「TMさん。この壁筋って縦横どちらが外側でしたっけ?」
まだ、会社に入って何年も経っていない私は急な
工事監理者さんの問いかけに戸惑ってしまいました。
「えっ!?壁筋にどちらが外側なんてあるの?
縦か横かなんて一度も気にしたことないぞ…」
と考えながら、取り敢えず構造図の「壁リスト」を開くと
工事監理者さんは覗き込んできて
「うんうん、縦筋が外側になってるね」
と確認してました。私も慌てて覗き込むと
確かに縦筋が外側で描いてありました。
それから、ダブル配筋になっているリストを確認すると
1つ以外は縦筋が外側に描いてあったのです。
「えっ!?これって何か意味があるの?」
と感じながら聞いてみると、理由も教えてくれたのです。
それは
耐震壁などの計算をする場合は壁厚内の鉄筋の位置が重要で、
鉄筋同士の距離が離れているほど耐力が上がるそうです。
よって、力を発揮させたい向きの鉄筋を外側に配置します。
また
階段の中壁のような壁は他とつながることなく
単独で存在する事が多いので「柱」のような配筋になっています。
このように
壁筋には、今まで気にしたことが無いかも知れませんが
配置に関するルールがあります。
次に
組立順序ですが、縦筋を床に立てながら横筋と結束していくので
縦筋→横筋という順序になり、最初の端部からの1発目は
本来のピッチの1/2以下になるように50~75mm
離れた位置に配筋しています。
今度現場に出たときにさりげなくチェックしてみて下さいね。
最後に
「鉄筋コンクリート造配筋指針・同解説第5版 [ 日本建築学会 ]」の該当部分を確認して下さい。
P.234
a.配筋
壁筋は付着性状のよい異形鉄筋を用い,径はなるべく細く, 間隔を密に配筋することによってひび割れに対処するのがよい.隣接する椶の配筋間隔が異なる場合は, あき重ね継手を用いてよく, 配筋間隔の異なる鉄筋を無理に祈り曲げて重ね合わせることは避ける.壁筋の千鳥配筋は幅止め筋による鉄筋相互の位置確保が困難になるので, 採用にあたっては注意する,千鳥配筋のピッチは解説図9.8 のピッチを示すのが一般的であるが,混乱の生じないように配筋図で明示するのがよい.
〈1〉配筋:一般の場合の配筋順序は
i) 外側縦筋を柱面より50~75mmの位置に第1鉄筋を配置し,他方の柱へ設計間隔で割り付ける.終端は設計間隔以下とする.
ii)横筋を下層の梁面より50~75mmの位置に第1鉄筋を配置し,上層に向かって設計間隔
で配筋する, 上層梁下端と最終横筋を設計間隔以下とする.
iii)内側鉄筋も外側鉄筋と同様とする.
iv)上階の柱が下階より断面が小さい場合は,解説図9.9に示すように壁筋比が減らないように縦筋を追加する.この場合,差し筋を忘れないよう十分に注意する必要がある.下階から上階への柱の絞りが50mm程度と小さい場合には,縦筋を迫加する必要はない.
解説図 9.8 千鳥配筋
解説図 9.9 上下階で柱断面が変わる場合
つまり
一般的な壁筋の組立順序は、縦筋→横筋の順で組み立てる。
また
外部側に建てるのが縦筋なのか、横筋なのかについては、
耐震壁は一般的に縦筋が外側の場合が多いが、
階段などの独立した壁は柱のような考え方となり横筋が外側となるように、
構造的な考えに基づいて決定されている事が多いので、
構造図をよく確認してから配筋写真を撮ることをオススメします。
更に
柱や梁との取り合いの端部については、取り合い部分より
50~75mmの間隔をあけて配置することが望ましいです。
さて
ここで、1つ質問です。
「縦筋を組み立てる時に下階からの差し筋とピッチが合いません。
この時はどのように配筋するのが正解でしょうか?」
答えはこちらで確認して下さい。
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