暑中コンクリートで生じやすい5つの問題と管理ポイントとは?

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「体温よりも高い気温38℃という状況の中で、
コンクリート温度を35℃以下って現実的ですか!?」

というあなたの声が聞こえてくるくらいに最近の夏の気温は異常です。
これから先も温暖化の影響を受けながら夏の気温が上がるのか?
それとも落ち着いていくのか?分かりませんがしばらくは続くでしょう。

 

すると

暑い夏の中での「暑中コンクリート」の管理が重要になるので、
今回はポイントをお伝えしましょう。

 

 

まず

コンクリート温度が上昇するとスランプ値が低下します。
気温が20℃と30℃ではスランプ値は1~2低下します。
その、低下したスランプ値を春や秋と同程度のスランプ値まで調整するには、
単位水量を増加する必要があるのです。

 

しかし

単位水量の増加はコンクリート強度の低下をまねく原因になります。

 

そこで

粗骨材・水・セメントの温度をプラントで直射日光に当てない等の
上昇しないような対策を取ることが重要なのです。

 

具体的には

コンクリートの構成部材であるセメント温度8℃、水4℃、骨材2℃
上昇するとコンクリート温度は1℃上昇するので生コンプラントでの
資材の温度管理が重要になるのです。

 

 

2つ目は

コンクリートの輸送管および打設箇所の温度上昇によるスランプ低下率が
増大することにより、ポンプ圧送管の閉塞やワーカビリティーの低下に
よる打設不良が問題になることです。

 

そこで

コンクリート圧送管および打設箇所においては散水などで極力温度を
上昇しないようにこまめに処置することが重要なのです。

 

 

3つ目は

コンクリート温度の上昇による凝結時間の短縮および硬化の促進が進むことで、
打継ぎ不良、仕上げ不良が生じる危険性が高くなることです。

 

そこで

凝結時間を遅らせるために高性能AE減水剤の遅延型を用いたり、
1回の打ち込み量や区画および順序を検討することにより普段より
短い時間で打ち重ねが出来るような計画とすることが重要ですね。

 

 

4つ目は

気温が高いため打設したコンクリート表面の急激な乾燥が発生する事で、
コンクリート表面のひび割れが発生する危険性が挙げられます。
こちらは、表面温度の上昇に加えて風による表面水分の乾燥の影響も
あるので合わせて検討が必要な場合もあります。

 

そこで

コンクリートの表面温度が上昇しないために予め型枠に散水をすること
によりコンクリートの表面温度を下げることが重要です。

 

 

5つ目は

コンクリート温度が上昇すると、乾燥収縮が一気に進行するので、
コンクリート部材に対してひび割れが発生しやすくなる危険性があります。

 

そこで

1の場合と同じく、コンクリート製造時に各材料の温度を下げることと、
乾燥収縮が一気に進まないように出来る限り湿潤養生を行う事が重要です。

 

しかし

どんなに対策を施してもコンクリート温度が35℃を上回ってしまう
という恐れのある場合は、工事管理者さんと相談して打設範囲、数量などを
出来るだけコンクリートの品質低下にならないように管理できる状況にして
コンクリートを打設するしかないと最近の天気予報をみていると感じますけどね。

 

 

最後に

建築工事監理指針(令和7年版上巻)」の該当部分を確認して下さい。

P.480

6.12.2 材料及び調合

(1) セ メントの温度が8℃ 高いと、コンクリート温度は約 1℃ 高くなる。セメントの温度が高い場合は、入荷後セメントサイロ内に一定期間放置して温度を下げるなどの対策が望まれるが、そのような対策をとるのは困難な場合が多く、骨材又は水を冷やす方が現実的である。
骨材は、コンクリート 1m3中に占める使用量が最も多いので、骨材温度はコンクリートの練上がり温度に大きく影響し、骨材温度が2℃ 高いとコンクリート温度は約 1℃ 高くなる。骨材の温度上昇を防ぐには、直射日光を当てないように屋根を設けたり、骨材に散水するなどの措置を講じるのがよい。ただし、細骨材に散水しても冷却効果は少なく、また、表面水の管理が難しくなるため、注意が必要である。
水は、比熱が大きく、コンクリートの練上がり温度に及ぼす影響は、使用量の割には大きく、水の温度が4℃ 高いとコンクリート温度は約 1℃ 高くなる。したがって、なるべく低温のものを使用するのがよい。

(2) 6.12.1で 記述したように凝結が早くなるので、凝結時間を遅延するためにAE減水剤の遅延形 I種又は高性能AE減水剤遅延形 I種 を使用するのがよい (6.3.1(4)(ウ)参照)。 この混入は、コンクリートのワーカビリテイーを保つのに非常に効果がある。

(3) 暑中コンクリートエ事ではスランプの低下が大きくなるので、コールドジョイントなどを抑制するための現実的な対策として、「JASS 5」 では受け入れ時のコンクリー トの目標スランプを原則21cmと しており、令和7年版の「標仕」から、特記
がなければ21cmと された。

(4) 高温下で養生されたコンクリートは、20℃ で養生されたコンクリートよりも強度発現が停滞する傾向にあることから、「標仕」では構造体強度補正値(S)を 特記により定めるとしている。特記のない場合は、構造体強度補正値はセメントの種類に応じて、「標仕」表6.12.1に 示す値とする。

