バイブレーター(棒型振動機)はコンクリートを締固める道具です。
世の中には振動を与える機器がいくつかありますが振動を与えることで、
対象に刺激を与えることが出来るように、コンクリートも振動により
性状が良くなるのです。
それでは
今回はコンクリートの締固めに必要不可欠なバイブレーターについて
お伝えしていきましょう。
まずは
コンクリートに生じる気泡・豆板・不充填などの欠陥を防ぐには、
バイブレーターを使用して十分に締め固めることが大切です。
私の感覚ですが、何だかんだ言ってバイブレーターの影響で振動した
コンクリートは振動した時間など関係なく欠陥になる確率は激減します。
だから
豆板などの欠陥が発生する箇所は、バイブレーターが何らかの原因で
行き届いていない箇所だと感じるので、バイブレーターを使用する人には
こまめに全体が締固めが出来るように作業して貰うように監視しましょう。
あなたが足りないと感じたら
「この辺りもう少しバイブレーター掛けて下さいね」
と声かけすると、次から気を付けて作業してくれますよ。
2つ目は
150m3程度のコンクリートをポンプ車1台で打設する場合は、
バイブレーターを2台用意するのが一般的です。
良質なコンクリートを打設するためには「適切な人員」は不可欠です。
だから
大抵、ある程度まとまった量のコンクリートを打設する場合は、
バイブレーター要員は2名が普通だという事です。
ただし、打設する下階で壁に当てるタイプの振動器は別勘定ですよ。
3つ目は
バイブレーターの深度は打込んだコンクリートの下層まで挿入し、
コールドジョイントを防ぐには前に打込んだ部分まで振動させ
一体化させると不具合が減ります。
これは
バイブレーターの作業している人の動きを見ていればわかります。
バイブレーターがコンクリートに挿入されると音が変化するので、
その後にしっかりとバイブレーターが下がっているのか?
それとも、余り下がっていないのか?を確認して必要なら
「バイブレーターしっかりと下まで掛けて下さいね」
と声かけをして下さい。コンクリートの打設作業時は、タイミングよく
声かけを行うことが本当に大切な事だと考えています。
作業員さんが意識を高くして打設しているコンクリートは本当に
「欠陥が少ない」コンクリートに仕上がりますし、なりよりも
「コンクリートは生物」なので時間との勝負ですからね。
4つ目は
バイブレーターの挿入間隔は60cm以下とします。
5つ目は
バイブレーターの挿入時間は10~15秒以下とします。
この2つは知識として覚えておいて下さい。
建築士の試験にも出るかも知れません。
そして
時々現場でその通りになっているか?を確認してみると
作業員さんが「どのくらい理解して作業しているか?」が分かって
面白いと私は感じています。
また
バイブレーターの使用方法はあくまでも「締固め」を行うことであり、
打込んだ後を追いかけて締め固めるのが基本です。
だから
バイブレーターを使用してコンクリートを横に流すような行為は
「ダメ」だという認識を持っておいて下さい。
しかし
現場ではちょいちょい「横流しか?」という場面にも遭遇します。
私も正直「ケースバイケース」な部分もあると感じています。
だから
あなたの感覚になってしまいますが、現場の状況を見ながら
判断して頂くしか無いでしょうね。
例えば
横の方に流れていったコンクリートが豆板(ジャンカ)にならない様に、
バイブレーターを掛けることも必要ですし、振動させると
新たにコンクリートを引っ張ってきますからね。
最後に
「建築工事監理指針(令和元年版上巻) [ 国土交通省大臣官房官庁営繕部 ]」
の該当部分を確認して下さい。
P.418
6.6.5 締固め
(1) コンクリートに生じる欠陥としては、気泡、豆板、不充填部等がある。これらの欠陥を生じさせないためには、棒形振動機あるいは型枠振動機を用いて十分締め固め、密実なコンクリ ートとすることが大切である。
コンクリートの締固めを十分行うためには、適切な締固め要員を準備することが必要である。コンクリートの配管1系統で 1日の打込み量が 150m3程度を想定した場合には、棒形振動機を2台準備し、振動機要員 2名、打込み・締固め要員等 7名以上を配置する。また、施工中に生じる型枠・鉄筋の保守・点検をするために型枠工と鉄筋工を配置しておくようにする。また、施工中に生じる埋込み配管等の不具合を修正するために設備要員を配置することも必要である。
(2) 通常締固めに用いている振動機は、 JIS A 8610 (建設用機械及び装置―コンクリート内部振動機) に定めるものであり、スランプ 18cm 以下のコンクリートを施工する場合には、この様形振動機を用いなければ密実な締固めを行うことはできない。
棒形振動機を挿入できないところや届かないところは、型枠振動機や突き棒・たたき等を併用して締め固める必要がある。公称棒径 45mm の棒形振動機 1台当たりの締固め能力は、スランプ 10 ~ 15cm 程度の普通コンクリートの場合で 10 ~ 15m3/h 程度であるので、打込み速度に応じて振動機の使用台数を定める必要がある。
(3) 公称棒径 45mm の棒形振動機の長さは 60 ~ 80cm であるので、 1層の打込み厚さはこれ以下にし、打ち込んだコンクリートの下層まで振動機の先端が入るようにすることがコールドジョイントをはじめとする施工欠陥を防ぐために大切である。挿入間隔は、振動機の振動が伝わる有効範囲内で定める必要があり、前述した公称棒径 45mm の振動機の有効範囲を参考にして 60cm 以下と定めている。公称棒径が 45mm より小さい振動機を用いる場合は、挿入間隔を狭くする必要がある。
なお、振動を加える時間を長くし過ぎると材料分離を生じるので、加振時間はコンクリート の表面にペーストが浮くまでと定めている。振動機を用いて締め固める場合の注意事項は次のとおりである。
(ア) 鉛直に挿入して加振し、挿入間隔は 60cm 以下とする。
(イ) 振動機の先端が鉄骨、鉄筋、埋込み配管、金物、型枠等になるべく接触しないようにする。
(ウ) 振動時間は、コンクリー卜表面にセメントペース卜が浮くまでを標準とし、コンクリー トに穴を残さないように加振しながら徐々に引き抜く。加振時間は、1箇所 5 ~ 15秒の範囲とするのが一般的である。
つまり
コンクリート打設のバイブレーター(棒型振動機)に関する6つの知識とは
- コンクリートに生じる気泡・豆板・不充填などの欠陥を防ぐには、バイブレーターを使用して十分に締め固めることが大切
- 150m3程度のコンクリートをポンプ車1台で打設する場合は、バイブレーターを2台用意するのが一般的
- バイブレーターの深度は打込んだコンクリートの下層まで届くように挿入する。コールドジョイントを防ぐには前に打込んだ部分まで振動させ一体化させると良い
- バイブレーターの挿入間隔は60cm以下とする
- バイブレーターの挿入時間は10~15秒以下とする
- バイブレーターの使用方法はあくまでも「締固め」を行うことであり、打込んだ後を追いかけて締め固めるのが基本である。だから、バイブレーターを使用してコンクリートを横に流すような行為はダメである
特に
ポンプ車の先端の筒先は重たいので移動するのは面倒くさくなりガリなので
どうしてもバイブレータを使って横に流しながら打設してしまいそうになります。
楽をしては品質的に良くないと分かっていても、ついつい楽をしてしまうのが
人間だと私は考えていますので、頑張る所と抜く所と上手にバランスを取るのが
大切なのではないでしょうか。
そして
品質を落とさずに「楽」をする方法もありますので、1つ参考に
こちらの記事も合わせて確認してはいかがでしょうか。
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