ガス圧接、溶接継手、機械式継手の外観を毎回全数検査していますか?
と言われたらあなたは自信を持って「はい」と答えられますか?
正直、私の答えは「いいえ」です。
「全数検査できるほど暇だったらいくらでもしてやるよ!」
とあなたは感じているかも知れません。私も同感です。
こんな事を文字にして良いか分かりませんが、現場でやるべき品質管理で
「本音と建前の差が大きい項目」の1つに「全数外観検査」
があると私は感じています。
しかし
いざ、配筋検査の時に普段は気にも留めない工事監理者さんが
「あれ?ここの圧接部の外観おかしくない?
施工者としては全数検査だよね。検査してないの?」
と言われれば、下を向いて謝るしかないという状況を
容易に想像してしまう事が出来るのは私だけでしょうか?
だけど
「検査で指摘されないように忙しくても確認しましょうね」
という気も私にはありません。何もかもが1つずつ大切な事で
確認していないと指摘されるのは決して良いことではありません。
しかし
人間には1日で出来る作業量の限界があり、仕事がメチャメチャ出来る
と言われている人でもせいぜい10%増しくらいの作業量でしょう。
その限られた時間の中で「優先順位を付けて」仕事をこなしていく
必要がどうしてもある訳です。
その中で、「圧接部の外観を全数確認する」という「地味で時間のかかる」
作業は9割以上の人の中で優先順位がどうしても下がってしまいます。
では
話が脱線しましたが、タイトルで書いていた「楽な裏技」って何?
という話に戻っていきましょう。それは「検査しなくても良好な品質」
が保たれる様な環境を作ればよいのです。
つまり
実際に作業する作業員さんが「外観試験で文句を言われない品質」に
気を付けて1ヶ所、1ヶ所施工をする事で、検査側で見逃しがあっても
現場全体としては結果的に良好な品質が保たれるのです。
そこで
現場に圧接屋さんなどが来たとき(出来るだけ早い段階がベスト)に
時間をかけて外観検査を行い、そこで不具合が見つけることが出来れば
「指摘」をおこなったり、文句のつけようのない出来栄えであれば声に出して
「褒める」という事が非常に有効なのです。
「あっ、この現場の監督さんは外観についてチェックしているんだ」
と作業員さんに意識付けをさせる事が出来れば、自然と現場での
不良品は減っていくというのが私の経験上の実感です。
最後に
外観試験の内容についての検査要領については、
「建築工事監理指針(令和元年版上巻) [ 国土交通省大臣官房官庁営繕部 ]」
の該当部分を確認して下さい。
P.316
5.4.10 圧接完了後の圧接部の試験
「標仕」では、圧接完了後に圧接箇所の全数について外観試験を行い、その後、超音波探傷試験又は引張試験を行うこととしている。
(ア) 外観試験
(a) 外観検査は、全ての圧接部について行う。
(b) 圧接部のふくらみの形状及び寸法、圧接部のふくらみにおける圧接面のずれ、圧接部における鉄筋中心軸の偏心量、圧接部の折れ曲り、片ふくらみ、焼割れ、へこみ、垂下がりについて外観試験を行い、結果を記録する。① 圧接部のふくらみの形状及ぴ寸法については、図5.4.3 に示すように、ふくらみの直径は母材鉄筋径の1.4倍以上、ふくらみの長さは母材鉄筋径の1.1倍以上でなければならない。圧接部のふくらみの外周に軸方向の小さなひび割れが発生することがあるが、これは鉄筋のアプセットに伴うもので、多少のひび割れは特に支障はない。ただし、ひび割れが著しい場合には欠陥となるので、加熱温度、加熱時間、加圧速度等を再検討して、ひび割れの発生を防ぐ。
② 圧接部のふくらみにおける圧接面のずれは、図 5.4.4 による。圧接面のずれとは、圧接面がふくらみの中央からずれた位置に存在する場合をいう。これは、加熱位置が鉄筋を突き合わせた位置からずれてしまい、 加熱が片方の鉄筋に偏り、適正な圧接作業が行われなかったことを示すものである。ずれが大きくなると強度の低い不良圧接となるので注意する必要がある。
③ 圧接部における鉄筋中心軸の偏心量は図5.4.5 による。偏心量の大小は、施工の良否を示す指標の一つであるので注意する。
④ 鉄筋同士の角度が2°を超える圧接部の折れ曲りがあってはならない。
⑤ 圧接部の片ふくらみは図5.4.6 による。
図5.4.3 圧接部のふくらみの形状及ぴ寸法
図5.4.4 圧按面のずれ
図 5.4.5 圧接部における鉄筋中心軸の偏心量
図5.4.6 圧接部の片ふくらみ
(c) ①から⑤の外観試験の方法は目視によって行い、必要に応じて外観試験用測定治具を使用するとよい。圧接部測定用ゲージを用いると、簡単に圧接部の計上や偏心の食違い等を測ることができ迅速な試験が可能となる (図5.4.7参照)
図5.4.7 外観試験用測定治具の例
つまり
ガス圧接、溶接継手、機械式継手の全数外観検査を楽にする裏技とは?
初めて現場に来た作業員さんに対して、現場にてあなたが外観検査を行い、
気付いた事に対してコメントを行うことです。
すると
「この現場監督は自分たちの仕事をよくチェックしている」
と感じるため、不良な外観にならないように気を付けて作業することで
結果的に、引張試験にしても超音波探傷試験においても
不合格が出る確率が非常に少ないという事なのです。
ちなみに
今回の手法はこちらでも同様に使ってあなた自身を簡単に
楽にすることが出来るので確認して実践してみましょう。
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