鉄骨を加工した余りを再利用するときに品質をミルシートで管理できるのか?

Sponsored Links
/* */

 

鉄骨や鉄筋などの鋼材の品質証明は規格品証明書(ミルシート)で
管理するのが一般的で、ある程度の規模があれば現場毎に発注します。

 

すると

規格品証明書(ミルシート)には「現場名」が記載されているので、
あなたの現場の為に納入した材料だと言うことが一目瞭然となります。
柱や梁などの材料は必要長さを見越して出来るだけ材料ロスが出ないように
計算して使用すると残りはスクラップになります。

 

しかし

プレートなどの様な材料であれば、規格寸法のうち、使用する箇所が限定的で
半分以上が「余り」になってしまう場合もあります。

また、少量の汎用的な材料はロール発注せずに、流通している材料を
購入して使用する場合もあります。

 

では

現場毎にロール発注されていない鋼材は、
一体どの様に品質を証明するのでしょうか?

 

まず

1番最初に鋼材メーカーから出荷された時には、誰宛なのかは別にして
規格品証明書(ミルシート)が発行されますから品質証明は可能です。

そこから、問屋さんの方で一部分だけA社に売りたい時は、ミルシートの
「この部分を使っています」という部位を明確にして証明していきます。
更に、流通する時は同じ様に部分的に品質証明を行うという方法です。

その部分的に品質証明を行う書類を「原品証明書」 と呼び、
市場に出回る商品の品質を証明しているのです。

この制度は、いわゆる「性善説」に基づいて行われていますが、
この方法以外で材料を入手しようとすると、毎回鋼材メーカーへ
ロール発注しなくてはならず、製作スケジュールにも大きな悪影響を
与えてしまうため、今日現在では一般的なやり方です。

 

将来的には

材料にタグが仕込まれていて「ピッ」とすると、材料の品質が流通履歴と
共に証明される時代がくると考えていますけどね。

 

最後に

建築工事監理指針(令和元年版上巻) [ 国土交通省大臣官房官庁営繕部 ]
の該当部分を確認して下さい。

P.510

7.1.2 基本要求品質

(1) 鉄骨工事で使用する鋼材は、建物の構造耐力上必要な材質並びに断面形状及び寸法が設計図書で指定される。

基本要求品質としては、指定された材料が正しく使用されていることを求めているので、材質や寸法等を含めて、これを証明できるようにしておく必要がある。

板材等を切断して鉄骨部材を製作する場合は、一般的に、鋼材は製造工場 (メーカー)又は商社等から切板工場(シャーリング工場) 等に出荷され、ここで必要な断面形状に切断され、さらに、鉄骨製作工場 (ファブリケーター等)で加工・組立が行われる。この過程において、鋼材の大半を物件ごとにロール注文する場合には問題になることは少ないが、鋼材問屋(特約店)を通して市中購入する場合には、鋼材は順次小口に細分され、多様なユーザー等にわたっていくことがある。この時、鋼材そのものと、その規絡品証明書 (ミルシート) が対になって動いていないことがある。特に鋼材等を部品に切断した場合、その切断された部品とミルシートの対応ができていないことがある。切断する前の鋼材の製品番号等とミルシートが一致していることを前提とし、ミルシートの内容をリスト化して鋼材の品質証明を行う方法の一例として、(一社)日本鋼構造協会・建築鉄骨品質管理機構から、 2009年 12月に 「建築構造用鋼材の品質証明ガイドライン」が提案されている。すなわち、流通段階ではミルシートの内容をリスト化した「原品証明書」 で品質証明を行い、これに基づいて鉄骨製作工場の材料管理責任者 (鉄骨製作管理技術者資格保有者が望ましい。) が「鉄骨工事使用鋼材等報告書」を作成・発行する。施工者側は、鉄骨工事管理責任者がこの報告書で品質を確認する。さらに、これを工事監理者に提出して、使用鋼材等の品質を確認するシステムである (7.14.2参照)。

なお、SN材の識別については、7.2.1(2)(ケ)を参照されたい。

 

つまり

鉄骨を加工した余りを再利用するときに品質をミルシートで管理できるのか?
については、鉄骨などの鋼材等を部品に切断した場合、その切断された部品と
ミルシートの対応ができていないことがあるので、切断する前の鋼材の
製品番号等とミルシートが一致していることを前提としリスト化して
「鉄骨工事使用鋼材等報告書」を鉄骨工場にて発行して管理する
と言うのが望ましい。

 

実際に

プレート等の加工品の場合は、どの部分をどの様に使ったか?
を添付してある場合は視覚的に理解しやすいですよ。

更に

「ミルシート」と言えばこちらの記事も書いているので合わせて読むと
理解がより深まりますよ。

↓ ↓ ↓

  • コメント: 0
banner11

Sponsored Links


関連記事

  1. 敷地境界の測量を初めに行うべき3つの誤差の話とは?

  2. 施工計画書の裏側!添付資料はあなどるな!検査であせった出来事とは?

  3. 常駐型のクレーンの計画を行う時についつい忘れがちな事とは?

  4. 壁筋の組立順序と端のピッチの基本をおさらい

  5. 柱と梁のパネルゾーンの考え方で間違えてやすい考え方と失敗例とは?

  6. 継手の位置の基本の「キ」!なぜそこで継ぐのか?を理解する

  7. 既製コンクリート杭の溶接継手で一番大切だと教えられたこととは?

  8. 誘発目地と鉄筋の位置関係で生じるかぶり厚さ不足とは?

  9. 施工計画書を現場で作成する本当の意味とは?作成するのは誰の為?

コメント

  • コメント (0)

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

プレゼント付無料講座開催中

kouza
仮設 syoseki

プロフィール

myImage

作者:TM


私の職業は「建築現場の現場監督」。
何だかんだで15年働いている。
その15年分のノウハウを若い現場監督さんのために、全て暴露しくよ。

なぜ、キツイ建設業界で働き続けているのか?
その秘訣がしりたいあなたは
今すぐこちらをクリック

↓ ↓ ↓

詳しいプロフィールはこちら


あっ、
ただし「社外秘」や「会社独自の技術」じゃ無いよ。
あくまで、「私個人の感じる本音」だよ。

最新記事・おすすめ記事

  1. 鉄骨工事の中で自然と行われている「環境的な配慮」とは?

    2023.04.10

  2. 鉄骨の製品検査に工事監理者さんを連れていくのは当たり前なのか?

    2023.04.03

  3. 鉄骨工事の工事現場施工要領書に関するチェックのポイントとは?(…

    2023.03.27

  4. 鉄骨工事の工事現場施工要領書に関するチェックのポイントとは?(…

    2023.03.20

  5. 鉄骨工事の工事現場施工要領書に関するチェックのポイントとは?(…

    2023.03.13

  1. 一級建築士の資格勉強を始める時期はいつからか?という悩み

    2020.08.07

  2. 在宅勤務になり建築現場に配属されない時の学習方法は?という悩み

    2020.04.20

  3. 最上階の梁の定着は一般解の梁と何が違うのか?

    2019.02.15

  4. TMです。新年明けましておめでとうございます。【悩める建設マンへ】

    2019.01.01

  5. 工事写真をスマホで管理する時代が到来!Photo Manager(2)

    2017.10.09

人気記事ランキング

月間週間デイリー

ブログランキング

にほんブログ村 住まいブログ 現場監督へ