梁のカットオフ筋ってイメージついていますか?
不安なあなたはこちらの記事をご確認下さい。
もしかすると、
「読んでおいて良かった!!」
と思える日がくるかも知れませんからね。
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さて
話を本題に戻して、今回のテーマは
「なぜ、梁筋のカットオフ位置は下端筋の方が5d長いのか?」
についてお伝えしていきます。
まず
こちらを見て下さい。
この図をみると、梁の全長のうちL/4のあたりで応力の正負が
入れ替わっているのが分かりますよね。
つまり
梁の全長のうちL/4辺りが応力的には一番負担が少なく、
かつ上端筋と下端筋の役割も変わるため、カットオフ筋も
応力の正負が変化する位置まで有れば良いと言うことになります。
ここで
なぜ、L/4「付近か?」という事は説明しましたが、
実際は「ぴったり」ではありません。15~20d分の余裕があります。
これが、今回のテーマです。
「そんなものは、一応余裕をみているだけだよ!」
と何処かからヤジが聞こえて来ましたね。
確かに
計算上はクリアをしていても、実際の現場を知っている人は
ギリギリの数値には絶対にしませんよね。
必ず「施工誤差」を考慮した設計になるはずです。
よって、先ほどのヤジは「正解」です。
しかし
それでは、「L/4ちょうどではない」という説明にはなりますが、
「下端筋の方が5d長い」という理由にはなりませんね。
それは
実を言うと、先ほどの図にはL/4の辺りは「ちょうど0」ではありません。
若干ながら「正の曲げモーメント」が残る場合があります。
その為に、「余裕」をみてカットオフ筋の止める位置を決めています。
これが、「下端筋の方が長い」理由の1つです。
それから
実際に建物として使用される場合に「荷重の偏り」が生じることにより、
設計時に想定していた荷重条件とことなる場合もあるかも知れませんね。
その場合でもトラブルが生じないように、梁の中央部の下端筋が「引張力」
に耐えやすいように若干長めに設定してあります。
更には
私自身もこの記事を書くまではお恥ずかしいながら知らなかったのですが、
柱の内法面より離れた位置で下端筋を止めると,
梁下端にひび割れを生ずる危険性がある
という性質があるみたいなので、カットオフ下端筋を上端筋よりも
長めに取ることで不必要なひび割れの抑止に努めているみたいです。
最後に
「鉄筋コンクリート造配筋指針・同解説第5版 [ 日本建築学会 ]」の該当部分を確認して下さい。
P.214
(a)の梁端部および中央部の境界は,柱面から梁内法寸法 l0の1/4 の位置とする.端部カットオフ筋はl0/4 点から中央へ向かって15dの余長をとり,中央下端のカットオフ筋は端部へ向かって20dの余長をとって止める.中央下端筋のカットオフ筋余長を端部上端のカットオフ筋より5d 長くした理由は,解説図9.4 (c-1) のように梁中央部の正曲げモーメントに対し,端部から1/4点は若干の正曲げモーメントが残る場合があることや,柱の内法面より離れた位置で下端筋を止めると,梁下端にひび割れを生ずる危険性があること,積載荷重の偏りによる応力変動,さらに施工誤差を考慮したことによる.
解説図9.4 梁の曲げモーメント応力図
つまり
梁筋のカットオフ位置はなぜL/4ちょうどでは無いのかについては、
- 梁中央部の正曲げモーメントに対し,端部から1/4点は若干の正曲げモーメントが残る場合があるから
- 柱の内法面より離れた位置で下端筋を止めると,梁下端にひび割れを生ずる危険性があるから
- 積載荷重の偏りによる応力変動も考慮する必要があるから
- 施工誤差を考慮する必要があるから
という理由があるからです。
実際に
よく分からないまま施工していたけど、
「えっ、そんなに考えられていたの!?」
と感じてしまうこともありますよね。
ちなみに、こんな事知ってました?
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