何も処理をしていない素のコンパネで組んだ型枠の中にコンクリートを
流し込んだ後に解体しようとするとコンパネにコンクリートが食い付いて
なかなか解体することが出来ない事があります。
なぜなら
コンクリートの中のセメントを含んだ水分が型枠の繊維の中で硬化して、
一体化をしようとするからだと私は考えています。
それは
居室である2階のスラブ下にスタイロフォームを打ち込む時に、
何も特別な事をしなくてもコンクリートを打設すると
スタイロフォームがスラブにくっついて落ちなくなるのと同じだと
考えると想像しやすいでしょう。
コンクリートが自ら気を効かせて
「この材料とは剥がれやすくしよう」
「この材料は打ち込み材だからしっかり接着しよう」
という事は現実的には無いので、用途と目的にあわせて人間が管理を
する必要があるのは言うまでもありませんよね。
だから
コンクリート打設後に「解体」される運命にある型枠材には、
あらかじめ解体されやすいように「はく離剤」を塗布します。
そうです。型枠大工さんが型枠材の建て込み前にローラーや噴霧器で
コンパネに塗り付けているのが「はく離剤」なのです。
そして
はく離剤には実は使用する油の成分が「動物性」、「植物性」
を使用している場合があり、それぞれ特徴があります。
まず
動物性は、はく離剤としての性能は植物性に比べて高いです。
材料の転用性を重視する型枠材としては非常にメリットがあります。
しかし
打設後のコンクリートにも成分が残ることで、タイル張りなどの
仕上げをする場合に、コンクリート表面で仕上げ材とのはく離の恐れが
あるため数年後に「タイルの落下事故」が起きる可能性があるのです。
逆に
植物性の場合は、動物性のはく離剤のメリット・デメリットが逆なので
タイル張りなどの仕上げをする場合には適している事になるのです。
そこで
1度、型枠大工さんと現在使用しているはく離剤の種類と、
場所ごとの仕上げ材の関係について話し合ってみるのも
数年後に呼び出されて「タイルが落ちた!」と怒られる事を
無くすためには必要だと感じたので今回記事にしましたよ。
最後に
「建築工事監理指針(令和元年版上巻) [ 国土交通省大臣官房官庁営繕部 ]」
の該当部分を確認して下さい。
P.433
(7) はく離剤は次の性能を有するものとする。
(ア) せき板とコンクリートのはく離性が良好であること。
(イ) せき板あるいはコンクリー卜の成分と反応し、コンクリートに悪影響を与えないもの。
(ウ) 木製せき板のように吸水性のあるものは、その吸水性を減少することができるもの。
(エ) はく離剤自身による汚れをコンクリート面に残さないこと。
つまり
型枠工事に使用する「はく離剤」は大きく分けて「動物性」
と「植物性」の油を使用したものに大別されます。
「動物性」の油を使用した商品は、性能がよくて転用回数も
延びるので型枠大工さんにとってメリットは大きいですが、
コンクリートの上に施す仕上げ材も「はく離」するかも知れない
というデメリットも併せ持っています。
逆に
「植物性」の場合は、性能は動物性ほどではなくても、
仕上げ材との相性は良いです。
そこで
最終的に「どんな仕上になるか?」を踏まえながら
型枠の「はく離剤」を決定する事が数年後の「瑕疵」
を防ぐためのポイントになると私は考えています。
つまり、こういう事です。
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