前回の記事では型枠大工さんに必要な技量について4つの項目を
お伝えしましたので、今回は最後の1項目をお伝えしていきましょう。
5つ目は
水平材、斜材、配置など計画図と著しく異なる箇所がないことです。
1つ目の項目で「計画図」を作成しておく事と書きましたが、
あえて、その場で言わなかったのが「現場では計画図通り」に
施工するべきという事です。
きっと
「計画図は900ピッチなのに、920あるじゃないですか!」
という内容で指摘を受けることは無いと考えていますが、
「計画図には水平材の記載があったのに無いですね!」
というレベルであれば指摘を受けるでしょう。
だから
「計画したら終わり」でも「とりあえず書いとけ」でもなく
現実的に実現可能なレベルで計画図に記載する事が重要ですよ。
6つ目は
補助サポートを使用する場合は1本までしか足さない事、
パイプサポート同士をつなぐ場合は4つの穴全てで固定する事です。
ここで
補助サポートとはパイプサポートに差して継ぎ足せる1mくらいの
サポートで、階高が高い場合に補助サポートを使用して届けば、
支保工足場を組まなくても良くなるので現場としては省力化に
つながるような商品です。
補助サポート
実際に
補助サポートを2本以上使用している場面に私は出くわした事は
無いですが、代わりに階段部分などの型枠支保工で2本つなぎを
している場面で「4ヶ所止めを2ヶ所しか止めていない」
という場面には遭遇しますので、適切に指導しておきましょうね。
7つ目は
上記の項目に対する点検表があることです。
コンクリートの打設前には「点検」を行って記録に残しておく
必要が私たちにはあります。
よって
不良品にしても、組み立て方法にしても「悪いところが無いか?」
をあなたが確認して記録すべきなのです。
例えば
「点検表が無いと言うことは、あなたが適切に管理していた
という事実をどの様に証明するつもりだったのですか?」
と労働基準監督署の人に言われた時に、返す言葉が無いですからね。
最後に
「建築工事監理指針(令和元年版上巻) [ 国土交通省大臣官房官庁営繕部 ]」
の該当部分を確認して下さい。
P.439
(カ)支柱に関する労働安全衛生規則の抜粋を次に示す。
---- 労働安全衛生規則 ----
(昭和47年9月30日 労働省令第32号 最終改正 平成25年6月28日)
(型枠支保工についての措置等)
第二百四十二条 事業者は、型枠支保工については、次に定めるところによらなければならない。
一 敷角の使用、コンクリートの打設、くいの打込み等支柱の沈下を防止するための措置を講ずること。
二 支柱の脚部の固定、根がらみの取付け等支柱の脚部の滑動を防止するための措置を講ずること。
三 支柱の継手は、突合せ継手又は差込み継手とすること。
四 鋼材と鋼材との接続部及び交差部は、ボルト、クランプ等の金具を用いて緊結すること。
五 型枠が曲面のものであるときは、控えの取付け等当該型枠の浮き上がりを防止するための措置を講ずること。
五の二 H型鋼又はI型鋼(以下この号において「H型鋼等」という。)を大引き、敷角等の水平材として用いる場合であつて、当該H型鋼等と支柱、ジャッキ等とが接続する箇所に集中荷重が作用することにより、当該H型鋼等の断面が変形するおそれがあるときは、当該接続する箇所に補強材を取り付けること。
六 鋼管(パイプサポートを除く。以下この条において同じ。)を支柱として用いるものにあつては、当該鋼管の部分について次に定めるところによること。
イ 高さ二メートル以内ごとに水平つなぎを二方向に設け、かつ、水平つなぎの変位を防止すること。
ロ はり又は大引きを上端に載せるときは、当該上端に鋼製の端板を取り付け、これをはり又は大引きに固定すること。
七 パイプサポートを支柱として用いるものにあつては、当該パイプサポートの部分について次に定めるところによること。
イ パイプサポートを三以上継いで用いないこと。
ロ パイプサポートを継いで用いるときは、四以上のボルト又は専用の金具を用いて継ぐこと。
ハ 高さが三・五メートルを超えるときは、前号イに定める措置を講ずること。
八 鋼管枠を支柱として用いるものにあつては、当該鋼管枠の部分について次に定めるところによること。
イ 鋼管枠と鋼管枠との間に交差筋かいを設けること。
ロ 最上層及び五層以内ごとの箇所において、型枠支保工の側面並びに枠面の方向及び交差筋かいの方向における五枠以内ごとの箇所に、水平つなぎを設け、かつ、水平つなぎの変位を防止すること。
ハ 最上層及び五層以内ごとの箇所において、型枠支保工の枠面の方向における両端及び五枠以内ごとの箇所に、交差筋かいの方向に布枠を設けること。
ニ 第六号ロに定める措置を講ずること。
九 組立て鋼柱を支柱として用いるものにあつては、当該組立て鋼柱の部分について次に定めるところによること。
イ 第六号ロに定める措置を講ずること。
ロ 高さが四メートルを超えるときは、高さ四メートル以内ごとに水平つなぎを二方向に設け、かつ、水平つなぎの変位を防止すること。
九の二 H型鋼を支柱として用いるものにあつては、当該H型鋼の部分について第六号ロに定める措置を講ずること。
十 木材を支柱として用いるものにあつては、当該木材の部分について次に定めるところによること。
イ 第六号イに定める措置を講ずること。
ロ 木材を継いで用いるときは、二個以上の添え物を用いて継ぐこと。
ハ はり又は大引きを上端に載せるときは、添え物を用いて、当該上端をはり又は大引きに固定すること。
十一 はりで構成するものにあつては、次に定めるところによること。
イ はりの両端を支持物に固定することにより、はりの滑動及び脱落を防止すること。
ロ はりとはりとの間につなぎを設けることにより、はりの横倒れを防止すること。
つまり
労働基準監督署の臨検対策としては
- 機械設置届の有無に関わらず「型枠組立計画図」と「構造計算書」を現場に備えておくこと
- 足もと、スラブ取り合い部の「滑動防止」の対策を取っておくこと
- 明らかな不良品があれば使用禁止と分かるようにしておくこと
- パイプサポートを調節するピンは「専用」のピンを使用すること
- 水平材、斜材、配置など計画図と著しく異なる箇所がないこと
- 補助サポートを使用する場合は1本までしか足さないこと、パイプサポート同士をつなぐ場合は4つの穴全てで固定すること
- 上記に対する点検表があること
ここで
労働基準監督署の人が来た時点で現場はかなり混乱するので、
出来るだけ必要のない作業についてはストップさせることが
余計な指摘事項を減らすための得策の1つだと考えています。
また
相手も人なので、粘り強く会話をしていくと柔軟に対応して
くれる人もいるので真摯に対応するようにしましょうね。
更に
労働基準監督署の記事と言えばこちらも確認しておいて下さいね。
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