コンクリート打設後の打設階では型枠の解体作業が進んでいます。
その中を巡視で歩いていると、ふとコンクリートの壁に目が止まるのです。
「うわっ、こんな所にジャンカ(豆板)が出来てる!
誰かに見つかるとマズいから、さっさと補修しなければ…」
とあなたは感じたことはありませんか?昔の私はそうでした。
しかし
実は、別に「誰かに見つかるとマズイ」という事ではありません。
ジャンカについては正しく対処していれば、軽微なものについては
全く恐れることは無いのです。
(とは言え、ジャンカが無いのが一番ですけどね)
実は
お恥ずかしながら会社に入って2~3年目の頃の私はジャンカの
「適切な処置方法」を知りませんでした。ジャンカは不具合なので、
早く対処しておいた方がよいという「冒頭」の文言の認識でした。
例えば
コンクリートの打設の翌々日の夕方あたりにコンクリートの
打設会社の土工さんがひょっこり現場に現れて、打設後に出来た
ジャンカにモルタルを詰めて帰っていくのをよく見かけました。
「何だ、モルタル塗っても汚らしいし修繕したと言えるのか?」
と当時は感じていたことを思い出します。
しかし
しかしですよ、その「汚らしい」と感じていたジャンカにモルタルを
詰めるという行為は、実は「正解」だったのです。
具体的には
軽微なジャンカについての適正な処置方法としては
「固練りのモルタルを詰める」という行為で正しいのです。
だから
「隠ぺい」すると後から色々言われる現代においては、軽微なジャンカ
があれば、記録しておいて固練りのモルタルを詰めておけば良いので
「不具合が起きてしまった」と恐れることは無いというのが今回の話でした。
最後に
「建築工事監理指針(令和元年版上巻) [ 国土交通省大臣官房官庁営繕部 ]」
の該当部分を確認して下さい。
”””
P.480(a) コンクリー卜に生じた豆板の程度は、表 6.9.3 を参考にして分類する。
表 6.9.3 豆板の程度
豆板の程度 A なし B 表面的に軽微であり、粗骨材はたたいても落ちない。 C 粗骨材は互いに強く結ばれていて、たたくと落ちるものもあるが、連続的にバラバラに落ちることはない。内部には大きな空洞はない。 D 内部にも空洞が多くなる。粗骨材がセメントペーストでまぶされたような状態で露出し、表面から内部まで、粗骨材相互がわずかの部分のみで連結されているような状態である。
(b) コンクリートの豆板の補修方法
① 硬練りモルタルの充填方法による場合
1) 表 6.9.3 の B程度のものに適用する。
2) 健全部分を傷めないように不良部分をはつり、水洗いした後、木ごて等で 1:2の硬練りモルタルを丁寧に塗り込み、必要に応じて打継ぎ用接着剤を使用する。
3) はつり穴の深さは、30mm 以上が望ましい。浅いと充填部分にひび割れが入るなどして効果が望めない。
4) 充填後は、急激な乾燥を防ぐ。
② コンクリートの打直しによる場合
1) 表 6.9.3 の D 又は C でも D の状態に近いものに適用する。
2) 砂利等でたたいて落ちるようなものが残らないように、密実なコンクリー卜部分まで十分はつり取る。
3) 露出した鉄筋は、図 6.9.3 のようにその範囲に最少 30mm 以下の隙間をとる。
4) 穴の深さは、少なくとも 100mm 以上とする。
5) はつり取った開口部の上端は、図 6.9.3のようにコンクリートを打ち込む側が広くなるように約 100mm 以上の差をつける。
6) コンクリー卜の打込み前には、必ず清掃・水洗し、既存コンクリー卜部分を湿潤にしておく。
7) 打ち込むコンクリートは、硬練りコンクリートとして十分に締め固める。
8) 打ち込むコンクリートの量が多い場合は、沈降と収縮を少なくするために膨張材等を使用するとよい。
③ 表 6.9.3の C程度のものは、状況によりセメントペースト又はモルタルの注入を行う。
④ 柱下部等で鉄筋が多く、内部のコンクリートのはつりが困難な場合は鉄筋面まで露出させ、セメントガン吹付けあるいは注入 (グラウト) 等の方法による。
図 6.9.3 鉄筋が露出した場合の補修方法
つまり
コンクリート打設後にジャンカ(豆板)が発生して工事監理者さんに見られると
大きな問題になることも少なくありませんが、実は、軽微なジャンカについては
硬練りのモルタルを詰め込むだけという補修方法で良いのです。
だから
不必要に焦ってしまわずに適切な補修方法を提案すればよいので、
事前に施工計画書などに記載しておけば現場でも決して怖くないのです。
しかし
実際には「やってしまった!」と感じる部分が少なからずありますよね。
私でも少なからずありますので、1つ1つ失敗しないように覚えていかないといけないし、
作業員さんや部下などに教えていかなければいけませんよね。
もしも、あなたが作業員さん等への伝え方で困っているのであれば
こちらの記事が参考になりますよ。
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