前回の記事では型枠大工さんに必要な技量について4つの項目を
お伝えしましたので、今回は最後の1項目をお伝えしていきましょう。
最後の1項目は
「解体・転用しやすいように組み立てる」です。
これが
同じ大工さんでも仕上げの造作大工さんにはない技量なのです。
造作大工さんの作った物は基本的には「解体」も「転用」もしません。
その都度新品の材料を搬入して組み立ていくのです。
しかし
型枠大工さんは同じようにはいきません。
「型枠」は「仮枠」とも呼ばれるように「仮設」だからです。
だから
コンクリートを打設し終わった型枠材については、基本的には
最終的に「解体」されて現場から搬出される必要があるからです。
(デッキスラブのような「捨て枠」を除いて)
すると
型枠を組み立てる時には、「解体」の事を考慮しなければいけません。
具体的には
型枠の「大面(だいめん)」「小面(しょうめん)」の設定です。
型枠の大面というのは型枠の角部分において「勝っている(伸びている)」
部分の事を差します。
どちらを大面とするか?については「組み立てやすさ」と
「解体しやすさ」を考えてから計画をします。
更に
コの字になっている型枠を解体する場合は、下図のように
型枠がコンクリートと干渉して解体出来なくなるケースもあります。
では
なせ、型枠大工さんは「解体」の事を考えながら「組立」を
行うの必要があるでしょうか?
それは
マンションの様な同じ形状が積み重なっていく建物であれば、
せき板を上階で「転用」出来れば「加工」する手間が省けて、
効率が飛躍的に伸びるからです。
だから
型枠大工さんは、解体時に自分達が上階で使う「商品」を、
不必要に壊されたくないからです。
結果として
1つの材料を「何回転用出きるか?」と言うのは、
型枠大工さんの「儲け」に直結する非常に大切な項目なのですからね。
最後に
「建築工事監理指針(令和元年版上巻) [ 国土交通省大臣官房官庁営繕部 ]」
の該当部分を確認して下さい。
P.427
(3) せき板の継目から水やモルタルが漏れ出すと、豆板や砂じま、空洞等が生じ、コンクリートの品質が低下する。また、型枠の取外しが容易でないと、コンクリートに損傷を与える危険性があるので、型枠は細部まで十分考えられたものが必要である。
(4) コンクリート打放し仕上げ (仕上塗材、塗装等の仕上げを行う場合を含む。) の場合、外部に面する部分は打増しを行うことがある。その厚さは特記によるとされている。
つまり
現場監督でも知っておくべき型枠大工さんに必要な5つの技量とは?
- 隙間なく組み立てる
- 精度よく組み立てる
- 打設の荷重に耐えるように組み立てる
- 仕上げ面によって材料を適切に使い分ける
- 解体・転用しやすいように組み立てる(大面、小面)
実は
先程あげた5つの技量については、どれか1つでも欠けると
現場ではあなたが予想しているより大きなトラブルとなり、
結果として「後始末」があなたの身に降りかかるような
内容なので、何度も読んで頭の中に入れておいて下さいね。
だけど
分かっていても何故か逃れる事が出来ないのが「トラブル」です。
出来るだけトラブルは少なくする様にあなたは旗を振って
いかないとイケないのですが、何割かは防ぎきれないでしょう。
だから
ある程度の「失敗」「トラブル」からは逃れなれない
という意識のもとに、こちらも合わせて意識しておきましょうね。
↓ ↓ ↓
この記事へのコメントはありません。