スラブの配筋写真を確認していた先輩が
「この写真は使えないから外そう!」
とおもむろに言われてしまいました。せっかく撮影した写真が
「使えない」という判断を下されたことは、もしかして
あなたにも1度や2度くらいあるかも知れませんね。
「えっ、1度や2度どころじゃない!?」
であれば、今回の記事を読み進めると「1度」は減るはずですよ。
まず
誘発目地というのは、コンクリートの乾燥収縮によって生じる
「ひび割れ」を予定した場所に発生させるために意図的に
構造上弱い部分を設けたもので、壁やスラブの20~30%程度を
目地で欠損させたものです。
具体的には、200mmの片持ちスラブであれば、20~25mm程度の
目地棒が上下に設置されている感じです。
そこで
冒頭のトラブルに戻りますが、一体何がいけなかったのかと言いますと、
勘の良いあなたならもうお気付きですかね。
実は
当然と言えば当然なのですが、誘発目地の周辺にもかぶり厚を
所定の寸法取らないといけないのです。
具体的には
下筋の配力筋を誘発目地の部分で切断する納まりになっていない場合は、
大抵スラブの下筋のスペーサーは30mm程度であるはずです。
しかし、誘発目地が20mmあれば、目地を交差する部分では
当然ながらかぶり不足になるのです。
しかも
誘発目地というのは、ひび割れを目地を設置した箇所で発生させる
という使命を持って設置されているのでひび割れによって
外気に接しやすく錆が発生しやすい箇所でもあるからです。
だから
誘発目地部分で、下筋の配力筋を切断できない場合は、
目地周辺にスペーサーを設けてかぶり厚さを確保できるように
配筋する必要があるのです。
文章を読めば、当たり前過ぎますが実際の現場でそこまで気をつけて
管理されている人は意外に多くないと私は感じていますけどね。
最後に、「鉄筋コンクリート造配筋指針・同解説第5版 [ 日本建築学会 ]」を確認しておきましょう。
コンクリート躯体にひぴ割れ誘発目地を設ける場合は壁の両面とし,断面欠損率は20 %を超え30 %程度とされている,なお,望ましい断面欠損率を「鉄筋コンクリート造建築物の収縮ひび割れ制御設計・施工指針( 案)・同解説」(2006 年版) を参考に決めるとよい. 目地部の鉄筋に対するかぶり厚さは. JASS 5 (2009 年版)に従い, 計画供用期間の級が標準・長期
の場合.解説図3.5 のように定める図巾のかぷり厚さの数値は,コンクリートが硬化した状態で最小のかぷり厚さが目地郎で確保されていることを示している.
つまり
鉄筋のかぶり厚さは誘発目地の目地底からの距離を確保する必要があります。
だから、壁の型枠やスラブ底の型枠に設置されている誘発目地の位置を
基準にして必要なかぶり厚さが確保できるように離して配筋することが
必要になってくるので、あなたが配筋写真を撮る時には誘発目地と鉄筋の
位置関係をしっかりと確認してから撮影しないと、最終的に「使えない写真」
になってしまう可能性が有りますからね。
あっ
工事写真と言えば、撮影の経験が少ないと失敗しがちなポイントがあります。
どんな失敗かと言いますとこちらの記事に書いてあるので読んでみて下さいね。
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