[mathjax]
突然の突風で足場が倒壊しているのを
最近テレビでちらほら見るけど、
あなたは何が原因か分かっているだろうか?
答えは
足場が本来構造計算上で想定している風荷重以上の
外力を受けて壁つなぎの耐力以上になってしまったから。
しかし
構造計算と聞くと、「さっぱり分からない」と拒絶反応を示す人が
メチャメチャ多いけど、ゆっくり考えるとそこまで難しくは無いのである。
だから
今回から少しずつ、建築技術者が最低限知っておかないと
いけないと私が感じている仮設の構造計算についてお伝えしていく。
まずは
足場の構造計算を行う上で一番最初に
必要な物が風荷重である。
風荷重というのは、足場に風の影響でどのくらいの荷重が
掛かるのかというもので、壁つなぎのピッチが影響を受ける。
具体的には
まず、設計風速\((V_{z})\)を求める。
設計風速というのは、どのくらいの風速が検討する足場に
対して吹くのかと言う数値であると理解して貰えば良い。
設計風速\((V_{z})\)は一般的に
$$V_{z} = V_{0} \cdot K_{e} \cdot S \cdot E_{B}$$
ただし
\(V_{0}\):基準風速 \((m/s)\)
\(K_{e}\):台風時割増係数
\(S\):地上からの高さによる瞬間風速分布係数
\(E_{B}\):近接高層物による割増係数
として表される。
つまり
4つの要素の掛け算である。
では
その4つの要素だけど
基準風速 \((V_{0})\) \((m/s)\) は、
基本的には14\((m/s)\) であるが、
地域によっては14\((m/s)\)以外の場合がある。
特別な地域はこちらを参照して欲しい。
だから
基準風速に関しては完璧だね。
次に
台風時割増係数\((K_{e})\) だけど、
これも地域によって決定する数値なので
下の表を見るとすぐに答えは出るよ。
地方名 | 県名 | 割増係数 |
中国 | 山口県 | 1.1 |
九州 | 福岡県・佐賀県・長崎県 熊本県・大分県・宮崎県 |
|
鹿児島県 | 1.2 | |
沖縄 | 沖縄県 |
それ以外の地域は 1.0
そして
表を見ると、台風のよく来る沖縄や鹿児島などは
高い数値に設定してあることが分かる。
直感的にも納得できる表だよね。
だから
台風時割増係数もクリアーだね。
3つ目に
地上からの高さによる瞬間風速分布係数\((S)\)だけど
あなたの現場の経っている敷地の区分を下の表から選択して、
かつ足場の高ささえ分かっていれば、おのずと答えは出るよ。
地上からの 地域区分 高さZ(m) |
海岸・海上 | 草原・田園 | 郊外・森 | 一般市街地 | 大都市市街地 |
0-5 | 1.65 | 1.5 | 1.35 | 1.19 | 1.07 |
5-10 | 1.65 | 1.5 | 1.35 | 1.19 | 1.07 |
10-15 | 1.74 | 1.62 | 1.47 | 1.25 | 1.07 |
15-20 | 1.74 | 1.62 | 1.47 | 1.25 | 1.07 |
20-25 | 1.84 | 1.74 | 1.59 | 1.36 | 1.13 |
25-30 | 1.84 | 1.74 | 1.59 | 1.36 | 1.13 |
35-40 | 1.84 | 1.74 | 1.68 | 1.46 | 1.22 |
40-45 | 1.92 | 1.85 | 1.68 | 1.46 | 1.22 |
45-50 | 1.92 | 1.85 | 1.68 | 1.46 | 1.22 |
50-55 | 1.92 | 1.85 | 1.68 | 1.55 | 1.31 |
55-60 | 1.92 | 1.85 | 1.77 | 1.55 | 1.31 |
60-65 | 1.92 | 1.85 | 1.77 | 1.55 | 1.31 |
65-70 | 1.92 | 1.85 | 1.77 | 1.55 | 1.31 |
70-100 | 1.99 | 1.94 | 1.84 | 1.64 | 1.41 |
(注)0-5の表示は、0m以上-5m未満とよむ
そして
この表では、同じ地域でも海岸の近くに建てる建物は
その他の一般市街地よりも風の影響を受けやすいという考え方
なんだけど、実際に海岸沿いで現場をしたことがあるけど、
普段から風が強くて、足場上にいるのが怖いくらいの時があったので、
経験的に納得できる表であると私は感じる。
最後に
近接高層物による割増係数\((E_{B})\) だけど、
考え方としては、周りの建物の影響で風が強くなるか?
ということ。
例えば
ビル風って知っているかな?
ビルの周り特に風が来る方向とは反対側の建物の角あたりでは、
10\((m/s)\)の風がビルに当たると12~13\((m/s)\)くらいにスピードアップする。
だから、周りに高層建物が有るだけで普通に吹いてくる風よりも、
更に強い風に備える必要が有るということ。
詳しくは、こちらでPDFにまとめているので参考にして欲しい。
そして
以上の4つの数値をかけ合わせると設計風速\((V_{z})\)を算出出来る。
この設計風速\((V_{z})\)の数値をどのように使用するかは、
次の機会にお伝えするよ。
また
足場の構造計算がさっぱり分かっていないのであれば
こちらの入門書を購入することをオススメするよ。
初心者にも分かりやすいようにイラストもたくさん入っているしね。
↓ ↓ ↓
イラストによる建築物の仮設計算改訂3版 [ アーキテクノ研究会 ]
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