[mathjax]
以前の記事で、設計風速\((V_{z})\)を求める所まで行った。
今回はこの続きからお伝えする。
次に
求めるべき数値は風荷重\((P)\)であり、
平米あたりにどの位の荷重が掛かるのかという、
壁つなぎの許容耐力と比較するための数値であり、次式で表される。
$$P = C \cdot q_{Z}$$
ただし
\(q_{Z}\): 設計用速度圧
\(C\) : 風力係数
設計用速度圧\((q_{Z})\)
まず、平米当たりに掛かる設計用速度圧\(q_{Z}\)の算定を行う。
設計用速度圧\(q_{Z}\)は、平米当たりの風の圧力を設計上どのように見るか?という数値。
実際の算出の仕方は、設計風速\((V_{z})\)さえ分かっていれば、
次式で算出できるので全く問題ないはず。
$$q_{Z} = \frac{5}{8} {V_{Z}}^{2} $$
風力係数\((C)\)
風力係数\((C)\) を算出するのだが、
次式に示すように様々な補助係数によって
成り立っているので、それぞれの係数について
お伝えしていくよ。
$$ C = ( 0.11 + 0.09 \times r + 0.945 \times C_{0} \times R ) \times F
$$
ただし
\(\phi\) :シートの充填率
\(r\) :第2構面風力低減係数
\(C_{0}\) :シートの基本風力係数
\(R\) :シートの縦横比による形状補正係数
\(F\) :建築物と併設された設置位置による補正係数
シートの充填率 \(\phi\)
シートの充填率 \(\phi\) は、ひとことで言うと、
「風の通り抜けにくさ」である。
防音シートや白シートなどの風を通さない材料が1で、
反対にシートやネットを設置していなければ0である。
詳しくはこちらの表を参考にしてね。
名称 | 充填率 |
メッシュシート(密) | 0.9 |
メッシュシート(普通) | 0.8 |
メッシュシート(粗) | 0.7 |
防炎白シート | 1 |
防音シート | 1 |
グリーンネット | 0.2 |
シート及びネットなし | 0 |
第2構面風力低減係数\((r)\)
第2構面風力低減係数\(r\)は、先程のシートの充填率 \($\phi\) から
$$r = 1 - \phi $$
と求められるので、特に問題は無いよね。
シートの基本風力係数\((C_{0})\)
シートの基本風力係数\(C_{0}\)は先程のシートの充填率 \(\phi\) との間に、
以下のグラフのような関係がある。
参考文献 イラストによる建築物の仮設計算改訂3版 [ アーキテクノ研究会 ]
これを近似式で表すと
$$ C_{0} = \frac{K}{{(1 + \frac{K}{4})}^{2}} \cdots \cdots \cdots \cdots \cdots \cdots \cdots \cdots \cdots \cdots \cdots \cdots \cdots \cdots \cdots (0 \mbox{<} K \mbox{≦} 0.73) \label{sa}$$
$$ C_{0} =2.8 \log ( K + 0.6 - \sqrt{1.2K + 0.36} - 2.8 \log K + 2.0 \cdots \cdots (K \mbox{>} 0.73) \label{sb}$$
$$K = \frac{1.2 \phi}{{(1- \phi)}^{2}}\label{sc} $$
になるけど、計算機を出そうと言う気さえ起こらないよね。
だから
グラフを読みとって、充填率ごとに示したものが下の表だよ。
名称 | 充填率 | 基本風力係数 |
メッシュシート(密) | 0.9 | 1.87 |
メッシュシート(普通) | 0.8 | 1.73 |
メッシュシート(粗) | 0.7 | 1.57 |
防炎白シート | 1 | 2 |
防音シート | 1 | 2 |
グリーンネット | 0.2 | 0.39 |
シート及びネットなし | 0 | 0 |
これなら、ここから読み取れば簡単だよ。
シートの縦横比による形状補正係数\((R)\)
シートの縦横比による形状補正係数\(R\)とは、
「同じ建物でも、シートの張り方によって受ける荷重が違うよ」
ということを表している。
具体的には
- シートが空中にある場合
- シートを地上から張る場合
では、計算式が違うのだ。
$$・空中にある場合 R = 0.5813 + 0.013(L/B) - 0.0001 {(L/B)}^{2} $$
$$・地上から張る場合 R = 0.5813 + 0.013(2H/B) - 0.0001 {(2H/B)}^{2} $$
ただし
$$R = 0.6 L/Bまたは2H/B ≦ 1.5 $$
$$R = 1.0 L/Bまたは2H/B ≧ 59 $$
だんだん、ややこしくなってきたね。
建築物と併設された設置位置による補正係数\(F\)
最後に、建築物と併設された設置位置による補正係数\(F\)
だけど、「周りに建物が有ることで俗にいう「ビル風」などの影響があるか?」
という部分の補正係数。
具体的には
こちらのグラフと表を読み取ることによって算出することが出来る。
足場の種類 | 風力の方向 | シート・ネットの取付位置 | \(F\) |
独立して設置 された足場 |
正・負 | 全部分 | A |
建物外壁面に 沿って設置さ れた足場 |
正 | 上層2層部分
その他の部分 |
A
B(A) |
負 | 開口部の付近及び突出部
隅角部から2スパンの部分 その他の部分 |
C
D E |
注)
- 正の風力とは、シート等が建物に向かって押される場合をいう。
- 開口部付近とは、シート等の開口部から2スパンの距離間とする。また、突出部とは建物頂部より突出した部分をいう。
- 足場の一部分にシート等を取付けた場合は、\(F\)の値として上図に示すAを適用する事ができる。
参考文献:イラストによる建築物の仮設計算改訂3版 [ アーキテクノ研究会 ]
ポイントは
「上層の2層部分」と「その他部分」は考え方が異なるということ。
だから、台風などの強風時も「上層の2層部分」は特に注意して
養生を行うことをオススメするよ。
まとめ
最後にまとめると
風荷重\((P)\)は、
$$P = C \cdot q_{Z}$$
ただし
\(q_{Z}\): 設計用速度圧
\(C\) : 風力係数
で表され、それぞれ設計用速度圧と風力係数は
$$q_{Z} = \frac{5}{8} {V_{Z}}^{2} $$
$$ C = ( 0.11 + 0.09 \times r + 0.945 \times C_{0} \times R ) \times F$$
ただし
\(\phi\) :シートの充填率
\(r\) :第2構面風力低減係数
\(C_{0}\) :シートの基本風力係数
\(R\) :シートの縦横比による形状補正係数
\(F\) :建築物と併設された設置位置による補正係数
で表すことが出来る。
以上により、風圧力$((P)$)を求めるために必要な
設計用速度圧\((q_{Z})\)、風力係数\((C)\) の算出方法をお伝えした。
次回からは、実際の壁つなぎの検討へと入っていく。
更に
理論はわかったけど、実際に自分の手で計算するのは
蝶面倒くさい。何とかならなかな?というあなたにはこちらがオススメ。
↓ ↓ ↓
γ(第2構面風力低減係数)の算式:1-φ。は、矛盾してませんか。風の圧力小のネット(φ0.2として)が、γ:0.8. 風の圧力大のメッシュシート(φ0.8として)のγは、0.2となり、結果 ネット γ0.8>メッシュシート、γ0.2となり、ネットの方が風抵抗を大きく受ける。と、なる。これ何か矛盾してませんか・。(Coの風力係数が違うから、Cの値は、ネット<メッシュシート、とは、なるが)