋外」の加工場だろう。
すると、大なり小なり現場に搬入された時には「錆び」
がついている事は少なくない。
特に
加工のために「曲げ」たりしているところ等から錆びやすいが、
一体どこまでがOKで、どこからがNGなのか?
あなたは説明できるかな?
まずは
「建築工事監理指針(令和元年版上巻) [ 国土交通省大臣官房官庁営繕部 ]」に書いてある内容を確認してみよう。
P.286
「鉄筋の表面は,所要の状態であること。」とは,施工途中の, 特こコンクリート打込み直前における鉄筋に,コンクリートとの付着性能を阻害するような油脂類,錆,泥,セメントペースト等が付着していない表面状態とすることであり,その程度を定める必要がある。具体的には,油脂類,浮き錆,セメントペースト類は,コンクリー卜打込み前に除去しておく必要があり,この付着物の程度,除去のための方法と処理後の確認方法をあらかじめ施工者に提案させ,また,確認したことを記録に残す。
なお,錆のうち,浮いていない赤錆程度のものについては,コンクリートとの付着を阻害することがないので,無理にこれを落とす必要はない。
つまり
鉄筋がたとえ錆びていたとしても、ただ赤く変色している
「赤錆」程度なら全く問題がなくて、鉄筋の表面に錆が
「浮いて」来ていてボロボロと取れるくらいになれば、
付着に悪影響が出るので除去しようね。と言うこと。
そして
案外「浮き錆」よりも現場で発生する確率が高いのが
その他の項目なのである。
まずは
「泥」だけど、特に地中梁の配筋時に雨が降った後で
掘削法面が「粘土質」の場合は、靴の裏に「泥」が付きやすい。
そして
地中梁の場合は梁筋の上で作業したり、歩行したりすることが
意外に多いので、上端筋がすぐに泥だらけになってしまう。
泥をいくら落としても落としても梅雨時期だったので
いたちごっこになってしまい非常に苦労した経験があるよ。
次に
「セメントペースト」だけど、これは全ての打ち継ぎ部にあてはまる。
差し筋など上部へ延びる鉄筋に対してはコンクリート打設時に、
しっかりと「鉄筋洗い」をすることが大切であり、
コンクリート打設後には必要に応じてワイヤーブラシなどで
付着したコンクリートを除去しなければいけないからね。
こちらも
夏場の地中梁のコンクリート打設の時に、梁のフカシ筋に
付着したコンクリートが鉄筋洗いが遅れて硬化してしまって
大変な費用と労力を掛けて除去した苦い記憶があるよ。
最後に
「油脂類」だけどパッと思い浮かぶのが2つある。
どちらも私の現場ではないので作業員さんから聞いた話だけどね。
2つの内1つ目は、「型枠の剥離材」。
まあ、型枠の剥離材は通常は型枠を建て込む前に塗布するのだけど、
何を勘違いしたのか、塗布せずに建て込んでしまったらしい。
そして、後から気付いた型枠大工さんが鉄筋を組み立てた後に
「シュー」っと塗布したのだ。
すると
当然の事ながら組み立てた鉄筋にも剥離材が付着して、
それを見た工事監理者さんが激怒りして大変だったらしい。
確かに
コンクリートとしっかりと付着すべき鉄筋に、
コンクリートが付着しないような剥離材が付いていれば
構造的に重大な欠陥になるからね。
そして2つ目は、「ラッカースプレー」である。
その現場では、配筋写真を撮影するのに本数が確認しやすいように
「スプレー」で着色することにしたのだ。
しかし
現場の担当者が何も考えずに「ラッカースプレー」を吹いたので
配筋検査時に大騒ぎになったらしい。
そもそも、ラッカースプレーは「油性」なので、監理指針で定める
「油脂類」にもろに抵触するから。
だから
過去の現場の工事監理者さんは、配筋写真はスプレーを使用して
本数を数えやすいようにすること。としながらも
「ただし、スプレーは水性を使用すること」と言われていた。
客観的な資料が無いので示すことは出来ないが、
水性スプレーであれば付着に悪影響を与えないらしい。
もしも
同様の要求をされたら「水性スプレー」を使用する旨を
書面で確認しておくことをオススメしておくよ。
つまり
錆びた鉄筋の表面状態でコンクリートが打設可能なのか?
については「浮き錆でない赤錆程度」であれば付着力が取れるので
コンクリート打設は可能であるが、「浮き錆」や「泥」、
「セメントペースト」、「油脂類」などは鉄筋と
コンクリートの付着を低下させるので除去する必要がある。
だから
サビサビでとても使えない鉄筋を見た時には「やり直し」をさせるべき。
と言っても、一度施工したものを「やり直す」指示を出すのは
実はとっても勇気がいるよね。
以前にこんな記事も書いているので合わせて読んでみてね。
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