鉄骨造の柱の9割以上の最下部には4つの孔があいたベースプレートが
設置されていて基礎などとアンカーボルトで接続しています。
そして
見た目は全く同じですがアンカーボルトには構造用アンカーボルト
と建方用アンカーボルトの2種類があるのです。
では
「2種類の違いは一体どこにあるのでしょうか?」
まず
アンカーボルトの役目ですが上部の鉄骨構造と下部の鉄筋コンクリート造を
接続するのが目的で、地震力などの外力(水平力や引抜力)に対して負担します。
アンカーボルトの径などの計画によって上部構造の剛性が変わるくらいの
実は構造上重要な部分なのです。
そこで
上記の構造上の力を負担するのが「構造用アンカーボルト」なのです。
こちらは比較的理解しやすいと感じています。
すると
「建方用アンカーボルト」は一体どの様な場合に使用されるのか?
ですが、例えば、鉄骨鉄筋コンクリート造の場合であれば、
中に鉄骨が入っていますが基本的には鉄筋コンクリート造として
力が伝達されるのでアンカーボルトに構造的な力を負担させる必要がないです。
代わりに、鉄骨部分に掛かる力を鉄筋コンクリートに伝えるために
柱脚部分にスタッドが設置されていてアンカーボルトではなく柱自体で
力を伝達している仕組みになっています。
しかし
上記の違いは構造設計時点での考え方の違いで実際現場で施工するのに
どんな違いがあるのでしょうか?
1つ大きな違いがあるとすれば建方用アンカーボルトは構造的な力を
負担しないため、極端な話、工事監理者さんの了解が取れていれば
後施工アンカーでも良いですが、構造用アンカーボルトは接合すべき
コンクリート部分に埋め込まれていないとイケません。
よって
もしもアンカーボルトの精度が狂っていて許容差を超えてしまえば、
最悪1からやり直しという悲劇しか待っていないので精度に対しては
シビアに管理するように気を付けて下さいね。
最後に
「建築工事監理指針(令和4年版上巻) [ 国土交通省大臣官房官庁営繕部 ]」
の該当部分を確認して下さい。
P.546
7.2.4 アンカーボルト
アンカーボルトの材質の種類は通常設計図書に指定されるが、ねじ、ナット及び座金は、特別な指定がないことが多い。その場合は六角ボルトに相当するものを用いる。
なお、完成後構造的に耐力等を期待するものを構造用アンカーボルトと称し、建方用にのみ用いるものを建方用アンカーボルトと称する。
構造用アンカーボルトのJIS規格としては、JIS B 1220 (構造用転造両ねじアンカーボルトセット) とJIS B 1221 (構造用切削両ねじアンカーボルトセット) が平成 22年 10月に制定された。これらの規格は、(一社)日本鋼構造協会が平成 12年に伸び能力を有する建築構造用アンカーボルトの規絡として、JSS II 13 (建築構造用転造ねじアンカーボルト・ナット・座金のセット)及びJSS II 14 (建築構造用切削ねじアンカーボルト・ナット・座金のセット)を制定したものを、内容的には基本的に大きな変更がない状態で JIS 規格としたものである。その後、平成 27年 12月の改正により両規格がJIS B 1220 (構造用両ねじアンカーボルトセット)に統合され、溶融亜鉛めっきボルトが追加された。この規絡は、構造設計上の必要に応じて特記される場合があるので注意する。
つまり
構造用アンカーボルトと建方用アンカーボルトの決定的な違いとは、
建物の構造的に耐力等を期待されるものが構造用アンカーボルトで
建方用アンカーボルトは鉄骨の自重が負担できれば良い程度です。
だから
建方用アンカーボルトは監理者さんの事前の確認を取っておく必要はありますが、
後施工アンカーでも問題ありませんが、構造用アンカーボルトを入れ忘れたり、
入れ間違ってしまった場合には、撤去再施工を行うような状態になる事が
ありますので、注意深く施工をするポイントですよ。
すると
アンカーボルトの精度を保つために重要になってくるのが「測量」です。
特に基礎・地中梁の段差の多い所での測量については大変ですよね。
そんな時に私が工夫したポイントを記事にしていますので確認してみて下さいね。
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