鉄筋継手の基本中の基本である重ね継手。
壁やスラブなどでは当たり前に使用されている工法ですね。
それでは
「重ね継手は密着させなくてもよいのか?」
「重ね継手は上下が左右どちらに重ねるべきか?」
あなたはこの2つの素朴な疑問に答えることが出来ますか?
もしも
あなたが「簡単だよ」と感じるのであれば、今日の記事は
これ以上読まなくても良いですが、本当にそれは正しい知識でしょうか?
不安なあなたはこの先を読み続けて見ましょう。
まず
「重ね継手は密着させなくてもよいのか?」
ですが、下階の壁の差し筋に継ぎ足して、次の階の壁筋を組む時に
差し筋が本当に定められたピッチ通りに組み立てられていれば良いけど
実際には、200ピッチの中に、160だったり180だったりが混ざっている
ということも良くある場面だと私は感じています。
しかし
下階からの差し筋のピッチが乱れているときに、その乱れた差し筋ピッチに
合わせて上階の壁筋を組むべきか?上階は正しいピッチで組むべきか?
について悩むことになります。
それは
下階の差し筋と上階の差し筋が密着しない状態だからです。
多少の台直しで対応できる場合は良いかも知れませんが、
もしかして、下階は150ピッチ、上階は200ピッチと異なる
という場合も時にはあるはずです。
今回の質問は、そんな場合はどうしますか?というといかけです。
実は
重ね継手は、密着させるようにするのが原則ですが、
継ぎ手の鉄筋同士が密着していない状態である場合でも
それぞれの鉄筋が所定の長さを確保できていれば
品質上問題ないことが確認されています。
だから
無理に傾き1/6以上の台直しをして差し筋を補正する必要はありません。
次に
「重ね継手は上下が左右どちらに重ねるべきか?」
については、先程の問題が理解できていれば簡単ですよね。
答えは
重ね継手が密着していなくても性能が確保できているなら、
上下だろうが、左右だろうが関係ないのです。
だから
配筋時は、他の「あき寸法」や「かぶり寸法」が確保しやすい
方向で重ね継手を行えば問題ないのです。
最後に
「鉄筋コンクリート造配筋指針・同解説第5版 [ 日本建築学会 ]」の該当部分を確認して下さい。
ii)重ね継手の相互の鉄筋は,密着させるのが原則であるが,解説図6.7に示すあき重ね継手も同等に有効であり,スラブ筋・壁筋などで,隣接するパネルあるいは階により鉄筋の間隔が変わる部材などに用いてよい.
解説図6.7 あき重ね継手
ⅲ)重ね継手は,水平重ね・上下重ねのいずれでもよい〔解説図6.8 〕.
解説図6.8 水平重ね・上下重ね
つまり
鉄筋継手の基本中の基本の重ね継手の素朴な疑問
「重ね継手は密着させなくてもよいのか?」
については、密着させるのが原則だけどあき重ね継手でも
同様の効果を得られることが確認できているので良い。
「重ね継手は上下が左右どちらに重ねるべきか?」
については、上下・左右どちらでも良い。
という回答です。
しかし
素朴な疑問というのは、普段は深く考えることなく仕事を進めて
いることが多いため、改めて聞かれるとつまづいてしまうことが
実は意外と多いと私は感じています。
そして
素朴な疑問につまづくのは経験を積んだベテランの方が
実は多いかもしれませんね。
何故かって?それはこちらの記事にヒントがありますので
合わせて読むと理解がより深まりますよ。
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