鉄骨製作工場へ製品検査に行くときに、現場から持参すべきものとして
鋼製巻尺(以下、スチールテープ)があります。
「スチールテープを持って行ってどうすんの?」
とあなたは感じたかもしれませんが、実は非常に大切な「テープ合わせ」
を行うためなのです。
テープ合わせとは、現場で使用しているスチールテープと、製作工場で
使用しているスチールテープを同じ張力で引っ張った時の「誤差」を
測定するのです。
なぜなら
それぞれのスチールテープに誤差があると、製作工場で作成した10mの梁が、
現場で墨出しした通り芯を基準にして測った10mと合わない可能性があるからです。
その瞬間に、あなたは慌てて事務所に戻ったりしてチェックした図面を確認するかも
しれませんが、図面は間違っていない。
「あれっ、工場が造り間違えたのか?」
と自分に安堵するかも知れません。
でも
その場合は、製作工場も現場も、どちらも間違っていないのです。
(現場のスチールテープで鉄骨梁を測ったら10mではないかも知れませんが
出荷時の検査では当然ながら合格となっているからです。それぞれの基準が
違うので、冷静に考えると当たり前ですよね)
しかし、1本だけではなくて、他の梁も現場に持ってきて上手く取付かない
可能性が出てきていて大惨事になる予感だけはしますよね。
実際には、それぞれJIS品のスチールテープを使用しているでしょうから、
梁が取付かないという様な大げさな結果になる可能性は低いと思いますが、
それぞれの基準同士にも「誤差」がある。ということを覚えておいて欲しいので
今回の記事を書いています。
だから
出張だと浮かれていないで、忘れ物が無いように事前に確認して下さいね。
最後に
「建築工事監理指針(令和7年版上巻)」の該当部分を確認して下さい。
P.549
7.3.11 鉄骨製作用の基準巻尺
(1) 鋼製巻尺は、JIS B 7512:2018 (鋼製巻尺)の1級品を使用する。
(2) 鉄骨工事では、工事現場と鉄骨製作工場で異なる基準巻尺を使用することから、双方の基準巻尺の相対誤差が工事に支障のないものとする。JISの 1級鋼製巻尺の長さ10mにおける最大許容差は±1.2mmである。したがって、最大相対誤差が2.4mmとなる場合が生じる。高い精度が要求されるなど双方の相対誤差を確認する必要がある場合は、工事現場用と鉄骨製作用の基準巻尺を並べた状態で一定の張力 (鋼製巻尺に指定された張力とする、一般には50N)を与え、基準巻尺間の目盛り差を読み取って相対誤差を確認する (2.2.3(4)参照)。
(3) 工場製作の各工程において使用する鋼製巻尺は、鉄骨製作用基準巻尺の誤差を確認する。使用する鋼製巻尺は、誤差が最大許容差の 1/2程度の精度を有するものを選択 して使用するのが望ましい。
(4) 工事現場で鋼製巻尺を使用する場合は、気温による鋼製巻尺の伸縮を考慮 して、測定時刻を定めるか、気温変化による温度補正を行う必要がある (2.2.3(4)参照)。
つまり
鉄骨製作工場とのテープ合わせとは、そもそも使用するスチールテープが
基準内で適合しているかを判断すると共に、
工事現場で使用するスチールテープと、製作工場で使用するスチールテープ
の誤差が基準値以内であることも確認します。
そうしないと、工場で加工した鉄骨を現場に持って来ても、想定通りに
組立が出来ないという事態が発生してしまう可能性が高いからです。
実際に
鉄骨を建てる前にコンクリートの床に出した墨を基準に建て方を行いますが、
そもそも、以下の様な状態になってしまうことも有りますからね。
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