スタッド溶接の打撃曲げ試験をしたスタッドはそのままで良いの?

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スタッド溶接の品質を確認するのに「打撃曲げ試験」という
内容の試験があります。

 

具体的には

溶接したスタッドをハンマーでひたすらたたいて15度曲げる。
というとてもシンプルな試験なのです。

「ガーン!ガーン!ガーン!」

とハンマーの音が鳴り響くこの試験、終わった後はどうするの?
というのが今回の内容です。

 

例えば

鉄筋の接手で圧接や溶接をした場合の強度を測るのに
抜き取り試験を行った場合は、当たり前ですが抜き取った後を
別の材料で継いで、元の状態に戻しますよね。
(圧接や溶接の箇所が実際には1ヵ所増えていますが)

耐火被覆のロックウール吹付工法の場合も、材料をくりぬいて
厚みを確認した跡は補修をして原状回復します。

なので、試験したもので建物性能に影響を与えるものは
原状回復をするという事が一般的です。

 

すると、今回の質問は

「打撃曲げ試験を行ったスタッドは品質が低下した状態か?」

とも読み替える事ができます。何気ない質問の裏には
「力学的特性を知っているのか?」という知識が問われているのです。

 

 

結論から言うと

打撃曲げで合格したものは、曲がったままでも力学的な支障は
少ないので、そのままとしてよい。

という事なので、そのままにしておいて構いません。
コンクリート打設前の配筋検査で、工事監理者さんが来た時に、
曲がっているスタッドをみつけて

「うん。ちゃんと叩いて検査しているな」

と思ってくれるでしょうからね。

 

ちなみに

作業員さんが一生懸命叩いているのを見ている時に、不謹慎ですが

「ハンマーで叩いている時に取れたら何処まで飛んでいくのだろう?」

とふと考えてしまいました…。

 

最後に

公共建築工事標準仕様書 建築工事編(令和7年版) [ 国土交通省大臣官房官庁営繕部 ]

7.7.6 スタッド溶接完了後の試験

(1) スタッド溶接完了後の試験は、次による。

(ア) 外観試験

(a) 全てのスタッド溶接部について、母材及びスタッド材軸部のアンダーカットの有無を確
認する。
(b) 全てのスタッド溶接部のカラーを確認し、7.7.3(3)を満足しないスタッドは、(イ)(b) に
準じて打撃曲げ試験を行う。
(c) スタッドの仕上り高さ及び傾きの試験は、次による。
① 試験は抜取りとし、1ロットにつき1本以上抜き取る。
② ロットの大きさは、100本及びその端数とする。また、ロットは、スタッドの種類ごと
及び溶接される部材ごとに構成する。
③ スタッドの仕上りの高さ及び傾きは、測定器具を用いて計測する。
④ 試験したスタッドが合格の場合は、そのロットを合格とする。
⑤ 試験したスタッドが不合格の場合は、同一ロットから更に2本のスタッドを試験し、2
本とも合格した場合は、そのロットを合格とする。それ以外の場合は、ロットの全てのス
タッドを試験する。

(イ) 打撃曲げ試験

(a) 試験は抜取りとし、(ア)(c)の①及び②による。
(b) 打撃により15°まで曲げ、溶接部に割れその他の欠陥が生じない場合は、そのロットを
合格とする。
(c) 試験したスタッドが不合格の場合は、(ア)(c)⑤による。
(d) 打撃曲げ試験に使用したスタッドは、欠陥のない場合、そのまま使用する。

(2) (1)の試験結果の記録を監督職員に提出し、不合格となったスタッドは、7.7.7による補修を
行う。

 

建築工事監理指針(令和7年版上巻)」の該当部分を確認して下さい。

P.606

7.7.6 スタッド溶接完了後の試験

(1) スタッド溶接完了後、良好な施工品質が確保されているか否かを調べるため、次に示す項目についてあらかじめ受注者等に試験をさせ、その後に監督職員の検査を行う。

(ア) 外観試験

(a) アンダーカットの試験は、 全数目視により行う 。

(b) 良好なカラーが形成されない時は、スタッド溶接時の熱量不足や熱量過大が疑われる。熱量不足の場合、融合不良、溶け込み不足、ブローホールなど、熱量過大の場合は、溶接金属割れ、スラグ巻込み、アンダーカットなどの溶接欠陥が発生する可能性があるので、打撃曲げ試験によって健全性を確認する。

(c) 仕上り高さと傾きの試験は、「標仕」に定める抜取試験により行う。仕上り高さの測定は、金属製直尺又はコンベックスルールを用いて行う。傾きは目視によりチェックし、疑わしい場合は限界ゲージ (85°) を用いて最大傾斜の位置に合わせてチェックする。

(イ) 打撃曲げ試験

打撃曲げ試験は、ハンマーでスタッドに打撃曲げを加え、これによって溶接部で破断したり、溶接部に割れその他の欠陥が入らないことを確認する試験法である。打撃曲げの方向はカラーが最も小さい位置に引張力が作用する方向となるように曲げる。割れその他の欠陥の確認は通常は目視により行う。

(2) 不良スタッドについては、要求される強度が確保できないため、7.7.6 に定める方法により補修を行う。

7.7.7 不合格スタッド溶接の補修

(1) 母材又はスタッド材軸部に深さ0.5mm を超えるアンダーカットが発生した場合は、50 ~ 100mm 程度の隣接部に打直しを行う。そのうち、母材に生じたアンダーカットは、母材強度の低下を招くので予熱をして補修溶接を行う。

(2) 仕上り寸法の不良なスタッド材や割れ又は折損の生じたスタッド材は、隣接部に打直しを行うが、欠陥が母材に及んでいる場合は、母材強度の低下を招くのでこれらを除去して、グラインダーで母材表面を平滑に仕上げる必要がある。

(3) 打撃曲げ試験で合格したものは、曲がったままでも力学的な支障は少ないので、そのままとしてよい。

 

つまり

スタッド溶接の打撃曲げ試験で合格したスタッドは、曲がったままでも
所定の耐力は確保できているので、そのままとしても良いです。

 

ちなみに

私は現場で作業員さんがハンマーでガンガン叩いていてスタッドが
吹っ飛んでいったことはありません。来てくれた作業員さんの
技量に感謝です。

 

しかし

いろいろと心配になってしまいがちなのは、工事監理者さんですよね。
試験に関してはこんな記事も過去に書いていましたよ。

↓ ↓ ↓

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