コンクリート打設前日に清掃しても、直前にもう1度散水すべき理由とは?

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コンクリートの打設の前日はだいたい打設箇所の清掃を行います。
それは、コンクリートの中にゴミが紛れ込んでいたら取り除けないし、
品質的にも問題が出てくるからです。

 

また

各企業先や設計事務所の仕様書などで柱の下部などに、
「掃除口」を設けてスラブ上からでは取ることの出来ないゴミを
残さず取れるようにしている場合もあります。

最終的な「水洗い」は作業が全て終わった所から行う事が多いので、
次の日の朝の打設開始前はゴミの無い綺麗な状態です。

 

では

なぜ、綺麗な状態の打設箇所をコンクリート打設の直前に散水する
必要があるのでしょうか?

 

ここで

勘のよいあなたなら私が微妙に言葉使いを替えているのに
気が付いているかも知れませんね。

そうです。前日までに行っておくのは「水洗い」で、
当日打設直前にあなたにして欲しいのは「散水」です。

 

違いは、読んで字のごとくですが「水洗い」はスラブ上などのゴミを
洗い流す」ことでコンクリート内に不純物を混入させないようにする為です。

逆に、「散水」に求められる物は「型枠を湿潤状態にする」事により、
コンクリート内の水分を型枠に奪われないようにする為です。

型枠が乾燥している状態でコンクリートを打設すると型枠の表面に
接しているコンクリートの水分が型枠に奪いとられて、脱型後の状態が
「ツルツル」ではなく「パサパサ」な表面になってしまうのです。

 

だから

夏の暑い日などは、次に打設する部分をこまめに散水する事が非常に大切です。
夏なら水しぶきが他の作業員さんに掛かっても文句は言われないはずですしね。

「お肌の潤いを保つには適度な水分が必要」だと言うのが今回の結論です。

 

あっ、

柱の下部に掃除口を設置している場合については、コンクリート打設前の
締め忘れに注意しましょうね。このあたりの事は後日簡単に触れる予定にしていますよ。

 

最後に

建築工事監理指針(令和元年版上巻) [ 国土交通省大臣官房官庁営繕部 ]
の該当部分を確認して下さい。

 

P.412

(2) 打込み開始前に行う型枠内部の掃除では、電気掃除機等により雑物を取り除く。
水洗いだけでは、柱下部等に雑物が集中することになるので、柱下部等に掃除口を設けて内部に落ち込んだ雑物を取り除く。

せき板が乾燥している場合には、打込みに先立って散水するが、寒冷時等で水が凍結するおそれのある場合には散水を行ってはならない。

 

つまり

コンクリート打設前日に清掃しても、直前にもう1度散水すべき理由とは、
「型枠に水分を吸わせる」ためで、散水することによってコンクリート中の
水分を型枠に奪われてしまって、脱型後の表面が綺麗な状態にならない
という不具合を防ぐためです。

 

ただし

前日からの清掃後に発生しているゴミの清掃なども兼ねているので、
適当にザーッと散水だけしておけば良いというものでもありません。

「あ~!何でこんなゴミが入っているの?」

と型枠を脱型した後に後悔したくないですからね。
コンクリートは打設したら最後、よほどの不具合が無い限りはやり直し
がきかない工種の代表ですから「後悔のない施工」を意識することが
非常に重要です。あなたにはこんな事で悩んで欲しくないですからね。

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