過去にとある場所打コンクリート杭の業者さんから
以下の事をいわれて試したことがある。
「上部鋼管巻きの場合は余盛りを低くしても大丈夫です。」
つまり
鋼管の天端から溢れでる不良コンクリートが余盛り部分と
なる前に鋼管の外に流れ出るため、通常の余盛り高さに
いかなくても不良部分は取り除けるという作戦。
そして
実践した結果としては「良い結果とは言えない」という結論になった。
というのは、杭頭はつりを行った結果として、不良部分が
取り除けていない箇所がしばしば見られたからである。
結果として、不良部分は更なるはつり込みを行って最終的に
全て除去したのだが、かなり余分な費用が発生した。
では
まず基本となる「建築工事監理指針(令和元年版上巻) [ 国土交通省大臣官房官庁営繕部 ]」には
どのように書いてあるか?だけど以下のように書いてある。
(エ) 打ち込んだコンクリートの最上部分は、直上の安定液や泥水などど接触するため、セメント分の流出や土粒子の混入などにより劣化する。このため余分に打ち上げて余盛りをつくる。余盛りの高さは,「標仕」4.5.5(3)(ケ)では、泥水が多くコンクリートの劣化が著しいと考えられる「標仕」表4.5.1のB種の場合は800mm以上,掘削孔底にほとんど水がたまっていないような状態を想定したA種の場合(無水郷り)を500mm以上としている。
なお、コンクリート打込み後、ブリーディングに伴ってコンクリート表面にレイタンスと呼ばれるぜい弱な物質の層が形成されるが、このような骨材を含まないモルタル状の固化物は余盛りには含まれない。
つまり
建築工事監理指針においては、上部鋼管巻きだからと言って
余盛り高さを低減して良いとは書いていない。
よって
余盛り高さを調整するデメリットは、トラブルが起きたときに
言い訳する後ろ楯が無いということである。
しかし
逆に、余盛りが減ることのメリットも大きいのも事実。
メリットとしては
- 杭頭処理に掛かる時間が少なくて済むので近隣からのクレームが出にくい。
- 杭頭処理で発生したガラは、産業廃棄物となるため環境負荷の低減になる。
- そもそも杭頭処理が減るとコストが下がる。
などが挙げられるが、個人的な経験からいくとやっぱり
規定通りの余盛りを行うべきだと感じたね。
つまり
場所打ちコンクリート杭の余盛高さを変更するメリット・デメリットとは、
メリットとして余盛が少なくなった分の杭頭処理の低減が測れる。
これは、コスト面だけでなく騒音などの環境面の意味でも有効である。
逆に
デメリットとしては、本来の良質であるべきコンクリート部分に、
不良コンクリートが混ざる可能性が高いということである。
実際に、現場で進めていく上でお互いのメリット・デメリットを
見ながら進めていけば良いとは感じるが、一度失敗をした私からは
出来るだけ仕様通りに勧めておかないと、トラブルになった時に
説明がつかない場面が出てくるので注意する必要があると感じるよ。
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