梁の継手位置については過去に記事にしたことがありますが、
同様にスラブ筋にも継手位置のルールがあるのでしょうか?
それとも
スラブ筋程度であればどこで継いでもたいした
問題ではないのでしょうか?
「わざわざ記事にしているなら何かルールがあるでしょう」
と勘ぐったあなたは、私のブログをよく読んで頂いている証拠ですね。
確かに、私がわざわざ記事にしている9割以上は何らかの理由があります。
残りの1割以下の記事にも理由があります。
結局
何か「ある」にしても「ない」にしても、
記事にするには理由があるのです。
さて
完全に脱線しましたが本題に入っていきましょう。
いつもは最後に関連する図書の該当部分を添えていましたが、
スラブ編では最初にお伝えしていきますので、
「鉄筋コンクリート造配筋指針・同解説第5版 [ 日本建築学会 ]」
の該当部分を確認して下さい。
P.239
b.継手位置
(a)上端筋の継手
(b)下端筋の継手
メモ:スラブ筋の継手は,梁筋内に設けないことが望ましい.(a) 図の※印の定着は隣接するスラブ配筋が異なる場合など,や むを得ない場合とする.
(b)図の下端筋では,※※印の継手は設けず梁に定着する場合が多い.べた基礎(耐圧スラブ)のスラブ筋の継手位置は,(a)(b)の図で上端筋→下端筋,下端筋→上端筋として扱えばよい.
P.243
b.継手位置
コンクリートの充填性を考慮して,スラブ筋の継手は原則として,梁幅内に設けてはならない.継手位置は図に示したようにスラブ内圧縮応力側で行う.
こちらで大体理解できたでしょうかね。
では
更に本題へ参りましょう。
と言うのは
「スラブ筋はそもそも出来るだけ継がない方がよいのでは?」
という私の疑問についてはあなたはどう考えますか?
そもそも
スラブの短辺方向であれば、7mくらいのスパンなら生材を並べたり、
小梁があれば短辺も長辺も鉄筋を継がなくても所定の寸法は確保できるはずです。
であれば、スラブ筋を継ぐために結束をしなくても良いので
鉄筋屋さんの手間も減るし、継手分の重ねあう材料が減るので
鉄筋材料のt数も減ります。
お互いにwin-winだと感じませんか?
しかし
問題が無いわけではありません。
実は、重大な問題があるのです。
なぜなら
鉄筋屋さんは、加工や組立をしたt数でお金を貰います。
すると
手間をとるか?組み立てたt数をとるか?
という「お金」を巡る思惑が出てきます。
作業員さんによっては、多少組み手間が増えてもt数が増えれば良い。
と考えている人も実際にいますからね。
更に
スラブ筋でアンカー加工が無ければ、実質の加工手間は
「0円」ですが、元請けからは正規の加工賃を貰っていますからね。
まあ、「均して」の加工手間なのでアリなんですけどね。
ちなみに
D13を500mmラップさせたら0.5kgなので、
@200でスパンが10mなら50本だから25kg。
手間を計算が簡単になるように4万円/tとすると40円/kgだから、
1スパンで「1000円」になります。
これなら、結束しない方が良さそうですね。
つまり
スラブ筋にも継手位置のルールがあるか?
については、基本的にスラブ内の圧縮側の応力状態の場所で
継手を行い、梁の中では継手を行わないのがルールです。
また
梁の継手位置については、こちらで確認して合わせて覚えておきましょう。
↓ ↓ ↓
この記事へのコメントはありません。