工事監理者さんの配筋検査時に
「ここ、定着長さが足りてないから是正お願いします」
と言われて
「えっ!?今さら言われても無理なんですけど…」
と感じたことないですか?
確かに
配筋検査の場合には「主筋に関する指摘」というのは、
「あき不足」でない限り修正は非常に困難ですよね。
長さを足そうにも、重ね継手などでなくガス圧接などでガチガチな
場合がほとんどで右にも左にも動かないでしょう。
もしも
梁主筋の定着長さ不足がガス圧接時にアンカー位置の確認不足に
よるものであれば施工中に確認することによって配筋検査までに
是正出来たかもしれません。
しかし
もともと「是正不可能」な納まりになっていることもあります。
なぜなら
梁主筋の定着はのみ込む柱寸法の75~80%以上は水平に
定着されていないといけないからです。
そこで
隅柱などX、Y両方向からアンカー定着になっていて、
しかも2段筋などの場合は鉄筋が複雑に絡み合って
所定の水平投影長さが確保できない場合があるのです。
だから
現場のなかで一番複雑そうな1ヶ所で良いので納まりを確認して
要件を満たしそうになければ「事前の相談」をしておけば冒頭のように
いかにも「現場のミス」のような言われ方をされる可能性は減りますよね。
要するに
工事監理者さんも巻き込んで「トラブル解決の仲間」
にしてしまえば良いですからね。
最後に
「鉄筋コンクリート造配筋指針・同解説第5版 [ 日本建築学会 ]」の該当部分を確認して下さい。
(2)鉄筋の投影定着長さLaまたはLbは,RC規準(2010年版)に従って計算し,設計図書に特記する.
特記がない場合の投影定着長さは,大梁(基礎梁や片持梁を含む)の主筋の柱内定着については,表6,3(a)のLaの数値以上,小梁やスラブ(片持形式を除く)の上端筋の梁内定着については同表(b)のLbの数値以上とする。なお,片持形式の小梁やスラブの上端筋は,同表(a)のLaの数値以上とする.
表6.3 異形鉄筋の仕|コ内の折曲げ定若の投彫定着長さ
(a)大梁主筋の柱内折曲げ定着の投影定着長さLa
コンクリートの
設計基準強度
Fc(N/mm2)SD295A
SD295BSD345 SD390 SD490 18 20d 20d - - 21 15d 20d 20d - 24~27 15d 20d 20d 20d 30~36 15d 15d 20d 25d 39~45 15d 15d 15d 20d 48~60 15d 15d 15d 20d
図 大梁主筋の柱内折曲げ定着の投影定着長さLa
(b)小梁やスラブの上端筋の梁内折曲げ定着の投影定着長さLb(片持の小梁・スラブを除く)
[注]
コンクリートの
設計基準強度
Fc(N/mm2)SD295A
SD295BSD345 SD390 SD490 18 15d 20d - - 21 15d 20d 20d - 24~27 15d 15d 20d - 30~36 15d 15d 15d - 39~45 15d 15d 15d - 48~60 15d 15d 15d - (1)表中のdは,異形鉄筋の呼び名の数値を表し,丸鋼には適用しない.
(2)フックの折曲げ内法直径Dおよび余長は,特記のない場合は表4.1による.
(3)軽量コンクリートを使用する場合の鉄筋の投影定着長さLa.またはLbは,特記による.特記がない場合は,Fc≦36N/mm2の軽量コンクリートとSD490以外の異形鉄筋を対象として,表6.3の数値に5d以上加算した投影定着長さとし,工事監理者の承認を得ること.
(4)梁主筋を柱へ定着する場合,4の数値は原則として柱せいの3/4以上とする.図 小梁・スラブの上端筋の梁内折曲げ定着の投影定着長さLb
d.機械式定着による場合は,定着具の寸法・品質・施工法およびその場合の定着長さを設計図書に特記する.
(3)梁筋の柱内への折曲げ定着と余長部の逃げ寸法を解説図6.2に示す.柱内へ折曲げ定着された梁筋の垂直部を余長部(または定着テール)と呼び,柱の外面より余長部までの寸法を逃げ寸法という.すなわち,逃げ寸法は,柱せいから梁筋の投影定着長さを減じた値である.従来の慣習として.逃げ寸法は,梁上端筋に対しては100~150mm程度,梁下端筋に対しては150~200mm程度としている,しかし,柱梁接合部内の鉄筋の交差部の納まり方によっては,逃げ寸法を上記の値に納めることは難しい場合がある.特に,隅柱の柱梁接合部では,梁筋の定着部が二方向に交差するので複雑になる.また,施工面からは,鉄筋折曲げ郎のスプリングパックなどを考慮して,余裕のある納まりとしなければ,組立てに支障を生ずることもある.
したがって,これらの諸事項を考慮して逃げ寸法を決めるのがよい.
つまり
梁の主筋の定着長さはトータルの長さと共に水平投影長さも考慮すべきで、
一般的に柱の奥行きの0.75~0.8倍の所まで定着させてからアンカーなどとします。
しかし
梁の主筋が2段筋であったり、隅柱などでX、Y方向ともに
梁の主筋がアンカー定着する場合には所定の長さを確保するのが
難しい場合もあるので施工する前に検討を行って事前に工事監理者さんに
指示を仰いでおくことをオススメしますよ。
実際の検査時に定着長さ不足が発覚したときには
「修正しておいて下さい!」
で終わってしまう可能性が高いですからね。
だから
現場で物事を管理するならこちらの能力が欠かせないので
合わせて読んで理解を深めておくことをオススメしますよ。
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