私が会社に入って数年間は、たまたま敷地が広い現場が
多かったので、現場で鉄筋かごを組み立てていた。
そこで
杭屋さんの鉄筋組立部隊がいつも溶接しながら組み立てて
いたのを記憶している。
現場の事が分からないなりに「かご筋は溶接するもの」
というイメージがあった。
しかし
現場で経験と知識がついていくことであることを学んだ。
それは、「鉄筋をアーク溶接すると断面欠損する」ことである。
更に、溶接の機械次第で断面欠損を起こさないものもある。
という事も学んだ。
だけど
当時の溶接機がどのような機械だったのか?については
全く覚えていないし今さらどうにもならない。
当時は、そういう時代だったのだろう。
ちなみに
「建築工事監理指針(令和元年版上巻) [ 国土交通省大臣官房官庁営繕部 ]」に書いてある内容を読むと、
かご筋の組立時の溶接について言及している。
P.262
(8)鉄筋の加工及び組立
(ア)鉄筋は,かご形に組み立てる。
主筋と帯筋を溶接している例が見られるが,点付け溶接は注意しても主筋が断面欠損をするおそれがあるので「標仕」4.5.3(a)では,主筋への点付け溶接は行わないこととしている。また,帯筋の重ねは特記が原則であるが,10d以上の片面熔接(両面の場合は5d)とすることが望ましい。鉄筋かごの補強は特記によるが、補強リングは鉄筋かごを所定の寸法と形状を保持するために、異形棒鋼、平鋼又は山形鋼から適切な材料を選定し、2~3mの間隔で配置する。主筋と補強リング(平鋼又は山形鋼)を溶接により結合する場合は、断面欠損を起こさないように十分注意する。近年、主筋と補強リングを無溶接で行う結合方法が用いられており、その組立に当たっては(一社)日本基礎建設協会「場所打ちコンクリート杭の鉄筋かご無溶接工法、設計・施工に関するガイドライン」を参照されたい。
なお、補強リングは、鉄筋かごの径により主筋の内、外周のいずれに取り付けてもよい。(イ) 溶接技能者は、7.6.3を参照する。
(ウ) 溶接施工は7章6節による。
(エ) 鉄筋かごの継手は,「標仕」表5.3.2により,鉄線(通常10#以上)を用いて主筋1本当たり3箇所以上で結束する。鉄筋かごの重要が大きいときは、これに補助的に溶接を併用する場合があるが、アンダーカットや急冷による材質変化がないように十分注意する。
なお,鉄筋かごの建込みは,かごを変形させないように静かに吊起し、孔壁を損傷させないように杭の中心に鉛直性を保ちながらゆっくりと孔内に挿入する。図4.5.12 鉄筋かごの組立例
というように、点付け溶接を行ってはいけない。
と書いてあるのだ。
では
何故、杭屋さんは溶接したがっていたのだろう?
原因は、かご筋に対する強度が欲しかったのだろう。
強度といっても、かご筋の構造的な強度があがる訳でなく、
加工場から現場までの運搬時や、かご筋の吊り込み時には
なかなかの衝撃がかかると予想される。
そこで
中途半端な組み立て方をしていれば「崩壊」する恐れが
あるから、荷崩れ防止のために一番適したのが溶接だった
のではないだろうか?
だけど
品質的にダメなものはダメなので、事前に工事監理者さんと
打ち合わせをしてから施工しようね。
つまり
杭のかご筋を組み立てる時に鉄筋組立と溶接で確認すべきこと
とは、「溶接」の有無と、どのような設備で溶接を行うか?である。
普通に、アーク溶接で溶接をしてしまうと、断面欠損を起こして
所定の品質を得られないことがあるので注意しよう。
そして
専用の金具などを用いて溶接しない組み立て方を検討しよう。
更に
現場で勝手に溶接を許可してしまって、工事監理者の立会時期に
なってから、問題になるケースというのも考えられるので、あらかじめ
施工計画書などで承認を頂いていこうね。
ちなみに
施工計画書についてはこちらを参考に。
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