スラブ筋の定着は隣り合うスパンの鉄筋と通し配筋にすべきか?
と聞かれてあなたは意味は分かりましたか?
具体的には
スラブ筋の上端筋の定着が梁幅より短くても、
スラブ筋の定着の一定量(2本に1本)は通して配筋すべき。
という意味です。
こちらを解説している「鉄筋コンクリート造配筋指針・同解説第5版 [ 日本建築学会 ]」
の該当部分をまずは確認して下さい。
P.240
C.定着
[注]( a),(d ),( e)のフック付き定着長さは,定着起点から鉄筋先端までの全長をL2 以上,余長を8d以上とし,定着起点から鉄筋外面までの投影定着長さをLb以上,かつ梁の中心を超えることとする.
P.243
c.定着
スラブ上端筋は,梁内で定着長さを確保するか, または通し配筋とする,スラブ下端筋は,梁内に10dかつ150mm以上直線定着するか,または通し筋とする.スラブ下端筋が梁主筋にあたる場合は,30°を超えない範囲で(c)のように梁面で折り曲げて定着してよい.(d),(e)はスラブが梁の腹部または底部に取り付く場合を示した.特に(e)は一般の場合より安全を考慮して, 下端筋の定着は梁断面コア内に折り曲げることにした.
なお, 上端筋を梁内に定着する場合,解説図9.12のように左右の定着長さよりも梁幅が大きい場合でもスラブ上端飭の1/2 以上を通し筋とすることが望ましい. また,端部上端筋の柱列帯から柱間帯, さらに中央下端筋から柱列帯への余長は15d以上とする.
解説図9.12 左右の定着長さより梁幅が大きい場合
実は
このスラブ筋の上端筋を通して定着させることについては、
私はあまり現実的ではないと感じています。
なぜなら
スラブを配筋している場合は隣のスラブまで容易に「鉄筋を伸ばす」
という行為が好ましくない場合があるからです。
具体的には
隣のスラブが鉄筋などの材料置き場としての使われ方をしており、
他のスパンの配筋などが終わらないと作業に取りかかれない状況や、
隣のスラブが打ち継ぎを行ったり、後攻の工区で物理的に配筋を
伸ばすことが出来ない状況などです。
それは
梁筋の施工時などは、鉄筋の継手を行う圧接屋さんなどの仕事を考えて
「工区全体」で仕事を考える事が重要ですが、
スラブ筋になると、大工さんとの調整、揚重の関係、設備業者などの調整で、
「スパン毎」での仕事の進め方が中心となるからです。
だから
私としては、教科書が進めていてもなかなか現実的ではないと考えています。
それより
しっかりと決められた定着長さを梁上で確保して、
鉄筋の端部をしっかりと梁筋と結束するか、
「押さえ筋」を上から施すことでスラブ筋の「端部の跳ね上がり」
を減少させる処置をしっかりと取ることが大切だと考えます。
なぜなら
コンクリートの打設時などでスラブ筋を踏んでしまうと、
スラブ筋が曲がってしまい端部が跳ね上がってしまって
打設後に鉄筋がうっすらと見えているという現象になりやすいからです。
鉄筋が見えている若しくは見えそうという状態は明らかに
「かぶり厚さ」が不足していることを意味しているため、
品質管理上もマズイですし、床の仕上げの仕様によってもマズイ状態に
なるため、コンクリートの打設前には必ず確認しておいて欲しい項目ですよ。
つまり
スラブ筋の定着は隣り合うスパンの鉄筋と通し配筋にすべきか?
については、「望ましい」とは記載されているが現実的には難しい。
と言うのが私の見解です。
いつも
私は「経験より正しい知識」と言ってきましたし、出来るだけ正しい知識に寄せて
ブログも書いてきましたが、ここにきて反論的な内容が出てきましたね。
そして
これからも出てくるかも知れませんので、
もしも、あなたが私に異論があればドシドシコメントを頂ければ嬉しいです。
私が言っている事が毎回正解ではありませんからね。
ちなみに
「経験と正しい知識」についてはこちらを参照して下さいね。
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