前回は、工事現場施工要領書の全9項目のうち
1~3項目までをお伝えしました。
最初から読みたいあなたはこちらからどうぞ。
今回は続きからお伝えします。
4 ●アンカーボルトの保持及び埋込み工法と検査方法
5 ●定着の工法
4,5についてはアンカーボルトの内容なので一緒にコメントします。
鉄骨がコンクリート(基礎など)と接合するには基本的に
アンカーボルトを所定の長さ埋め込むことによって
応力を伝達する仕組みとなっています。
だから
アンカーボルトの施工が適当だと、大地震が起こった時に
設計時に期待していた耐力が得られなくて倒壊などの危険性
があるので、軽く見られがちですが重要なパーツです。
また
アンカーボルトと一口に言っても色々な種類や形式があります。
例えば
ベースプレートやアンカーボルトの径や長さ全てを構造設計者が
設計する工法に対して、ベースパックやハイベースなどの商品名で
知られているメーカーの認定工法などがあるので、自分の現場が
どの工法なのか?をよく確認して、その工法通りの要領になっているか?
を確認しておく必要があります。
そして
SRC造などであれば、アンカーに耐力を期待しない「建方用」の場合は、
あと施工アンカーでも可能なのですが、「構造用」のアンカーボルトであれば
あと施工アンカーは不可です。
だから
アンカーボルトの入れ忘れや間違いは躯体を一旦撤去してからの
やり直し工事になるため現場としては色んな方面での大損失に
なるので本当に注意して現場の管理をして下さいね。
更に
アンカーの構造形式にも種類があるので確認しておく事が重要です。
アンカーがそのまま見えている若しくは実際は200mm程度下がっていて
アンカー部は埋めるけど柱脚はほぼ見えている「露出式」に対して、
柱脚部分をコンクリートで根巻する「埋込式」では構造設計の考え方が
違いますし、同じ根巻きでも構造を負担するのか?鉄骨柱の保護なのか?
によっても納まりが違うので「まずはどの形式か?」をよく確認しましょう。
このように
アンカーボルトについては色々確認することがあるにも関わらず
タイミングとして他の躯体工事なども忙しい時期に当たるので
軽視されがちですが、この記事を読んだあなたには重要性が
伝わっていると私は確信していますからね。
6 ●建方作業順序と建入れ直し及び建入れ検査方法並びに不具合処置方法
鉄骨工事の現場施工で一番肝心なのは「順序」です。
更に、それぞれの順序においての揚重機の能力と部材の重量の
関係性を確認しておくことも非常に重要です。
そして
鉄骨の建方順序には、建物の形状に合わせて「建て逃げ」と「積上げ」
の大きく分けて2通りあります。「建て逃げ」の場合は平面的に広い、工場や
商業施設などに用いられ、「積上げ」の場合は高さのある事務所ビルなどで
使用されることが多いです。
それぞれの建物形状や敷地条件によって2つの建方順序を組み合わせたり、
下層階の鉄骨の重量が極端に大きくなる場合などは、そこだけ別の揚重機で
計画して、上層階は吊り能力を押さえたタワークレーンなどで計画して
全体コストを減らしていくという手法などもあるので、鉄骨の建方順序の検討は
非常に検討のしがいのある業務であると私は感じていますよ。
また
実際に建て方の終わった鉄骨はアンカーボルトで固定されているからと言って
真っ直ぐに建っている訳ではありません。
そこで
鉄骨の鉛直度の確認や各スパン長などを確認しながら調整していく
という事が必要になって来ますが、その場合には測量機器の位置を
検討して、実際に確認することが可能なのか?をイメージしながら
計画していく事が大切です。
実際に
現場で光波やトランシットを据えて目標の鉄骨を覗くと
「見えね~~!!!」
という事もたまには発生して、冷や汗をかくこともありますからね。
今回はこのあたりでおしまいです。
また次回。
この記事へのコメントはありません。