6.12.3 製造及び打込み

(1) 6.12.1(2)の弊害を抑制するため、「標仕」では、荷卸し時のコンクリート温度を、35℃ 以下とすることとしている。しかし、最近では各地域の最高温度が高くなる傾向にあり、盛夏期では、使用材料の温度制御等の対策では35℃ を超えることが避けられない場合も予想される。そのような場合を想定し、材料・調合、打重ね時間、養生方法・期間等についてあらかじめ検討し、対策を監督職員と協議して講じておくのがよい。
(―社)日 本建築学会の「暑中コンクリートの施工指針・同解説」では、コンクリート温度が35℃ を超える場合でも、その上限値は38℃ 以下とすべきであるとしている。この場合のコンクリートの性能が低下しないような適切な対策の例として、(1)受入れ時のコンクリート温度が35℃ を超えるような環境下でのスランプの経時変化や貫入抵抗値等のデータを有していること、(2)遅延形の混和剤を使用していること、(3)普通ポルトランドセメント又は高炉セメントB種を使用していること、(4)単位セメント量は315kg/m3以上、水セメント比は57%以下であること、(5)指定
スランプはAE減水剤を使用する場合は15cm以 上、高性能AE減水剤を使用する場合には18cm以上であること、ただし、高性能AE減水剤を使用したスランプ21cmを 推奨する、(6)混和剤の使用量が、性能を満足させる量を確保していること、(7)適切な施工管理が行われること、の項目が挙げられているので参考にするとよい。
一方、これらの条件に合致しないものが必ずしも対策として適さないわけではないとも記されている。

(2) せき板及び打継ぎ面が乾燥していると、後から打ち込まれるコンクリートから水分がせき板及び打継ぎ面に吸収されるため好ましくない。ただし、散水後にせき板及び打継ぎ面に水がたまっているとコンクリートの品質が低下し、特に打継ぎ面に水がたまっていると打継ぎ部の一体性が損なわれるため、たまった水は高圧空気等によって取り除く。

(3) 輸送管が直射日光の当たるところに設置されると、配管の段取り替えや運搬車の待ち時間等で輸送管内のコンクリートの温度が上昇し、コンクリートのワーカビリティーが低下して閉塞やコールドジョイント等のトラブルが発生しやすい。したがって、輸送管等の運搬機器は、できるだけ直射日光を受けない場所に設置することが望ましい。直射日光を受けるような場合は、輸送管を濡れたシート等で覆い、コンクリート温度の上昇を防ぐようにする。
打ち込まれるコンクリートが接する箇所の温度が高いと、これらに接したコンクリートの表層部は、急激に水分が吸収されるなどして、一体性や付着強度に悪影響を及ぼすことになる。したがって、打ち込まれるコンクリートが接する箇所は、表面温度が上昇しないように散水あるいは直射日光を防ぐなどの対策を講じる必要がある。ただし、散水によって冷却する場合は、型枠内に水がたまらないようにする必要がある。

(4) 「標仕」では、コンクリー トの練混ぜを開始してから90分以内に打込みを終了するように定められているが、そのためにはコンクリート運搬車の現場到着後の待ち時間をできるだけ短くすることが必要である。

(5) 暑中環境における打込みでは、コンクリートの凝結が急速に進み、コールドジョイントが発生しやすくなる。このため、打込み継続中における打重ね時間間隔の限度内にコンクリートが打ち込めるように、1回 の打込み量、打込み区画及び打込み順序を考慮した打込み計画を立て、これに基づいて施工を行う。

 

6.12.4 養 生

(1) 表面からの水分の蒸発を防 ぐことが大切であり、打ち上がったコンクリー トの浮き水の状況や風速等を考慮 し、急激な乾燥のおそれがある場合は散水を行う。
打込み後は、6.7.2に準 じて湿潤養生を行う。

(2) コ ンクリート上面では、ブリーディング水が消失した時期以降にコンクリートが乾燥の影響を受けるので、湿潤養生はこの時期から開始するのがよい。せき板に接している面は、封かん養生に相当する程度の養生条件が保たれているものと考えられるので、養生は脱型直後から開始すればよい。

(3) 湿潤養生終了後に、直射 日光や風等によって急激にコンクリートを乾燥させるとひび割れが発生しやすくなる。湿潤養生後は、養生シー ト等をできる限り長く存置させて、急激な乾燥を防止するのがよい。

 

つまり

暑中コンクリートで生じやすい5つの問題と管理ポイントとは、

  1. コンクリート温度の上昇に伴いスランプが低下する為、同程度のスランプを確保するためには単位水量の増加が必要になるが、強度低下をまねくという問題に対して、粗骨材・水・セメントの温度をプラントで直射日光に当てない等の上昇しないような対策を取ることが重要。
  2. 輸送管および打設箇所の温度上昇によるスランプ低下率の増大により、ポンプ圧送管の閉塞、ワーカビリティーの低下による打設不良が問題になる為、圧送管および打設箇所においては散水などで極力温度上昇を防ぐ処置が必要。
  3. コンクリート温度の上昇による凝結時間の短縮および硬化の促進が進むことにより、打継ぎ不良、仕上げ不良が生じる危険性が高くなる為、凝結時間を遅らせるために高性能AE減水剤の遅延型を用いたり、1回の打ち込み量や区画および順序を検討することにより普段より短い時間で打ち重ねが出来るような計画とすることが重要。
  4. 気温が高いため急激な表面乾燥が発生し、表面ひび割れが発生する危険性に対しては、コンクリートの表面温度が上昇しないために予め型枠に散水をすることにより温度を下げることが重要。
  5. コンクリート温度が上昇すると、ひび割れが発生しやすくなるので、コンクリート製造時に各材料の温度を下げることと、乾燥収縮が一気に進まないように出来る限り湿潤養生を行う事が重要。

 

と、普段に比べて少し長くて分かりにくいまとめになりましたが、
現場で出来ることは、こまめな散水と打設計画の検討、打設後の養生
となりますので、こちらの記事を読んで「散水」の意味をもう一度
おさらいをしておくと理解がより深まりますよ。

↓ ↓ ↓

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