梁側のスペーサーってあなたはどこに設置させるかな?
つける可能性のある場所としては、あばら筋(スタラップ)と腹筋
だけど、腹筋に取り付けると回答する人が多いのかな、と感じる。
なぜなら
「鉄筋コンクリート造配筋指針・同解説第5版 [ 日本建築学会 ]」にこの様な記載があるから。
( 3) プラスチック製
現在の市販品には種々の形状や寸法のパーサポート・スペーサーがあるが,安定性,剛性,強度,耐火性に欠けるものが多く, 本指針では, 梁一柱・基礎梁・壁および地下外壁のスペーサーは側面のみプラスチック製でもよいものとした.プラスチック製のバーサポート・スペーサーにも所要の性能を望みたい.写真5.3 に示すようなドーナツ形のスペーサーは, コンクリートの充填性を考慮して縦向きに使うことを原則とする.
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ここで
今回の議題に関係する重要な部分は「コンクリートの充填性」
という文言であり、コンクリートの打設時にスペーサーが邪魔して
ジャンカや空隙が出来て充填不良になってしまうことを懸念している。
だけど
私は1つだけあなたに考えてほしいことがある。
それは、縦向きに設置することでスペーサーとしての「機能」
を十分に果たすことが出来るのか?という疑問についてだ。
具体的には
梁側のスペーサーを縦向きに設置するためには、腹筋に対して
設置する必要があるのだが、腹筋は通常あばら筋(スタラップ)
の内側に配筋されているため、梁側の外側から強い力が加わると
結束線がちぎれて腹筋が外れてしまう可能性があるのだ。
逆に
あばら筋(スタラップ)にスペーサーを設置すると、横向きになるため
コンクリートの充填性は損なわれるが、梁側に対する外部からの力に
対してはあばら筋自体で対抗できるため、スペーサーとしての本来の
役目を達成することが出来る。
ここで
私の言いたいことは、縦向きを否定しているわけでは全く無い。
それよりも、言われるがままに何も考えずに縦向きにしていることが
問題であり、実際にどのような力が加わって対抗することが出来るか?
という原理原則を理解して施工をしてほしいということである。
そこで
どうしても梁側のスペーサーを縦向きにするのであれば、
梁筋のかたよりなどで左右にずれた場合の補正は、別に
コンクリート製のブロックを型枠とあばら筋の間に設置する。
という方法もある。
また
横向きにする場合は、ドーナツ型ではコンクリートの充填性に
悪影響が生じると考えるのであれば、こちらのスペーサーを
使用するように提案するのも1つの手だよね。
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ちなみに
柱においては、柱のフープ筋にドーナツ型のスペーサーを
取り付ければ「縦向き」かつ「強度が確保できる」ので問題ない。
どちらかと言えば、壁筋の場合は、それぞれの部位で考え方が
違うので一概には言えないけど耐力壁などは縦筋が最外部に
配置されている場合は、梁側と同様になるので気をつけて欲しい。
つまり
鉄筋のスペーサーの向きに関しては、コンクリートの充填性と
外部からの応力に対応出来るのか?という複数の観点を持って
総合的に今の現場では何が最適か。を考えて欲しいな。
あっそうそう、
そう言えば、過去に工事監理者さんから聞いた話だけど、
とある大手の建設会社の現場監督さんが
「社内基準で縦向きって決まっているんです」
と、設計かぶりが50の梁側に対して50のサイズのスペーサーを
腹筋に取り付けている現場があったそうだけど
「どうせ付けるなら50じゃなくて60じゃない?…」
もしかしたら、横向きにつけていたスペーサーを縦向きに
無理やり変えさせただけだったかも知れないね…。
たとえ、作業員さんへ言いにくいことがあっても
しっかりと伝えないといけない時は伝えないとね。
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